異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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特別編・綺麗な夕日

 

 万博の会場をぐるっと囲む大きな建物。木材で組まれたその建物は、屋上に上がれるらしい。エスカレーターとかエレベーターとか使えるみたいだね。階段ももちろんある。

 この建物の屋上から見る夕日が綺麗らしいから、ちょっと見に行こう。

 まずはエスカレーターで上ってみよう。自動で屋上に連れて行ってくれるのは、なんだかちょっぴり楽しい。

 エスカレーターでのんびり運ばれていって……。うん。改めて思うけど。

 

「本当に大きな建物」

 

『わかる』

『数字では知ってるけど、生で見るとマジで違う』

『地上から中を見るのもいいけど、こうして横から見るのもなかなか』

 

 木材の組み合わせとかが見れるから結構楽しいね。

 さて、屋上だ。屋上は何もない……なんてこともなく。花壇みたいなスペースが作られていた。たくさんいろんな花が植えられていて、歩く人を飽きさせないようにしてる。

 あと、屋上は二段、かな? あるみたい。途中でスロープがあって、さらに上に行けるようになっていた。きっとあそこからの景色はとてもいいと思う。

 まずは下側をぐるっと歩いてみようかな。

 てくてくと木で作られた屋根を歩いて行く。土とも石とも違う感じで、ちょっと楽しい。石じゃなくて、こんくりーと、だっけ。どっちでもいいけど。

 

『向かい側って見えるの?』

 

「ん?」

 

 向かい側。会場を挟んで反対側、だね。そっちを見てみる。私は見えることは見えるけど……。視聴者さんとかだと厳しいかもしれない。どうしてもかすむんじゃないかな。

 雨とか降っていたら間違い無く見えないだろうそんな距離だ。改めてこの建物のスケールが分かるね。

 屋上からだと、パビリオンの様子とかも分かって不思議な感じだ。こうして見ると、それぞれすごく特徴がある。見ていておもしろい。

 下側をぐるっと歩いて、次は上側。スロープになっているところから上がってみる。この上側の方が外側になっているから、建物の外を観察したいなら上側の方がいいだろうね。

 

「外側にもいっぱいだね」

 

 国内の企業とかのパビリオンの多くは、この大きな建物の外側になるのだとか。でも人気な場所が多いらしいよ。

 てくてく歩いて、海側に出た。この建物は会場がある島の中にあるわけじゃなくて、ちょっとだけはみ出してるらしい。きれい。

 

『雄大な自然ですなあ』

『反対側は人工物の集まりだけど』

『余計なことは言わんでよろしい』

 

 広い海をこうして見るのも楽しいよ。

 のんびりと眺めていたら、不意にちょっと大きな声が聞こえてきた。

 

「うみだー!」

 

 子供の声。ちょっと離れた場所で、小さい子供が両手を上げて叫んでる。六歳ぐらいの男の子、だと思う。楽しそう。

 

「うみだー!」

 

 そんなことを考えていたら、ちょっと離れた場所で、今度は女の子が叫んだ。そのまま、何故か小さい子たちが叫び始めてる。うみだ、うみだ、だって。

 

『かわいい』

『かわいい』

『子供って謎にテンションが上がる時があるよね』

『俺にも……昔こんな時が……』

『どれぐらい昔だよw』

 

 私みたいに変なことをしていなかったら、みんな子供の頃はあるはずだからね。

 んー……。それじゃあ、私も。

 

「うみだー!」

 

 叫んでみた。

 

『リタちゃんが叫んだ!?』

『最初感情がないと思われていたリタちゃんが!?』

『ダウナー通り越して冷徹と思われていたリタちゃんが!?』

『お前らここぞとばかりに言い過ぎだろw』

 

「怒るよ?」

 

『さーせんwww』

 

 いいけどね。感情がないのかっていうのは、師匠が配信していた時に実際に言われたことがあるらしいから。そんなことないんだけど。

 私だってちゃんと喜怒哀楽がある。表情に出にくい、というのは否定できないけど。

 でも、うん。わりと驚かれるのはそうみたいで、周りの人が目を丸くしてこっちを見てる。そんなに私が叫んだのがおかしいのかな?

 

「リタちゃんが叫ぶなんて……」

「かわいい」

「あ、偶然録音できてる……」

 

『録音だと!?』

『その音源をこちらによこせ!』

『お前らwww』

 

 確か過去の配信って見れるはずだから、あとで勝手に録音でもなんでもすればいいと思う。好きにしてほしい。あとあまり触れないでほしい。ちょっと恥ずかしくなってくるから。

 

「日の入りはどこから見ればいいの?」

 

『なかったことにしようとしてるw』

『是非とも東側から見てほしい。お日様は西に沈むけど、その夕日の光が建物内側の水面を照らしてめちゃくちゃ綺麗だから』

『語るなあw』

 

 東側、だね。じゃあそっちに行ってみよう。

 またちょっと歩いて、東側に向かう。なんだかたくさんの人が私の後ろをついて歩いてくる。いや、後ろだけじゃないけど。

 

「魔女さんだー!」

「リタちゃんリタちゃん!」

「えへー」

 

 なんか、たくさんの子供が集まってきてる。何故か私の周りにいっぱい。不思議。

 

『子供に囲まれるリタちゃん』

『近くに行けるのは純粋な子供の特権だよね』

『大人だとまあ変態さんだよね……』

『納得いかねえw』

 

 私は別に怒ったりはしないけど。変なところを触ってきたらばくっとするだけだし。

 せっかくだからかわりばんこに手を繋いで、東側へと歩いて行く。いろんな人に写真を撮られてる。心なしかいつもより多いかも。

 そうして、東側に到着。ちょうどお日様が真っ赤に染まった頃だった。

 

「おー……」

「きれー!」

「あかーい!」

 

 うん……。これは確かに、綺麗だ。見る価値があると思う。これは、とてもいいね。

 

『正直なめてました』

『これは画面映えする』

『晴れててよかった』

 

 うん。これは私も満足だ。

 子供たちと一緒に、お日様が沈むまでのんびりその綺麗な景色を眺めていた。

 




壁|w・)調べればいろんな写真が出てくるので是非とも調べてほしいのです。
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