異世界魔女の配信生活   作:龍翠

472 / 543
ウォーターライド

 

 次に来てみたのは、川みたいになっているところ。お船に乗って坂を滑って、その後はちょっとだけ景色を楽しむ、みたいなものになってる。

 シューティングライドに近かったから、とりあえずここに来てみたけど……。これは、なんだろう?

 

『ウォーターライドってやつですな』

『最初は急流滑りになってんのか。楽しそう』

 

 プール……ではないよね? でもすごく濡れそう。

 

「リタ。プールってなに?」

「んー……。水で遊ぶ場所。泳いだりできるんだよ」

「楽しそう……」

「今日は無理だけど、また誘う」

「うん」

 

 心桜島のあのプール、アルティと一緒に行ってもきっと楽しいと思う。一緒にスライダーとか行きたいね。その時はまた師匠に一緒に来てもらおう。

 けれど今はウォーターライドだ。早速行ってみよう。

 また列に並んで、すぐに私たちの順番。小さいお家に川が繋がっていて、小さいお船が並んでる。六人ぐらい乗れるお船だね。二人席が三列、みたいになってる。

 

「ほら、一番前に乗れ」

「ん」

「あ、あの、あの……。こ、怖くないですよね?」

「大丈夫大丈夫。多分」

「多分!?」

 

 あわあわしてるアルティを先に乗せて、私はその隣へ。師匠も後ろ側に座った。他の席も別の人たちが座っていく。

 そうして全ての席が埋まってから、係の人が簡単に説明してくれた。

 これはシューティングライドと違って、前の手すりを掴んでおくだけでいいみたい。ただ、すごく濡れるらしいから、スマホとかの機械類を持っている人は預けてください、だって。

 私はスマホを持ってるけど、アイテムボックスに入れてあるから問題ない。師匠も同じくだし、アルティはそもそも持ってない。

 

「最初にレインコートとか聞かれたのは濡れるからなんだね」

「船に乗ってるのに濡れるの?」

「そうみたい。アルティは大丈夫?」

「だ、だいじょうぶ……」

 

 なんだかちょっぴり緊張してるみたい。ちょっと撫でてあげたら、薄く微笑んでいた。うんうん。私が隣にいるから大丈夫だよ。

 

『リタちゃんがお姉ちゃんしてる……』

『リタお姉ちゃん!』

『姉にも妹にもなる魔女!』

 

 もはや意味が分からないよそれ。

 少し待つと、お船が動き始めた。ゆっくりと進んで、がこん、という音の後に坂を上っていく。

 

「リタ! リタ! 船が! 上ってる!」

「ん。すごい」

 

 お船を持ち上げる何かの機械があるんだろうね。がごがこ音がしてるし。

 そうして頂上まで来て、少し進んで……。

 

「おー!」

「わああああ!」

 

 一気に川を下っていった。

 なんだろう。すごい。ぶわってきた。押しつけられるような不思議な感覚だ。初めての感覚で、とっても不思議。すごい。

 でもそれはあっという間に終わって、のんびりとした川に入ってしまった。ちょっと残念。

 あとはやっぱり川だったから、たくさんの水がお船にかかってしまった。みんなずぶ濡れ、だね。私と師匠は濡れてないけど。

 

「師匠。師匠」

「どうした?」

「ぶわっときた。ぐわってきた。すごい」

「あー……。まあ、スピードがあるってそういうものだしなあ」

 

『あれ? リタちゃん空を飛んでる時ってかなりのスピードだよね?』

『確か結界を張ってるはず』

『飛行機以上のスピードが出てるのに無防備で飛べるわけないからな!』

 

 言われてみれば、結界を張っていない状態で飛行する時に似てる気がする。スピードがあるとそうなるらしい。これはいいことを聞いてしまった。自分でもできるってことだね。

 

「り、リタは楽しそうだね……」

「ん。アルティはだめだった?」

「ちょっと怖かった……」

 

『アルティちゃんかわよ』

『リタちゃんからは得られぬ怖がり成分』

『なんだその成分w』

 

 怖がりってほどでもないと思うけどね。

 勢いよく滑り降りた後は、ちょっとした森みたいになってるエリア。のんびり進んでいたら、ワニみたいなのが川底からぬっと出てきた。もちろん作り物だけど。

 

「り、リタ! リタ! 何か出てきた!」

「出てきた」

「リタ! 変な鳴き声する!」

「する」

 

『大興奮のアルティちゃんと超冷静なリタちゃん』

『本当に双子かこの子らw』

 

 育ち方は全然違うと思うからね。

 そんな森のエリアを抜けたら、最初の小さいお家に戻ってきた。お船の列の最後尾に並んで、そこから船を出る。

 

「お疲れ様でした! タオルをご利用の方はいらっしゃいますか?」

 

 そんな係の人の声。びしょ濡れの人が多いからね。でもタオルとか面倒だと思うし……。魔法で乾かしてあげよう。さっと、ね。

 

「わ……!? 服が乾いた!?」

「すごい……!」

 

 一緒に乗っていた人が驚いてる。ちょっとだけ楽しい。

 

「ねえ、リタ」

「ん?」

「どうしてリタは濡れてないの……?」

「結界あるから」

「ずるいよ!?」

 

 ずるくない。簡単な魔法だから、アルティも覚えればいいと思う。

 なんだか不満そうなアルティと忍び笑いをしてる師匠と一緒に、ウォーターライドを後にした。

 




壁|w・)簡単な魔法(魔女基準)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。