異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ギルマスさんちの肉料理

「待たせたな」

 

 ギルマスさんが持っているのは、とっても大きなお皿。日本でも見たことがないぐらいに大きなお皿だね。そんなお皿には葉っぱで包まれた何かがある。

 ギルマスさんがテーブルにそのお皿を置いてくれた。

 

「おー……。いい香り」

 

 食欲がそそられる香りだね。とても、とってもいい香りだ。

 

「料理ってこういうものだよ」

「魔女殿。何か言いたいことがあるのか?」

「ルドガーさんの料理は臭いって言いたい」

「…………」

 

 しょんぼりとルドガーさんがうつむいてしまう。同情なんてしない。いい加減自覚してほしいから。

 ギルマスさんはくつくつと笑いながら、それじゃあ、と大きなナイフを取り出した。

 

「この葉は香辛料の香りつけの役目もあるが、ちゃんと食べられる。俺たちはこれに直接かぶりつくが……魔女殿には少々大きすぎるだろう」

「ん……」

「だから、ある程度切ってやろう」

 

 そうだね。本当にすごく大きい。両手で抱えながら食べないといけないぐらい。いや、抱えることも難しそうだから、お皿の上にあるのを直接かじらないといけないかも。

 別に私はそれでもいいけど、切ってくれるならお願いしよう。

 ギルマスさんがナイフを入れていく。入れたところから、湯気がむわっと上ってきた。

 

「おー……!」

 

『これは……映像でも美味しそうなやつ!』

『香りもいいらしいし、今回のは当たりか?』

『感想を! 感想をくだしあ!』

『お前それめちゃくちゃ古いぞ』

『単純にタイプミスだよ!』

 

 感想だね。ちょっと待ってね。

 葉っぱの中は、大きなお肉。お肉は中が赤いけど、しっかりと火は通っているから人族でも問題なく食べられるのだとか。

 脂身っていうのかな? そういうのはちょっと少なそうだけど……。ナイフの入れ方から、すごく柔らかいんだと思う。抵抗なく入れてるみたいだったから。

 ギルマスさんが切り分けたお肉をフォークで刺して、私に差し出してくれた。それじゃあ、いただきます。

 

「もぐもぐ……んー……」

 

『どきどき』

『めちゃくちゃ柔らかそうなお肉だったよな』

『すってナイフが入っていってた。日本でも珍しいんじゃないか』

 

 ちょっと静かにしてほしい。んー……。

 

「不思議な味。すごく辛い味付けなんだけど、コクがあるっていうのかな? 濃厚なお肉の味もある。肉汁があふれてくるのがいいね」

「そうだろう?」

 

『肉汁たっぷりか』

『美味しそう!』

『食べたい!』

 

 うん。実際、美味しいと思う。私の世界にもこんなに美味しい料理があるんだねって思ったぐらいに。日本の料理と比べるとやっぱりちょっと物足りないと思えてしまうかもしれないけど、この世界でもトップクラスだと思う。

 でも……。すごく残念なところもあるんだよね。

 

「問題は……意外とお肉が硬い」

「あー……」

 

『え』

『マジで? ナイフすっと入れてたのに?』

『もしかして……獣人の膂力ってやつか!?』

 

 もしかしなくてもそうだと思う。

 そういうお肉なのかは知らないけど、すごく硬いお肉だ。ぐにぐにとしたお肉よりもさらに硬い。太いゴムみたい。私も魔力で強化しないと食べるのに苦労すると思う。

 でもギルマスさんはそんなお肉を平然と噛んで食べてるから、やっぱり獣人さんにとってはこれぐらいがちょうどいいのかも。いつの間にかルドガーさんも食べてるし。

 

「しかし、魔女というのはすごいな。まさか本当にこれを食べられるとは思わなかったぞ」

「ん……。魔力で強化したから」

「それがないと厳しいか」

「かみ切れないと思う」

 

 顎が強い人なら食べられるかもしれないけど……。きっと、すごく疲れるだろうね。美味しいだけに、本当にその点だけが残念だ。

 

「ああ、ギルマスのメシは確かにうまい。だが、他種族には勧められないだろう。かみ切れないからな。それならば、やはり俺の料理が上だろう」

「他人に迷惑かける料理よりはマシだと思うよ」

「…………」

 

『ばっさりいったw』

『またまた落ち込むルドガーさん』

『ルドガーさん、強く生きて……』

 

 味はいいんだけどね。味は。

 もぐもぐと食べていたら、ギルマスさんが話しかけてきた。

 

「そういえば、魔女殿。魔女殿はなぜこの国に来たんだ? 俺が言うのもなんだが、あまり他種族にとって優しい場所じゃないだろ」

「んー……。獣人さんのごはんを食べてみたかっただけ」

「…………。それだけか?」

「あとは獣人さんを見てみたかった? たてがみ触ってみたい」

「変なお人だなあ……。いいぞ、触っても。ただ、毎日手入れをしているからな。汚れた手はやめてくれ」

 

 ちゃんと魔法で綺麗にしてから触るよ。

 それじゃあ、持っているお肉を食べ終えてから……。

 

「おー……。ふわふわ。もふもふ。すごい」

「ああ。俺の種族はこのたてがみがいい男の証明だ。まあ、金があるやつほどたてがみをしっかり手入れできるというだけだがな」

 

『わりと分かりやすい理由だったw』

『種族的な本能かとw』

 

 お金がなかったら手入れする余裕もないだろうからね。がんばって働かないといけないだろうから。そう思ったら、ギルマスさんはすごい人なのかもしれない。

 さらさらもふもふ。うん。いいさわり心地だ。

 

「…………。少し照れるな」

「ん?」

「いや、なんでも」

 

 なんだろう。ライオンのぬいぐるみみたいで、気持ちいい。たてがみって、いいよね。

 

「魔女殿。あとで頼みたい依頼があるんだが……」

「もうちょっと……」

「…………。好きなだけ触ってくれ……」

 

 諦めたようなギルマスさんの声。もうちょっとだけだから、ちょっと待ってね。

 




壁|w・)おにくもぐもぐ。
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