異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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建物より串焼き肉

 

 獣人の街。どんな街なのかなと思っていたけど、やっぱり普通の街だね。精霊の森の側にある街とか、魔法学園がある街とか、そういうところとあまり変わらないように見える。

 明らかに違うのは、歩いてる人。動物の耳があったり、尻尾があったりと様々だ。二足歩行の虎、みたいな人までいる。

 

「おー……」

 

 みんなもふもふだ。

 

『リアル獣人だー!』

『リアルけもっこだー!』

『俺ここに引っ越したい!』

 

 そこまでなの? 日本と比べるととても不便だと思うけど。

 石畳で舗装された道をのんびり歩いていく。建物も石造りが多くて、しっかりとしてる印象だ。

 特に目を引くのが、街の奥に見える大きな建物。多分円形の建物だね。ちょっとだけ見覚えのある建物だ。

 

「あの建物、なんだろう?」

 

『あそこだけ明らかに規模が大きいな』

『なんか謎の見覚えがあるのは俺だけか?』

『奇遇やな、ワイもや』

『例えばそう、闘技場とか』

 

「闘技場」

 

 そうだ。いつか見た闘技場と似たような建物だ。ということは、あれも闘技場なのかな。誰かに聞いてみたいけど……。とりあえず、門の側にいる兵士さんに聞いてみよう。

 

「ちょっといい?」

 

 話しかけた相手は、門の内側の門番さん。こっちも犬っぽい獣人さんだけど、耳と尻尾があるだけだね。ふわふわしてそう。

 

「うん? なにかな?」

「…………。耳触りたい」

「え」

 

『うおおおおい!?』

『リタちゃんwww』

『目的が変わってるw』

 

 ん……。そうだった。兵士さんも固まっちゃってるし、本題にいこう。

 

「あのおっきな建物、なに?」

 

 大きなドームみたいな建物を指さして聞くと、固まっていた兵士さんはああ、と頷いて教えてくれた。ちょっと顔が赤いけど。

 

「あそこは市場だよ」

「市場」

 

『いちば……。市場!?』

『どう見ても市場には見えないんですがそれは』

『闘技場にしか見えなかったのにw』

 

 市場だって。いろんなものを買えるってことだね。でもどうしてあんな形なのかな。

 

「おっきな建物にある」

「うん。元々は闘技場だったらしいよ」

「おー……」

 

『やっぱり闘技場じゃないか!』

『今は市場だって言ってんだろうが頭ねーのかお前は』

『そこまで怒られることある?』

 

 闘技場だったのに市場にしたってことだよね。どうしてだろう?

 私が不思議そうにしていたら、兵士さんがちゃんと教えてくれた。

 この街は、市場ができる前は闘技場で栄えていた街らしい。でも近くに港ができて、外の国のたくさんの品物が入ってくるようになったんだって。

 最初はその港を広げて市場を、となったらしいんだけど、あまり潮風にさらしたくない品物も中にはあるらしくて……。それで、港に比較的近いこの街が選ばれたのだとか。

 闘技場が市場になったのは、広いから。ただそれだけが理由らしい。闘技場として使う時もあるけど、毎日使うわけでもないから市場優先って感じらしいね。

 

「君は他の街から来たんだろう? この街に観光に来たのなら、是非とも市場は見た方がいいよ。普段買っているものも安く買えると思うから」

「ん……。見に行く」

「いってらっしゃい」

 

 じゃあ、目的は奥のおっきい建物。市場だ。

 てくてく歩きながら考える。いつもより安く買えるってなんだろう?

 

『いや、多分リタちゃんが他の街の獣人だって思われてるからだと思う』

『ここで仕入れて、他の街に運んで、販売するってなったら、いろいろ経費が重なるからね』

『ぶっちゃけリタちゃんなら原産地に転移で買いに行けばいいのでは』

『身も蓋もないことを言うなw』

 

 それはそうかもしれない。どうせなら、獣人の国のごはんとかの方がいいよね。市場だとそれはあまり期待できなそう。

 だから。これは不可抗力なんだ。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

『いつの間に串焼き肉を買ってるんですかねえ!?』

『流れるように串焼き肉のお店に行っちゃったな……』

『あまりにも自然な動き、気づかなかったぜ!』

『いや、見つけたとたん直角に曲がったけど』

『言うなw』

 

 串焼き肉。お肉を串に刺して焼いたもの。単純だしどこの国にもあるけど、わりとその国の特徴がでると思ってる。海が近いとお魚になったりするし。

 このお肉は……ちょっと、不思議な弾力がある。ちゃんとお肉なんだけど、んー……。タンっていうんだっけ。そういうのに似てる気がする。

 塩味がしっかりときいていて、美味しい。うん。これは悪くない。ごはんがあればなお良し。ないんだけど。

 

「お土産にする。おじさん、串焼き肉をあと二十本ください」

「あいよ! 串焼き肉にじゅっ……、二十!?」

 

『草』

『おじさんが驚いちゃってるでしょ!』

『まさかそんなに注文されるとは思わんよなあw』

 

 もしかして、お肉が足りなかったりするかな? それなら、諦めるけど……。

 

「金は、あるんだな?」

「ん。どうぞ」

 

 二十本分のお金を先に渡しておく。するとおじさんはにやりと笑って言った。

 

「よっしゃ! 任せろ!」

「ん」

 

 今日のお土産は串焼き肉。私もあと五本ぐらい食べようかな。

 




壁|w・)牛タンって美味しいよね。
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