異世界魔女の配信生活   作:龍翠

501 / 543
麻婆焼きそばと辛味噌ラーメン

 ちょっとだけ足湯でくつろいだ後は、お姉さんと一緒に写真を撮ってから移動。目的のお店に向かおう。てくてくと歩いていく。

 観光に来ている人はわりと多いみたいで、何度かすれ違ったりした。

 ところで、ちょっと気になってるんだけど。

 

「不思議な人形が多いね」

 

 人形を売ってるお店もちらほらと見かける。丸い頭で細長い体の人形。初めて見たかもしれない。

 

『こけし人形だね』

『わりと昔からある伝統の人形』

『こけし地味に好き。シンプルなのがいい』

『なんとなく分かるw』

 

 こういうのが好きな人もやっぱりいるんだね。私は動物のぬいぐるみの方が好きだけど、こけしも悪くないと思う。

 少し歩き続けて、目的のお店にたどり着いた。通りからちょっと外れた場所にあるお店。あまり有名ではないけど、すごく美味しいらしい。楽しみ。

 スライドのドアを開けて中に入る。中はテーブル席が四つとカウンター席があるだけの、こぢんまりとしたお店だった。

 

「おや、いらっしゃい」

 

 そう言って出てきたのは、ちょっと年配のおじいさん。カウンターの向こう側で新聞を読んでいたみたいだった。

 

「テレビで見たことがあるねえ。魔女さんだっけ?」

「ん。麻婆焼きそばを食べにきた。あと、辛味噌ラーメンもある?」

「両方あるよ。作るから座って待ってな」

「ん」

 

 おじいさんがカウンター奥で料理をし始めた。私は近くのテーブル席へ。誰もいないからのんびりできそう。

 

『ええなあ、こういう店』

『チェーン店じゃないお店ってわりと憧れるけど、当たり外れが激しいから怖い』

『自分の口に合うかちょっとしたギャンブルだからなw』

 

 そういうものなんだね。私は今のところ、みんなが紹介してくれたお店で合わなかったお店はないけど。

 少し待つと、おじいさんが料理を出してくれた。

 

「お待たせ。こっちが麻婆焼きそばだよ」

「おー……」

 

 これは……名前の通り、だね。焼きそばの上に麻婆豆腐がかけられてる。焼きそばはもちろんソース味じゃない、素のままのもの。麻婆豆腐に絡めて食べればいいんだよね。

 

「辛味噌ラーメンも作るからねえ」

「うん」

 

 おじいさんがそう言って立ち去っていった後に食べ始める。焼きそばにしっかりと麻婆豆腐を絡めて……。

 

「おー……。ソースの焼きそばとはまた違ったおいしさだね」

 

 焼きそばがしっかりと麻婆に絡まって、とっても美味しい。ちょっと辛めだけど、嫌な辛さじゃない。むしろちょうど良くて、とっても食べやすい。

 焼きそばに麻婆豆腐をかける。単純だけど、この発想を最初にした人はすごいと思う。

 

『美味しそう』

『作ろうと思えばわりと簡単に作れるのもいいよね』

『焼きそばに麻婆豆腐をかけるだけ、だからな』

『お店のものはまたひと味違うだろうけど』

 

 そうなのかな。たっぷり食べておこう。

 もぐもぐと食べ終わったところで、おじいさんが辛味噌ラーメンを持ってきてくれた。

 

「こっちが辛味噌ラーメンだよ」

「ん……。あれ?」

 

 味噌ラーメン、だよね?

 頻繁に食べるわけじゃないけど、味噌ラーメンはもっとしっかりと色のついたスープだと思っていたけど、出されたラーメンのスープはちょっと色が薄かった。味も薄かったりするのかな? そういうのも嫌いじゃないけど、ちょっとびっくりだ。

 でも……。他とは違う部分もしっかりとあった。多分、これが辛の部分だね。

 ラーメンに一緒に入ってるスプーン……。たしか、レンゲ、だっけ。そのレンゲに、真っ赤なものが入れられてる。見た目からとっても辛そうだ。

 

『なにこれ』

『これが宮城の辛味噌ラーメンだ!』

『他だと最初から溶かされてるのが一般的だろうけど、宮城の辛味噌ラーメンは自分で少しずつ溶かしていくのが多いんだよ』

 

 へえ……。じゃあ、これを溶かしながら食べるってことだね。

 でもまずは、そのままのスープで食べてみよう。まずはちょっとスープをすする。んー……。見た目ほど薄味じゃないかな。ちゃんとお味噌の味がするから。

 それじゃあ、辛味噌を溶かしながら食べてみよう。お箸で少しずつ溶かしてから、その溶けた部分のスープを絡めて麺をすする。ずるずるっと。

 

「おー……! すごい、味が全然違う。ちょっと辛めのスープになった」

 

 単純に味噌の味のラーメンを楽しめたり、辛味噌のラーメンを楽しめたり、といった、味の変化を楽しめるラーメンなのかも。これは、うん。悪くないね。美味しい。

 

「味変、だっけ。そういうのをやりながら食べられるってことだね」

 

『ええやん、食べてみたい』

『先生! 辛味噌ラーメンの出前頼んだら全部溶かされてる辛味噌ラーメン来ました!』

『一般的な辛味噌ラーメンとして間違ってないからなw』

 

 自分で溶かせる辛味噌ラーメンも、ちゃんとそういうのを提供しているお店に行けばあるのかもしれないけど……。出前だとちょっと分かりにくいのかな。

 レンゲの先でちょっと辛味噌を溶かして、ラーメンをずるずると。自分の好みの辛さにできるのがとってもいいと思う。

 

「よく食べるね。これも食べな」

「餃子!」

 

 おじいさんが餃子も作ってくれた。それじゃあ、遠慮なく……。おお、噛んだら肉汁が溢れてきた。とっても美味しい!

 

『しっかりと羽根つきなのがいいね!』

『ぱりぱりしてそう』

 

 ぱりぱりしてる!

 全部しっかりと食べ終えて、完食。とっても美味しかった。

 

「満足」

「よく食べたね。作った俺としても嬉しいよ」

「美味しかった」

「そうかいそうかい」

 

 おじいさんは嬉しそうに笑ってる。いいお店だね、ここ。

 

「ここには観光で来たのかい?」

「ん。いろいろ見てる」

「せっかく来たんだし、温泉にも入っていきなよ」

「そうする」

 

『店主さんぐっじょぶ!』

『お風呂配信だー!』

 

 いや、さすがにお風呂配信はしないからね。真美に怒られちゃうから。

 




壁|w・)もぐもぐしかしてない……!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。