異世界魔女の配信生活 作:龍翠
「というわけで、終わったよ」
ボスも含めて全員ぎゅっとして、ギルドに戻ってきた。全員入れるとギルドが大変なことになるから、ボスと王子だけ連れてギルドマスターの部屋に来てる。ギルドマスターは唖然としていて、待ってたらしいルドガーさんは何故か天を仰いでいた。
「外には構成員のほとんどがいる。いっぱいだから、早めにどうにかした方がいいと思うよ」
「いっぱい……。何人ぐらいだ……?」
「さあ?」
「…………」
ギルドマスターが慌てたように部屋を出て行く。指示を出しにいったか、見に行ったか……。私にはどっちでもいいことだ。
ちなみに王子はまだ気絶したままだから、私の隣でぷかぷか浮かしてある。ギルドマスターさんはそれどころじゃなかったみたいだから、ルドガーさんに任せよう。
「ルドガーさん。これ、王子。預ける」
「王子をこれって言うなよ……」
『もはや物扱いである』
『まあここまで自分の足で歩かなかったし、物だよね』
『誰のせいなんだ誰のw』
誰のせいだろう。ひどい人もいたものだ。私には全く分からないよ。分からないってば。
「その……。生きてる、よな?」
「ん? 生きてるよ。気絶しちゃっただけ。私は何も悪くない」
「何も言ってないが? 何かやったのか、魔女殿」
「…………」
「目を逸らさないでほしい」
『嘘をつけない魔女w』
『自白してるようなものじゃんw』
余計なことは言わなくていいよ。
ルドガーさんはため息をつきながらも、王子を受け取ってくれた。そのままソファに寝かせる。そうしてから私に言った。
「ギルドマスターと相談してくる。おそらく城に向かうことになる」
「お肉は?」
「え……。あー……」
ん? まさか、とは思うけど……。
「何も用意してない、とか、ないよね?」
「……っ」
『ヒェッ』
『微妙に目が据わったのが怖いw』
『おおお落ち着くんだリタちゃん! まさか一日で解決してくるとか思わないじゃん!』
それはそうかもしれないけど、それでも私はお肉を用意しておくように言った。こうしてちゃんと解決してきた。だから、契約の履行を求めます。別に契約はしてなかったと言われると、それはそうなんだけど。
「一応、城には伝えてある……が……。その、間に合わなかったとしても、怒らないでほしい」
「ん……。用意しようとして間に合わなかった、ならいいよ」
それは不可抗力というものだと思うから。適当に誤魔化されるのも嫌だからね。
ルドガーさんは小さく安堵のため息をついて、それじゃあ、と部屋を出て行った。お肉、大丈夫かな。食べられるかな。
結論を言えば、やっぱりだめだった。
「むううう」
「まあまあ。落ち着けよ」
いろいろ報告とかたくさんあるらしくて、どうしてもお肉の用意とかは難しいらしい。少し待ってほしいとのことで、それならと私は森に帰ってきてる。余裕を持って、三日ほど待ってほしいだって。それまでにどうにかするから、と。
森のお家に戻ってきて、ちょっとだけやけ食い。もうお肉の気分になっていたから、帰り際にワイバーンを狩っておいた。お庭で焼いて食べてるところ。
『帰宅ついでに狩られるワイバーンさん』
『信じられるか? このワイバーン、森の外だとドラゴンレベルらしいぞ』
『リタちゃんからすれば美味しいお肉だから』
肉汁たっぷりやわらかお肉。とても好き。
師匠も苦笑いしながら、一緒に食べてる。もぐもぐ。
「それで、どうするんだ? 三日間、ここでのんびりするか?」
「んー……。暇だし、日本に行く」
「そっか」
さすがに三日もあると本当に暇だからね。日本に行って、美味しいものを食べたい。カレーも食べたいね。楽しみ。
ただ、師匠はなんだか難しい顔をしながらお肉を食べていた。
「師匠? どうしたの?」
「ん? ああ、いや、なんだ……」
ワイバーンの肉をつまんで、口に入れて。そうしてから、師匠は言った。
「リタ。獣人国の肉は楽しみか?」
「特別なお肉。とても楽しみ」
「だよなあ……」
「……?」
師匠は何が言いたいんだろう?
「あー……。ワイバーンの肉で育ったリタが、獣人国の特別な肉とやらで満足するとは思えないんだけど……。お前らどう思う?」
『それはそう』
『こんなものか、なんて言いそうw』
『ご機嫌取りのお肉を用意せねば!』
「だよなあ」
なんだか師匠が視聴者さんとお話ししてるけど……。私には聞かせたくないみたい。内緒話ぐらいで何か言ったりしないから、私はお肉の続きを食べる。
厚みを残して長く切ったお肉を適度に焼いて……。つまんで、もぐり。
「んふー」
「獣人国か……。一週間後、国として残ってるだろうか……」
『おいばかやめろ』
『さすがにそこまでやらない……やらないよね?』
『みんな忘れがちだけど、リタちゃんはわりと勢いで行動するからね!』
『余計に怖くなってきたw』
何か変なことを言ってる気がするけど、気にしない。私はお肉を食べる。
もぐもぐと……。日本、どこに行こうかな?
壁|w・)というわけで、次回からはまた日本です。