異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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獣人国の屋台

 

 門を通してもらって、街の中。街の雰囲気は人族の街と大差ないと思う。門から繋がる道はとても広くて、両側にお店がいっぱいだ。

 そして、歩いている人はみんな獣人さんだった。

 

「おー……」

 

『ケモミミたくさんだ!』

『ケモナーの俺、大歓喜』

『俺この街に住みたい』

 

 止めはしないけど、人族だと差別されるらしいからやめた方がいいよ。

 てくてく歩いて街の中へ。まずは……どこに行こうかな。とりあえず冒険者ギルドかな? でも冒険者ギルドに行く時は獣花の魔法を解除しないといけないかも。勘違いされちゃいそうだし。

 

「んー……。あちこちからいい匂いがする……」

 

『リタちゃんのねこみみがぴくぴく動いててかわいい』

『尻尾もふりふりしててかわいい』

『うえへへへ』

 

 なんだろう。今日の配信は変な人が多い気がする。あまり気にしないようにしよう。

 少し歩いて見つけたのは、どこにでもある串焼き肉。屋台で焼いているお肉で、すごくいい香りだ。美味しそう。なので早速買ってみた。十本ほど。

 

『また串焼き肉?』

『なんか行く先々で食べてないかw』

 

「ん……。串焼き肉はね、街ごとに味付けが違う。多分手に入りやすい香辛料とか、お肉の違いだと思うけど、その街の特色が出てると思う」

 

『めっちゃ語るじゃん』

『串焼き肉を語る幼女の図』

『串焼き肉の魔女』

 

 変な二つ名をつけないでほしい。

 それじゃあ、まずは一口。もぐり。

 

「もむもむ……。かなり辛めの味付けだね……。あと何よりも、お肉が固い。今まで食べたお肉で一番固いかもしれない」

 

 もちろん食べられないほど固いわけじゃない。でも、かなり食べづらいことに違いはない。

 

『お肉は柔らかい方がいいなあ』

『獣人って身体能力高そうだし、歯ごたえのあるお肉の方が好まれるのかも?』

『ある程度歯ごたえのあるお肉の方が好きっていうのは日本にもいるからね』

 

 んー……。なるほど。そういうものかもしれない。探せば柔らかいお肉もあるかも?

 そうして食べながら歩いていたら、また別のお店を見つけた。今度は……お野菜。お野菜を甘辛く煮詰めたもの。なんだろうこれ。

 

「ください」

「はいよ!」

 

 お野菜はレタスみたいなものに見える。それをお鍋に入れて、黒いタレにつけこんでぐつぐと煮た……のかな? そのお野菜を串に刺して渡してくれた。

 串焼き肉ならぬ串焼き葉っぱ。いや、焼いてないか。串煮葉っぱ?

 

「むむむ」

「嬢ちゃん?」

「ごめん」

 

 とりあえず受け取ろう。これも十本ほどもらっておいた。

 

『また何か変なこと考えてたのでは』

『串焼き肉っぽいから串焼き葉っぱとか!』

『焼いてないから串煮葉っぱとかw』

 

 なんで分かるの? ちょっと怖い。

 これもとりあえず一口。もぐもぐと。

 

「んー……。甘いような辛いような……。そんな味。正直、ちょっと微妙だね。ごはんがあればちょうどいいかも」

 

『おかずに最適かな?』

『食べてみたいような怖いようなw』

 

 あまりオススメはしないよ。日本で野菜炒めを食べる方がきっと美味しい。

 そんな感じで、食べ物の屋台を続けて回っていく。なかなか美味しいものもあれば、微妙なもの、まずいもの、いろいろあった。やっぱり獣人の味覚に合わせているのか、どうしてこれが売り物になっているのか分からないレベルのものもあったね。

 そうして食べ歩いていたら……。

 

「気付けばそこはスラムでした」

 

『細い道に入っちゃったと思ったらw』

『リタちゃん! 帰ろう! 危険だよ!』

『誰が?』

『スラムの住人が!』

 

 んー……。いや待って。今のはどういう意味? もしかしなくても、スラムの住人さんが私に襲われて危ないっていう意味だったよね?

 

『他に何の意味が?』

『え? リタちゃんの心配? する必要あります?』

『いいか、リタ。心配してもらいたいなら最初から間違えてる』

『おいシッショw』

 

 師匠はあとでお話だね。私も怒る時は怒るよ。

 まあでも、わざわざスラムに入る必要もないのは確かだ。美味しいものがあれば見て回るのもいいけど、多分期待できないから。

 建物が明らかにどれも古いものになってる。道には人が倒れていたり、危ない目をこっちに向けてくる人がいたり……。なるほど、これは襲われそう。

 

「じゃあ帰ろう。そろそろルドガーさんも動けるように……」

「ぐああ!?」

「ん?」

 

 変な叫び声。振り返ったら、路地で腕にナイフを刺した人が震えていた。

 えっと……。

 

「腕にナイフを刺す趣味でもあるの?」

 

『いや草』

『趣味が危なすぎるw』

『投げナイフだよ! 反射されたよ! ああなったよ!』

 

「ああ……。なるほど」

 

 もう襲われるとは思わなかった。襲いやすいと思ったのかな?

 とりあえず……。

 

「帰ろう」

 

『無視だー!』

『もうちょっと反応してあげてもいいと思うんだw』

『あの商人さんの時はちゃんと捕獲したのにw』

 

 あの時はルドガーさんを狙ってた人を捕まえるっていう目的があったからね。この人は今のところ無関係だから相手しない。時間の無駄だから。

 うずくまる人を放置して、私はスラムを後にした。ルドガーさんを探さないとね。

 




壁|w・)スラムがまた出てくるかは未定なのだ……。
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