異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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水竜は美味しいお魚です

 

 お家に転移したら、お庭で師匠がたき火をしていた。揺り椅子に座ってのんびりしてる。周辺はもう真っ暗で、たき火が赤く照らしていた。

 

「師匠。師匠。お魚とってきた」

「見てたよ。あれをお魚と言っていいのか分からないけど」

 

『お魚(竜)』

『水の中で泳いでたらお魚判定されそうw』

 

 そんなことはない……と思う。

 水竜の切り身をアイテムボックスから取り出して、フライパンで焼いていく。たき火を使おうかと思ったけど、面倒だからフライパンを直接温める。じゅわっといい音がして、良い香りがしてきた。

 そうしてフライパンで焼いている間に、他の部位も風の刃で切っていく。すぱすぱっと。

 

「ほれ。ご飯だ」

「ん」

 

 師匠がご飯を渡してくれた。お茶碗に山盛りのご飯。そのご飯の上に、焼いた水竜の切り身をのせる。そうしてからぱくりと一口。

 

「んー……。とても濃厚」

 

 溶けるようなお肉、だね。ワイバーンに勝るとも劣らないお肉。でもこうしてしっかり食べてみると、やっぱりお肉の味の主張が強いと思う。

 これも多分、カレーには不向きかな? カレーの味が負けると思うから。

 

『いいなあ、めちゃくちゃ食べてみたい』

『水竜の肉かあ……。どんな味なんだろ』

『ワイバーンといい、美味しそうなお肉が多すぎる!』

 

 美味しいお肉は多いけど、みんなからすれば捕まえるのは大変だと思うよ。

 そうしてもぐもぐ食べていたら、お家から誰かが出てきた。ふわふわ飛んで、私の頭の上へ。ぽすんとのってきた。

 

「リタちゃんー。私にも一口くださいなー」

「いいよ」

 

 焼いたお肉を小さく切って、頭にのってきた子に、カリちゃんに渡す。カリちゃんは素手で受け取ると、もぐもぐ食べ始めた。

 

『カリちゃん! カリちゃんだ!』

『すっげえ久しぶりに見た気がする!』

『今もリタちゃんのお家にいんの?』

 

 いるね。カリちゃんがもともといたダンジョンはすでに別の精霊が管理精霊になったから、カリちゃんはこの精霊の森の担当になった。

 担当といっても、大きなお仕事はないみたいだけど。私と師匠のお手伝い、らしいよ。何か魔法の研究をする時は手伝ってくれるらしい。

 そんなカリちゃんの頭を撫でておく。なでなで。

 

「わはー」

 

 うん。カリちゃんはかわいい。

 

『癒やし枠だなあ』

『カリちゃんをなでなでしたいだけの人生だった』

『無価値すぎるだろさすがに』

 

 カリちゃんはお肉をもぐもぐとしていたけど、ふと私を見て首を傾げた。不思議そうに見下ろしてる。

 

「リタちゃん、新しいお洋服ですー?」

「んーん。水着。水に入るための服なんだって。日本でもらってきた」

「水に入るための服ですかー。人間さんはそんなものを考えるのですねー」

「ん。裸でいいと思うのにね」

「ですねー」

 

『カリちゃんもすっぽんぽん族か!?』

『つまり……カリちゃんを水に入るように誘導すれば!』

『それだ!』

 

「何を考えてるの?」

 

 さすがにそれは私でもだめだと思う。本当に、あまり変なことをしたり言ったりしたらだめだよ。カリちゃんは聞き流すだろうけど。

 

「でもかわいいですよー。いつものイメージと違いますねー」

「ん……。私も、気に入ってる」

「そうですかー」

 

 友だちに選んでもらったものだから。だから、宝物、だ。ちゃんと保護魔法もかけておいたからね。

 とりあえず晩ご飯はこれで終わり。あとは寝るだけで……。

 

「いや、リタ。ちょっと世界樹の方に行ってこい」

「ん? どうして?」

「精霊様が見たがってるからな……」

「ん」

 

『あーw』

『真美ちゃんにボロ負けしたからな! せめて見たいよな!』

『やめたげてよお!』

 

 見ても楽しいものじゃないと思うけど……。まあ、いっか。それじゃあ、世界樹の前に転移だ。

 そうして転移すると、すでに精霊様が待っていた。

 

「ああ、おかえりなさい、リタ。お待ちしていました」

「ん」

「これは……。なるほど。かわいいですね。これで泳いでいたわけですか」

「そうなる。あ、水竜のお肉、食べる?」

「いただきます」

 

 精霊様に水竜のお肉とご飯を渡す。私もまだ食べ足りないから一緒に食べよう。精霊様の隣に座って、と。

 もぐもぐと食べていたら、精霊様が頭を撫でてきた。

 

「ん? なに?」

「いえ……。楽しんでいるみたいで、安心しただけですよ」

「そう」

 

 よく分からないけど、精霊様が納得しているならいいんだと思う。私が楽しんでいるのは事実だしね。

 次はどこに行こうかな。連続で日本はどうかと思うけど……。今度はちゃんと観光したい。美味しいものとか食べたいかもしれない。

 

「リタ。遊びに行くのもお泊まりもいいのですけど、気をつけて行くんですよ?」

「ん」

「ちなみにこの場合の気をつけなさいは、日本に迷惑をかけないように気をつけなさい、ですよ」

「わかってる」

 

 私が頷くと、精霊様が頭を撫でてきた。気持ちいいからもっと撫でてほしい。

 

『親子かな?』

『親子(みたいなもの)だよ!』

『素直に甘えるリタちゃんもかわいいもんです』

『さらっと流されてるけど心配しているようでしていない件について』

 

 変なことは言わなくていいよ。

 




壁|w・)水竜は魚です。魚だってば。だからお肉は魚肉のことだよ!

次回からは特別編。万博。
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