異世界魔女の配信生活 作:龍翠
朝ご飯を食べ終わって、学校に行く二人を見送って……。それじゃあ、行き先を決めよう。
「安価する」
『あんかあああ!?』
『急に来たなw』
『やるのか!? やるんだな!? 今、ここで!』
いくらなんでも興奮しすぎだと思う。とりあえず今のところ、ここに行きたい、みたいなのがないから、安価で決めるよ。
「いつも通り、手を叩いてから十番目のコメント。外国はだめ。外国が十番目になった場合はやり直しをする」
『ニューヨーク住みのワイ、希望がなくて悲しい』
『それでもリタちゃんなら! なんだかんだと来てくれると信じてる!』
「言葉が通じない限り行かないから」
『だめみたいですね』
『ですよねー!』
不便でしかないからね。そこは残念だけど諦めてほしい。
それじゃあ、と手を上げる。すると分かりやすいほどにコメントが減った。減っただけでまだたくさんコメントがあるのは、そもそも参加するつもりがない人たち、かな? どっちでもいいけど。
ぱん、と。
『琵琶湖!』『和歌山』『台湾にぜひ!』『アルプス山脈』『大阪大阪大阪』『秋葉原楽しいよ!』『富士山登ろう』『北海道』『コアラ』
『沖縄で海水浴、行こう!』
『神戸』『山口』『阿蘇山!』『淡路島どう!?』『新潟だ!』
『はいはい結果はどうですか』
『だめだって言ってるのに相変わらず外国があるなあw』
『琵琶湖ニキはしれっと二回目狙ってるw』
『沖縄っぽい?』
『沖縄だー!』
『やったあああ!』
ん……。沖縄、だね。海水浴、だって。楽しそうだけど、一人はちょっと寂しい気がする。あとで真美たちにも声をかけてみようかな。
まずはスマホを取り出して、場所を調べる。それぞれの都道府県がどこにあるかなんて、そこまで意識してなかったからあまり覚えてない。
えっと……。
「日本でも南の方、かな? 暖かい、というより暑い場所だって書いてる」
『まあ暑い……か?』
『ぶっちゃけ最近だと本州の都市部の方が暑かったりするからなあ』
『でも冬はすごく暖かい。とても快適』
「へえ」
私は結界でいつでも快適だからあまり気にしてないけど、普通の人なら旅行とか冬に行くと快適かもしれないね。
あとは、海が綺麗って書いてる。珊瑚とか、そういうのが見れるらしい。さすがに普通は食べられはしないみたいだけど、それはそれで楽しみだね。
それに、食べ物も結構特徴的なものがあるみたい。それも楽しみ。
「それじゃあ、早速行こう。まずは目印、だね」
『目印もそうだけど、まずはどこの島に行くかではなかろうか』
『沖縄って大小いろいろな島でできてるからな』
『最初は無難に那覇市じゃないかな。沖縄で一番大きいし』
一番大きい。とても栄えてるところ、かな? それが那覇市と。
あれ? でも、地図を見てみたら沖縄市もある。ここじゃないのかな。
「沖縄市じゃないの?」
『あーw』
『軽いトラップだけど、那覇市が県庁所在地です』
『社会のテストで減点くらうやつw』
『わかるw』
ふうん……。じゃあ、やっぱり那覇市なんだね。そこに行こう。確かに空港とかもあるみたいだしね。
他の島も行ってみたいと思う。転移魔法があるから、船とかは気にせずに行けるはずだから。目印は……この建物がよさそう。
「というわけで、来てみた」
『さらっと転移するじゃん』
『いきなり上空に来るとびっくりするでしょ! 主に高所恐怖症の俺が!』
『それでよくリタちゃんの配信見てられるなw』
上空に転移するのはいつものことだから許してほしい。それに、そこまで高くもないと思う。飛行機に当たらないように配慮はしてるから。
目印にしたのは、なんだか不思議な建物。あまり見たことのない建物だ。ちょっとした神殿みたい。下半分が階段状になってる建物、だね。それに、壁から緑がいっぱい出てる。不思議。
「何の建物かな、これ」
『何も知らずに来てるんかいw』
『聞いて驚け。市役所だ』
『役所!? これが役所!? マジで!?』
『マジだぞ』
『ちょっとしたランドマークだなこれw』
市役所……。生活に関わることをしているお仕事、とかそんな感じだったと思う。ホテルとかみたいに明確に報酬を対価としてるんじゃなくて、税金とかで運営されてるとか、そんな感じだったよね?
それにしても、不思議な建物。見ていてなんだかわくわくするね。
「かっこいい」
『かっこいい、のか?』
『リタちゃんの感性はちょいちょい不思議だから……』
『いやでも、他では見ない市役所だからかなり新鮮ではある』
『せっかくだから中に入ってみる?』
そう、だね。市役所そのものに用事はないけど、ちょっとだけ見学させてもらおう。おもしろいものがあるかもしれないし。
「食べ物はないだろうけど」
『市役所に食べ物を求めるなw』
そうだよね。分かってる。大丈夫だよ。
それじゃあ、さっそく地上に下りてみよう。
壁|w・)那覇市の市役所、すごい……。