異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ゴーカート

 

 次はどこに行こうかなと考えて……。せっかくだからアルティに決めてもらうことにした。

 

「師匠。師匠。ぱんふれっと? ある?」

「ああ。これだな」

 

 さすが師匠だ。チケットを買った時にもらっておいたらしい。そのパンフレットをアルティと一緒に見る。当然アルティは日本の文字は読めないけど、そこは私が読んであげればいいだけだね。

 

「アルティ。どれに乗りたい? いろいろあるよ」

「う、うん……。リタのおすすめはある?」

「混雑する前にお昼ご飯を食べたい」

「おすすめを聞いたんだけど!?」

 

『リタちゃんに聞いたのが間違いなんだよw』

『アトラクションとレストランを選択肢に出したら、迷うことなくレストランを選ぶ子だから』

『花より団子(文字通りの意味で)』

 

 失礼だと思う。私だってアトラクションを優先することがある……と思う……多分。

 でも確かにお昼ご飯には早いかもしれない。それじゃあ、別のものだね。

 

「写真で気になったものはない?」

「しゃしん……。これ、すごいね。すごく丁寧な絵」

「絵じゃない。写真」

「しゃしん」

 

『そうか、写真に驚くのか』

『初々しいのう』

『リタちゃんも写真に驚いたことが……。なかったな』

『だってこの子、最初から映像を送れるという事実は知ってたわけだし』

 

 それでもテレビを初めて見た時はびっくりしたよ。科学はすごい。

 アルティはまだ不思議そうにしていたけど、とりあえず選ぶことにしたみたい。少し悩んで選んだのは、ゴーカートだった。小さい車を運転するアトラクション、だね。

 

「どうしてこれ?」

「えっと……。自分で乗って、動かせるんだよね? ちょっとやってみたくなっちゃった」

「とてもわかる」

 

『わかるのかw』

『もしかして車とか運転してみたいと思ってるのかな?』

『車よりもよっぽど速いものに乗ってる気がする』

『箒は様式美なだけらしいから』

 

 うん。箒は別になくても問題ないやつだからちょっと違うと思う。

 それよりもゴーカートだ。早速アルティと一緒に向かう。てくてく歩いて、ゴーカートへ。

 ここもかなり広い場所だね。建物とかにはなってなくて、外にコースがあるみたい。コースは段差の中にあって、外に飛び出したりしないようになってる。

 あと……。大人は乗れないらしい。つまり師匠には待ってもらうことになる。

 

「師匠。ごめん」

「いや、乗るつもりなかったから気にするな。というより、この年で一人でゴーカート乗ったら恥ずかしいからな?」

 

『なんでや! 大人もゴーカート乗ってもええやろがい!』

『子供にまじって遊ぶ大人か』

『悲しくなるからやめてくれ』

 

 師匠はコーヒーを飲みながら待ってくれるらしい。なのでアルティと一緒に列に並んだ。列には大人も並んでるなと思ったら、子供と保護者で乗る二人乗りがあるらしい。師匠も誘えば良かったかもしれない。

 少し並んで、私たちの順番だ。もちろん一人乗りで……。

 

「り、リタ」

「ん?」

「一緒に……乗ろう?」

「わかった」

 

 一人だと怖いのかな? 二人乗りのゴーカートに一緒に乗ることになった。

 ハンドル、て言うんだよね。まるいものも二つついてる。係の人に聞いてみたら、メインの座席になる方が優先されるらしいけど、アクセルを踏んでなければサブの座席の方でも運転できるのだとか。

 私がメインの方に座って、アルティがサブの方に座った。そっちの方がいいってアルティに言われたけど、私も運転は初めてだから変わらないと思う。

 

「それでは、いってらっしゃーい!」

 

 係の人に見送られて、出発した。まずは私からだ。ゆっくりとアクセルというものを踏んでいくと……。

 

「おお……。動いてる」

「わあ……」

 

 すごい。魔法も魔力も使ってないのに、勝手に動いてる。とてもすごい。

 最初はゆっくり動かしてみたけど、少しスピードを上げていく。歩くよりもずっと速い。こっちはただアクセルを踏んでハンドルを動かしてるだけなのに、勝手に動いていく。とても、すごい。

 

「リタ! リタ! 私も!」

「ん」

 

 アルティと交代。アルティもやっぱり最初はゆっくりと動かしてる。少しずつ、そしてスピードアップだ。

 

「わあ……! すごい! 速い! すごい!」

「ん。とてもすごい」

「とてもすごい!」

 

 本当に。科学って、すごい。

 

『これ、リタちゃんも結構興奮してるよな』

『ゴーカートで興奮する魔女』

『かわいいw』

 

 バカにされた気がするのは気のせいかな?

 そうしてゴーカートで進んでいったら、何故か師匠がいた。空中に。スマホを構えて。何をしているのかと思ったら、写真を撮ってるらしい。

 

『うわずるい!』

『お前! それはだめだろう!』

『でも羨ましい!』

 

「黙れ小僧! お前に俺が止められるか!」

 

『お前はどこの狼さんだw』

 

 本当に、何やってるのかな。まあいいけど。せっかくだから、手を振っておこう。

 

「アルティ。師匠に手を振って。ふりふり」

「あ、うん……。ふりふり」

 

 師匠がたくさん写真を撮ってるのが分かった。師匠もいつからそっち側になっちゃったの?

 アルティと目を合わせて、ちょっとだけ苦笑い。その後はまた運転に集中だ。

 そうしてぐるっとコースを一周して、ゴーカートは終了。最後にそこでも写真を撮って、戻ってきた。

 

「戻った」

「おかえり。写真を撮れて満足だ」

「ん……」

 

 本当に、どうしていきなり写真を撮ったのかな。

 それじゃあ、そろそろお昼ご飯だ。遊園地のお昼ご飯。何があるのか楽しみ、だね。

 ちなみに。後で聞いてみたら、写真は師匠のご両親に頼まれたのだとか。孫扱いみたいだな、と言われたけど、その辺りはよく分からなかった。

 




壁|w・)リタの子供っぽいところを残しておきたかったお父さんの図。
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