異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ずるずる

「誰?」

「いや、え……。これは、どういう……」

「もう終わったか聞いたってことは、あなたが依頼者、だよね?」

「え、あ、その……」

 

 なんだかしどろもどろだ。私もあまり長く時間をかけるつもりはないから、早くしてほしいと思ってしまう。

 この人だけど……。精霊の森の特産品とか嘘をついて売っていた商人さんだ。だから私も狙ってきたんだね。偽物だって言ったから。

 

「お、おい! 早くそいつを殺せ!」

「この状況でできるわけねえだろボケ!」

 

 商人さんとぎゅっとされてる人が言い合ってる。商人さんも無茶を言うね。一人は拘束されていて、もう一人は気絶していて……。これでどうやって私を殺そうって言うんだろう。

 私が首を傾げていたら、また何か飛んできた。火球だ。建物の屋上から飛んできて……。私の結界に反射されて跳ね返っていった。

 

「あっつう!」

 

 そしてなんか聞こえてきた。

 

『なるほど、まだいたのか』

『こいつら学習能力ないのか?』

『まさか結界が反射してるとは思わないだろうから……』

 

 そうだね。普通は攻撃を防ぐぐらいしかないはずだから。

 屋上にいる人もぎゅっとして、ふわふわ浮かしてこっちに呼び寄せることにした。他にはさすがにいないみたい。これで全員だ。

 

「ひぃっ!? 体が浮いて……。こわいこわいこわいたすけてー!?」

「うるさいなあ……」

 

『こらw』

『気持ちは分かるけど毒を吐いちゃいけません!』

『うるさいなら殺っちゃえばいいんだぜ!』

『とんでもない提案するやつは無視で』

 

 んー……。商人さんも出てきたから別に殺してもいいんだけど……。私自身は別に問題にもなってないから、そこまで怒ってもないわけで。

 

「ご飯を食べてる時とか料理を台無しにされた時なら迷わず殺すけど……」

 

『ご飯の方が大事なんかw』

『大丈夫? 価値観おかしくなってない?』

『まあリタちゃんだし』

 

 その言い方はちょっとむっとしてしまいそう。

 とりあえず、魔法使いさんはうるさいから、二階ぐらいの高さから魔法を解除して落としておいた。ふぎゃって地面に落ちてる。魔法を封じてはいないから、やろうと思えば飛べるはずなんだけど。ああ、もしかして。

 

「空を飛ぶ魔法すら使えないんだね」

「……っ!」

 

『煽っていくスタイル』

『そもそも空を飛ぶ魔法は難しいって何度も言われてるでしょ!』

 

「そんなことない。師匠は簡単な魔法だって言った」

 

『おいこら師匠!』

『精霊様が簡単な魔法だって言ったから……』

『やはり元凶は精霊様かw』

 

 つまり私と師匠は悪くない、ということで。

 

『待ってください! しれっと私の評価が落ちていませんか!?』

『精霊様もよう見とる』

『でも事実ですよね?』

『事実ですけど! 人間にとって難しいとは思わなかったんです!』

 

 精霊たちは私たちが手を動かすのと同じような感覚で魔力を扱ってるらしいから、本当にそういうものなんだと思う。だから、別に精霊様に怒ってるとかはないよ。

 さて、と。

 

「これで全員なわけだけど……」

「ひぃ!?」

 

 商人さんに視線を向けたら、その場で腰を抜かしてしまった。ちょっと失礼だと思う。そんなに怖いことしてないはずなのに。

 

「な、なんだんだよお前! こいつらはBランクの冒険者だぞ!」

「冒険者なんだ」

 

 冒険者がこんなことしてるなんて……。ちょっとだめだと思う。間違いなく犯罪だし、冒険者のイメージも悪くなるから。あとでギルドに突き出しておこう。きっと他にも何かやってる。

 

「ただの獣人が、こいつらに勝てるわけが……」

「そもそも獣人じゃないからね」

「は……?」

 

 魔法で生やしていた猫耳を消す。そういえば耳の種類も違ったのに、それすら気づいていなかった。本来なら興味もなかったのかな?

 

『ああ、貴重な猫耳成分が……』

『リタちゃんの猫耳をもっと見たいです!』

『猫耳! 猫耳!』

 

「あとでね」

 

『やったあ!』

 

 何がそんなに嬉しいのか本当に分からない。ちょっと変な薬を飲んでない? 病院に行った方がいいよ。

 呆れつつ、呆然としてる商人さんの前でフードを被る。そうしてからギルドカードを取り出した。見せた方が早いと思うから。

 

「改めて、隠遁の魔女です。よろしく」

「魔女……!?」

「Sランクじゃねえか! テメエ話が違うぞ!」

「ルドガーはともかく、こっちはただのガキだって言ってたじゃない!」

 

 ぎゅっとされてる二人組が叫んでる。今気づいたけど、魔法を使ってた人は女の人だね。犯罪者の性別なんてどっちでもいいけど。

 

「し、知らなかったんだ! すまない! 謝るから見逃してくれえ!」

「んー……。だめでしょ」

 

 とりあえず……。ぎゅっとして連れて行くことにする。冒険者三人組はギルドでいいとして、商人さんはどこに行こう。ルドガーさんに聞けばいいかな?

 

「とりあえず、行こう。立てる人は立って」

「ふ、ふざけんな! 俺たちは行かねえぞ!」

「あ、そう」

 

 それならそれで別にいいんだけどね。引きずるだけだから。もしかして私の見た目で、無理矢理連れて行くことは難しいだろうと思ってるのかな。

 気絶してる人もぎゅっとして、四人を引きずっていく。別に力がいるわけじゃない。浮かせることもできるけど、そこまでしてあげるつもりもない。魔力で身体能力を強化して、ずるずると。

 後ろでなんだかわーぎゃー騒いでるけど、気にせず引きずることにした。ずるずる。

 




壁|w・)子供に引きずられていく大人四人組。
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