異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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壁|w・)ここから第40話のイメージ。



獣化の魔法

 

 精霊の森のお家でのんびりと本を読んでいて。ライトノベルの挿絵を見て、そういえば、と思った。

 

「獣人、見てない」

「どうした急に」

 

 この世界のいろんな場所を見てきたけど、そういえばまだ他の種族はあまり見ていない。いや、街とかで見かけることはあったよ? でもその種族の街を見たことはないなって。

 

「エルフの森みたいに、その種族主体の街とかあるよね?」

「あるぞ。獣人族の街も見たことあるから」

「行きたい」

「行ってらっしゃい。いや、場所か」

「ん」

 

 そう。場所が分からない。場所が分からないと行くのは難しい。

 師匠はアイテムボックスから地図を取り出すと、地図の一点を指で叩いた。

 

「この島に獣人族の街があるな」

 

 この大陸からちょっと離れた島だった。島といっても、そこまで小さくはない。多分、日本の大きさぐらいはあると思う。獣人族はそんな島で暮らしているらしい。

 

「ただ、獣人族は、良くも悪くもバカがいてな……。いや、人族にも普通にいるけど……」

「ん?」

「自分以外の種族を下に見るバカどもがいるんだよ。何故か獣人族が一番偉いと思ってるやつらが。つまりは差別してるというか、そんな感じだ」

「おー」

 

 そんな人がいるんだね。でも、エルフにも、というよりハイエルフにもそんな考え方があった気がする。意外とそういう人はいるものなのかも。

 

「獣人族はコミュニティごとに思想が違ったりするからな……。港には他種族に好意的な人が多いけど、島の中心に行くにつれて差別的な考えをしているやつが多くなってくるぞ」

「なるほど」

「まあ……。悪くない場所だったな」

 

 あれ? そこまで言うなら悪い感想が出てくると思ったのに、師匠はちょっと満足そうに頷いてる。結構楽しかった、みたいなことまで言ってる。

 

「あいつらは強い者に従う本能みたいなのがあるからな。強いやつを何人かぶっ飛ばしたらおとなしくなるぞ」

「そうなんだ……」

 

 ちょっと乱暴なやり方だけど……。手っ取り早いのは事実だね。私もそうしようかな。でも私は外見でなめられたりしそう。

 

「めんどくさければ犬耳でも生やしてみるか」

「ん」

 

 ある意味一番手っ取り早い。私は早速魔法を使うことにした。

 

 

 

「獣人族の街に行ってみる」

 

『おはよおおおおお!?』

『犬耳だ! わんこだ! わんこリタちゃんだ!』

『犬耳! 犬耳!』

 

 魔法を使ってから配信をしてみたら、みんなの反応がすごいことになっていた。なにこれ。

 

『犬耳なリタちゃんめっちゃかわいい!』

『髪の色に合わせて白っぽい耳ですね。ふわふわしてそう』

『もふもふしたい』

 

「うわあ……」

 

『どん引きされたw』

 

 いやだって……。すごいね。いつも以上に気持ち悪く感じるよ。

 

「獣人族の街は排他的なところらしい。獣人族のふりをした方が手っ取り早いみたい」

 

『獣人族って犬耳程度でごまかせるの?』

『簡単だぁ……』

 

「わりとそうだね」

 

 獣人族と言っても、その差は様々。今の私みたいに一部だけ獣の人もいれば、犬が二足歩行しているような外見の人もいる。でも、どっちが偉いとかそういうのはなくて、獣耳だけでも獣人族は獣人族、みたいな感じらしい。師匠がそう言ってた。

 

「ちなみに、尻尾もある」

 

 ローブでちょっと隠れちゃってるけど。ローブをめくり上げてお尻を見せる。獣化の魔法用の服には、お尻に尻尾を出すための穴を作ってある。そこから尻尾がちょこんと出ていた。

 

『かわいい!』

『わんこの尻尾だ!』

『カレーライスが出てきたら尻尾ふりふりしそうw』

 

「カレーライス……」

 

 一昨日食べた真美のシーフードカレーはとっても美味しかった。また食べたい。

 

『尻尾めっちゃふってるやん』

『多分カレーを思い出してるんだろうなあ』

『カレーで喜ぶわんこリタちゃん』

『いつものことです』

『その耳と尻尾も魔法か何か?』

 

 あ、そうだった。その説明がまだだったね。

 

「これは、獣化の魔法。犬をモデルにした耳と尻尾を生やす魔法だね。ちなみに感覚もちゃんとあるけど、触覚だけ、かな? この耳で音を拾うことまではできないから」

 

『ほうほう』

『でもなんでそんな魔法があるの?』

 

「さあ……? 昔の守護者が作った魔法の一つ。精霊様が言うには、動物がとっても好きな人だったらしくて、自分も動物になりたいとか言ってた変な人だったって」

 

『変な人www』

『リタちゃんが先人にそんなこと言うなんて……!』

 

「精霊様がそう言ってた」

 

『おい精霊様w』

『あんたが選んだ人だろうがw』

 

 才能はとってもある人だったらしいよ。だから守護者になってもらったけど、不思議な趣味もあるちょっと変な人だった、と精霊様が教えてくれた。

 もう結構昔の人らしいけど、私には接点のない人だからそこまで興味はない。でもこういう魔法を作ったという点では尊敬する。やっぱり守護者はみんなすごい。私も頑張らないと。

 

「獣人族の街の場所も師匠に聞いてあるから、早速行ってみる」

 

『いってらっしゃーい!』

『配信よろしく!』

 

「ん」

 

 もちろん配信も続けるよ。その方が楽しそうだから。

 地図で場所をしっかりと確認して、私は早速転移した。

 




壁|w・)わんこなリタを書きたかった。
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