異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ばくっと救出

「たくさん子供さらってきたって聞いた。つんつん」

「おま……やめろ! いい加減それやめろ!」

「どこにいるの? あと、王子さん、どこ? つんつん」

「やめ、つつくな! 誰がテメエに答えるか!」

 

『これは強情』

『ていうかリタちゃん、あと一回だけって言ってたのにずっとつんつんしてるやんw』

『さては気に入ったな?』

 

 ちょっとだけ。ちょっとだけだよ。つんつん。

 

「早く教えてほしい。今なら痛くないよ」

「はっ! テメエみてえなガキが何ができると……」

「つんつん……。ぶすり」

「いだあああああ!?」

 

『ひぇっ』

『容赦なくぶっさしていくスタイル』

『ほんのりスプラッタだ!』

 

 あ、そうだね。血が出るのは避けた方が良かったかもしれない。まあ、少しだけだよ。少しだけ。

 偉そうな人は私に枝を刺されても、しっかりと私を睨み付けていた。とてもすごいと思う。私も痛いのは嫌いだから、立派だ。とても立派。

 

「ちなみに私は回復魔法も使えるからね。治してあげる」

「はっ! なんだ、諦めたのか! 今更改心したって、テメエはここで八つ裂きに……」

「いっぱいさして、死ぬぎりぎりまで刺して、それからしっかり回復させてあげる。何回ぐらいくり返せばいいかな? 大丈夫、時間はあるよ」

「…………」

 

『お顔が真っ青ですねえ』

『この子、マジでやる子だから早く話した方がいいと思うんだ』

『悪人に対して容赦がない魔女』

 

 容赦をする必要もないと思うから。

 それじゃあ、いってみよう。

 

 

 

 地下に捕らわれていたのは、この街でさらっていた子供たちらしい。とりあえず全員解放して、門の側の兵士さんに任せておいた。これで一安心。

 あとは、王子さん。それもちゃんと場所は聞き出しておいた。

 というわけで。

 

「来た」

 

『気づけばそこはスラムでした』

『何度目だよこれ』

『ちょっと大きいけど普通の家屋だよな』

 

 二階建ての、よくある建物。あまり目立たないからこそ、隠れるにはいいのかも。周りの人の殺気とかは隠せてないけど。

 さてと。さくっとやろう。もうすぐ日が沈むから、晩ご飯の時間になる。私は早くお肉が食べたい。美味しいお肉。とても、楽しみ。なので、ばくっと。

 

「うわああああ!?」

「ひいいいいい!?」

「なんだあ!?」

 

『阿鼻叫喚の騒ぎである』

『どうすんのこれw』

 

 ん。どうもしない。すぐに終わるから。

 いつもの魔法で、建物のあっちこっちを削って……。最低限人だけ当たらないようにばくっとしておいた。スラムにしてはほどほどに立派だった建物が、今はもう穴だらけの建物になってしまっている。

 とても偉い人……。組織のボス。黒い豹みたいな獣人さん。視線をぐるっとして探して……。何人かが私の結界に弾かれて吹き飛ぶのを無視しつつ、その人を見つけた。

 二階部分の場所にいる人。もう階段とかもなくなってしまっていて、ぎりぎりの状態で保ってるその場所に、黒い豹の獣人さんと、もう一人、幼い男の子がいた。ボスの隣でぷるぷる震えてる。

 とりあえずふわっと浮いて、ボスの目の前へ。まだ微妙に壁が残っているから、それらもばくっとして改めてボスの前に浮いた。

 

「こんばんは」

「お前……魔女か」

「ん。捕まえに来た。おとなしくしてほしい」

「…………」

 

 ボスはゆっくりと視線を巡らせる。あっちこっちへと視線を投げて、ふっと小さく笑った。

 

「分かった。連れて行ってくれ」

「ん……? 抵抗しないの?」

「この惨状でそれを言うのか?」

 

 ふむ……。んー……。えっと……。

 私も周りを見る。えぐられた建物に、ぎゅっとされた人たち。結界に弾き飛ばされて隣の民家につっこんでる人もいるね。わざとじゃないけど、ばくっとした時に変な動きをして腕を食べられちゃった人もいるみたい。悪人さんだし別に悪いとは思わないけど。

 うん。

 

「抵抗しないの?」

「…………」

 

『正気を疑う目である』

『抵抗しても死ぬ未来しかないじゃないですかやだー!』

『魔女は人の心が分からないからw』

 

 そこまで言う?

 でも、抵抗しないなら楽でいいかな。幹部さんたちもだいたい捕まえることができたし、このままギルドまで行って引き渡そう。

 王子は、ボスの隣で縄で縛られている子供、だね。真っ白な虎みたいな獣人さん。もふもふしてる。とりあえず、挨拶。

 

「こんばんは。助けに来たよ」

「…………」

「あれ? 聞いてる?」

「…………。きゅう」

「え」

 

『王子ダイーン!』

『なんてことだ! 王子さんが倒れちゃった!』

『ボステメエ! 何しやがったんだ!』

 

 そうだよね。ボスが何かしたんだと思う。ボスへと視線を向けると、なぜかとても呆れたような目を向けられた。

 

「俺は何もしていない」

「ん? でも、倒れた」

「落ち着いて考えろ。俺に捕まっていたとはいえ、一応は安全な場所にいた。それが、よくわからん影の口に周囲がえぐり取られたんだ。ほんの目の前で大きな口が閉じたんだぞ? 俺ですら死んだと思ったね。で、その元凶が目の前に来たわけだが……。どう思う?」

「…………。悲しい事件でした」

「おい」

 

『おいwww』

『魔女は人の心が分からない(ガチ)』

『これはひどいw』

 

 私は……悪くない。悪くないと思う。手っ取り早く、さくっとやりたかっただけだから。

 ともかく……。これで事件解決。終わり! まずはギルドに立ち寄って、お城に行こう!

 




壁|w・)ばくっと(してトラウマを植え付けた上で)救出!
何も問題ないな、ヨシ!
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