異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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壁|w・)ここから第45話のイメージ。



スイカもどきと川魚

 

 ギルドマスターさんたちに犯罪組織の人たちを任せて、翌日。私はのんびりと精霊の森を散歩していた。目的は……朝ご飯。たまには森で手に入るものを朝ご飯にしようかなって。

 

「だからのんびり歩いてる」

 

『いやリタちゃん、いきなり配信始めてそんなこと言われても……』

『だからにかかる部分が何も説明されてない!』

『バカヤロウ! 視聴者ならそれぐらい察しろよ!』

『リタちゃん大好きな真美さんなら余裕だぞ!』

『多分、朝ご飯になるものを森で探そうと思ってるんだと思うよ』

『え、ほんとに分かったの?』

『なにそれ怖い』

『どん引きはひどくないですか!?』

 

 さすがだよね。ほぼほぼその通りだよ。

 のんびり歩いて、あ、と見つけたものがあった。木の実だ。日本で言うところのスイカみたいな果物。味はちょっと酸味があるけど、わりと甘いやつだね。

 

「スイカもどきが実ってる」

 

『ねえ待って。ちょっと待って』

『なんでスイカが木に実ってるんですかねえ!?』

 

「え? スイカってそういうものだよね?」

 

『違うが!?』

『なんで微妙にこの世界の果物はずれてるんだw』

 

 んー……。そもそも育った環境が違うんだし、一緒にはならないと思う。多分だけど。

 スイカもどきを切り落として、すぱっと切る。とっても赤くて美味しそう。それじゃあ、いただきます。しゃくり。

 

「んー……。ちょっと甘めだね。美味しい」

 

『見た目は本当にスイカやな』

『日本のスイカと比べてどうなんだろう?』

 

「ん……。師匠が言うには、同じではないけど割と近い、だったかな? 目を閉じて、これはスイカだこれはスイカだって念じて食べたらスイカのような気がするらしい」

 

『それは本当に近いのか?w』

『完全に自分に言い聞かせてるじゃないかw』

『決してまずくはない、というのが地味にポイント高いw』

 

 味としては美味しい方だと思うからね。師匠もたまに食べるぐらいには。

 いくつかお土産にアイテムボックスに入れて、さらに歩く。朝ご飯としてはスイカもどきで十分だけど、他にも何かあるなら食べたいから。

 そう、例えば。

 

「焼き魚とか」

 

『逃げて! お魚さん逃げて!』

『リタちゃんが狙ってるぞ!』

 

 失礼だと思う。狙ってるけど。

 てくてく歩いて、川にたどり着いた。以前、ぷかぷかと流された川だ。師匠はよくここで釣りをしてる。普通に食べるならもっと簡単に捕まえられるけど、釣りはのんびりできていいらしい。

 今日は朝ご飯を食べたら日本に行こうと思ってるから、あまり時間はないけど。

 川に手を入れて、水の中の一定範囲を結界で覆う。これは逃げられないように、という目的もあるけど、今から使う魔法の影響が拡大しないようにという目的の方が大事だ。

 というわけで。

 

「びりっと」

 

 電撃の魔法を流し込んだ。びりびりっと。

 

『まぶしい!』

『電撃っすか!? 雷っすか!?』

『やりやがった! この子、やりやがったぞ!』

『日本でそれをやるのは絶対にダメだからね!』

 

 おお……。そうなんだ。日本では禁止。分かった。覚えておく。便利だからいいと思うんだけどね。

 ぷかっと浮いてきた魚たちをアイテムボックスに回収して、一匹だけ火の魔法でさっと焼く。中までしっかりこんがりと。そうしてから、ぱくりと食べた。

 

「んー……。ほくほく。骨のちょっとした食感が楽しい」

 

『ガリゴリボリ』

『ヒェッ……』

『だから骨ごと食べるなとw』

 

 骨まで食べないともったいないよ。ああ、でもそういえば、師匠には言われたことがあったっけ。

 

「日本では骨を食べないんだよね。もったいない」

 

 たまに例外もあるらしいけど。

 

『食べないというか、食べられない、だけどな?』

『リタちゃんがおかしいです』

『ちょっとは自覚して?』

 

 そこまで言われることかな。

 少しだけ不満に思いながら、転移でお家の前に戻った。もちろん……朝ご飯は、まだ食べる。

 日本で買ったフライパンに、さっきのお魚を入れる。適当な火の魔法でフライパンを温めて、じゅうじゅうと焼いていこう。

 

『リタちゃんが……まともに料理をしてる!?』

『天変地異の前触れだ!』

 

 さすがの私でも怒るよ?

 味付けは、お醤油で。たっぷりと。

 

『お醤油どぱぁ』

『やっぱりリタちゃんはリタちゃんだったか』

『加減を知らない幼女』

 

「え……。だめだったかな?」

 

 お醤油は美味しいから、これで焼いて……煮たら美味しくなると思ったんだけど。

 しっかり焼いて、煮て、それからまた頭からぱくりと食べた。

 

「…………。からい」

 

『そりゃそうですよねとしかw』

『何事も加減が大事なんだよ』

『シンプルに焼いた魚にお醤油少々で十分美味しいぞ』

 

 ん……。次からはそうしよう。そう考えていたら、お家から師匠が出てきた。

 

「師匠、おはよう。お魚食べる?」

「ああ、おはよう。醤油のみで煮た魚はいらないかな。ちゃんと自分で食べなさい」

「ん……」

 

『さらっと押しつけるつもりだったかw』

『がんばれリタちゃん!』

 

 がんばって食べる。残すのは、だめだと思うから。

 もぐもぐ……。うん。慣れたら悪くない。悪くないよこれも。

 




壁|w・)異世界のスイカは定義的にも果物です。
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