異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ルドガーさんのおはなし

 

 食べ終わったら改めてお話だ。どこでお話しするのかなと思ったら、ギルドで個室を借りるらしい。

 久しぶりに故郷の料理を食べられて嬉しかったのか、ルドガーさんは意気揚々と受付に向かった。個室を借りる手続きだね。それはいいけど、お風呂とか入った方がいいと思う。だって、臭いがこびりついてたから。

 ほら、受付の人、顔をしかめてるよ。必死になって平静を装ってるけど、あれ嫌がって……いや多分キレかけてるよ。

 

『ギルドの受付も大変なんやなあ』

『そりゃ荒くれ者の相手だからな』

『明らかにあれは別方向の苦労ですが』

『言うな』

『ていうかよく考えたらリタちゃんも今は臭いがこびりついてる?』

 

「いや、結界で防いでたから大丈夫。さすがに結界には臭いがついたりしないし」

 

 しないはずなんだけど……。どうしてか、この話をすると結界にまで臭いがこびりついてるような気がしてきた。一瞬だけ解除して張り直そう。んー……。これでよし。

 そうしている間にルドガーさんが戻ってきた。

 

「待たせたな」

「ん……」

 

 ルドガーさんは気づいてるのかな。みんなルドガーさんを避けてることに。

 

「ルドガーさん。ちょっと動かないでね」

「どうした?」

「魔法をかけるから」

 

 えっと……。この臭いだけ消す魔法。ささっと魔法陣を組み立てて、魔法を使う。するとすぐにルドガーさんから臭いを感じなくなった。これで大丈夫。もっと早くやっておけばよかったかもしれない。

 

「これでよし」

「何をやったんだ?」

「ちょっと臭いを消しただけだよ。こびりついてて臭かったから。とても、臭かったから」

「…………。すまん……」

 

『大事なことなので二回言いました』

『これ絶対作るたびにみんなに避けられてたんだろうなあ』

 

 今もみんなから避けられてたからね。よっぽどだと思うよ。

 そんな周りの人だけど、魔法使いの人たちは私の魔法を見て驚いてる。臭いを消す魔法は珍しいのかな。今さっき作ったばかりの魔法だからないのかもしれないけど。

 ルドガーさんと一緒に、受付の横にあるドアを通る。すると長い廊下があって、いくつかのドアに繋がっていた。誰でも借りれる個室が並んでいるらしくて、依頼の相談とかで使えるらしい。

 一番奥の部屋に入ると、小さなテーブルと、椅子が四脚置かれていた。

 

「座ってくれ」

「ん」

 

 近くの椅子に座って、ルドガーさんが対面の椅子に座る。さて、なんの話だろう。

 

「聞きたいことがある」

「どうぞ」

「なぜあの薬草が偽物だと分かった?」

 

 なぜ、と聞かれても困るんだけど……。

 

「保有魔力が少なかったから、だね」

「つまり精霊の森の薬草は魔力を多く含んでいる、と知っているということか」

「まあ、そう、だね……?」

「獣人が? 俺が言うのもなんだが、精霊の森にまで行く獣人は珍しいぞ?」

「…………」

 

 これって、もしかしなくても疑われてる? 本当に獣人なのかって、疑われてるのかな?

 

『姿変えただけで、リタちゃん隠そうともしてなかったしなあ』

『ぶっちゃけ誰かに指摘されると思ってました』

 

 そんなに、かな? でも、うん。確かに絶対に隠そうとしてるわけではない、かな。師匠も、強いやつをぶっ飛ばせばいいって言ってたから。

 魔法を解除して犬耳を消す。するとルドガーさんが分かりやすいほどに目を剥いた。

 

「な……!? 耳が消えた、だと!?」

「ん。魔法で耳を生やしていた」

「まさか……! お前は……人族、か?」

「エルフだよ。ハイエルフ」

「ハイエルフ!? なぜエルフの王族がここにいる!?」

 

 なぜ、と言われてもとても困る。

 

「捨てられたからだけど……」

「…………。すまん……」

「え? いや、別に気にしてないよ?」

「…………」

「なにこの空気……」

 

『リタちゃんは人の心が分からないから』

『いたいけな少女の心を傷つけたと思ったんでしょうよ』

『いたいけってなんだっけ?』

『いたいけ(笑)』

 

 私は怒ってもいいような気がしてきた。

 

「それで? 用件は?」

「いや……。その……。今は、誰かに拾われているのか?」

「ん」

「そ、そうか。つまり、その人が精霊の森に詳しいということだな? 薬草を取り扱っていたりするのか?」

「ん……?」

 

 えっと、つまり……。精霊の森の薬草を見分けることができるから、私と一緒に行動しているだろう両親が精霊の森に詳しい、もしくはその商品を取り扱ってると思った、そんな感じ?

 誤解だけど……。まあ、いっか。このまま話を聞こう。

 

「そんな感じ。それで?」

「薬草を分けてもらいたいのだ! ギルドで依頼を出しても、なかなか手に入らない……! 頼む!」

「えっと……。何の薬草?」

 

 普通の薬草じゃないってことだよね。臭いはともかく美味しいご飯も食べさせてもらったし、薬草ぐらい私が代わりに取りに行ってあげてもいいけど……。

 そう思ってルドガーさんに詳細を聞いたら、誰も引き受けなくて当然だと思うものだった。

 万能薬の材料になる薬草。精霊の森にあるお花畑に咲く、とっても綺麗なお花。それが欲しいらしい。

 




壁|w・)ギルドの受付は大変なお仕事です。(臭い的な意味で)
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