異世界魔女の配信生活   作:龍翠

507 / 542
コンビニ弁当

 

 夕方。そろそろ日が傾いてきたかな、という時間で私は起きた。日当たりが良くてぽかぽかしていたけど、それがなくなってきたからちょっと寂しい。

 

「ん……?」

 

 なんだか枕があるような気がする。もぞもぞ動いて見てみたら、師匠の足だった。

 

「起きたか寝ぼすけさん」

「んー……。寝ぼすけじゃない。今日はお昼寝するって言った」

「いや、どれだけ長いお昼寝だよ……」

 

 んむ……。そんなに長かったかな? 確かに、ちょっと早めのお昼ご飯を食べてからすぐにお昼寝し始めたから、五時間は寝た気がする。とってもいい気持ち。

 

『リタちゃん寝過ぎでびっくりだよ』

『リタちゃんの寝顔配信は最高でした』

『シッショの読書配信はクソでした』

 

「ケンカ売ってんのかお前ら」

「ん……?」

 

 配信の黒い板が出てる。私は配信をした覚えがなかったけど……。ああ、そっか。師匠がしてるんだ。師匠も配信の魔法は使えるはずだから。

 

「リタも起きたし、配信代わろうか。リタが使えばそのまま変更されるはずだから」

「そうなの?」

「配信の魔法はリタに譲るって言っただろ? だから、俺が配信できるのはリタがやってない時だけさ」

「ふうん……」

 

 チャンネル、だっけ。そういうのを分けるようにすればいいんじゃないのかな。精霊様に頼んだらやってくれるかも。

 そう言ってみると、師匠は苦笑いしながら首を振った。

 

「頼んだらやってくれるかもしれないけど……。やめてあげような。主に地球の、運営の会社の人が困るから」

「そうなの?」

 

『そうだぞ』

『困るかは分からないけど、よく分かってなかった時はわりとホラーだったらしいからな』

『管理側で削除できないチャンネルとか怖すぎるw』

 

 そういうものらしい。精霊様の魔法の仕組みはやっぱり分からない。

 師匠も言ってくれたから、私が配信の魔法を使う。すると光球と黒い板はすっと私の側に移動してきた。配信も私メインになったみたい。あまり違いはないような気がするけど。

 

「よし。それじゃあ晩ご飯だな。何にする?」

「コンビニのお弁当を食べてみたい」

「なんで……?」

「なんとなく?」

 

『まさかのコンビニ弁当w』

『そういえばコンビニのお弁当には手を出してなかったな』

 

 気まぐれだよ。気まぐれ。コンビニのお弁当とかは限定品とかでもない限り大差ないって聞いたから、逆にあまり行く機会がなかった。だから、今回は行ってみたいと思う。

 何故か呆れる師匠と一緒に心桜島のコンビニ前に転移。コンビニに入ると店員さんはちょっと驚きながらも、気にしないようにしてくれる。いいお店だね。

 さて。お弁当だ。

 

「師匠。カレーがある」

「お前がいつも食べてるカレーと比較すると絶対に残念なことになるから別のにしなさい」

「えー」

 

『これはシッショが正しい』

『最近は美味しいお弁当も増えたけど、やっぱりお店で作る料理と比べるとちょっと残念だからな』

『特に比較対象が真美ちゃん謹製のカレーだと……』

『勝てる未来が見えないw』

 

 そこまで言うなら別のにしよう。んー……。

 

「じゃあ、これと、これと、これ」

 

 唐揚げ弁当と、カルビ弁当、それにサンドイッチのハムレタス。師匠も同じものにしていた。

 

『普通に二人ともお弁当を二つ取ってる』

『むしろまだ控えめだと思うぞ』

『買い占めないあたり優しさを感じる』

 

 全部買っちゃうと、次に来る人の迷惑になっちゃうかもしれないからね。

 そうしてお家に戻って、魔法でお弁当を温める。それじゃあ、まずは唐揚げ弁当から。

 

「んー……。悪くはないけど、サクサク感がない。美味しくはあるけど」

「そうか? 以前と比べるとかなり美味しくなってるぞ。唐揚げが柔らかい」

「師匠のお母さんの唐揚げと比べるとちょっと」

「揚げたて唐揚げと比べてやるなよ……」

 

『比較対象が悪すぎるw』

『もうちょっと手加減してもろて』

 

 そういうものらしい。でもこれも美味しいのは美味しいと思うよ。

 次はカルビ弁当。ご飯の上にお肉を敷き詰めてる。タレもたっぷりだ。ぱくりと食べてみて……。うん。こっちも悪くない。さすがにお店で食べるものと比べるとちょっと残念のような気もするけど、それでもちゃんと美味しい。

 

「もぐもぐ……。タレが濃厚。悪くない」

「肉も結構柔らかいな。うまい」

「うましうまし」

「どこで覚えたんだそれ……」

 

『いつの間にか覚えてました』

『俺たちが! やりました!』

『潔いw』

 

 もぐもぐと食べて、最後にハムレタスサンド。レタスがたっぷりと入っていて、ハムもしっかりと入ってる。食べてみると、レタスのシャキシャキとした食感はちゃんと残っていた。

 唐揚げの食感がちょっと残念だったからあまり期待してなかったけど、これはとてもいいと思う。

 

「美味しい」

 

『先生! コンビニから弁当が消えました!』

『お前らコンビニ弁当もサンドイッチもいつでも食えるだろw』

『美味しそうに食べるリタちゃんが悪いんや!』

 

 それはおかしいと思う。

 うん……。満足。さすがに現地で食べるできたてと比べるとちょっと残念だけど、でもこれはこれで十分に美味しかった。コンビニのお弁当も悪くないね。

 明日からは獣人国に行くから、たくさん食べておかないと。あとはお菓子を食べよう。もぐもぐ……。

 

「お菓子も食べるんかい」

 

 師匠に呆れられた気がするけど、きっと気のせいということで。

 




壁|w・)個人的には唐揚げ弁当より油淋鶏弁当みたいな、定番よりちょっと外れたものが好きです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。