異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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サーターアンダーギー

 

 市役所から出て、右に少し歩いて……。この通りが国際通りなのかな?

 

「人がいっぱい」

 

『うん。ぶっちゃけ普段より多い』

『これどう見てもリタちゃん目当ているだろ!』

『まあ出待ちのごとく、市役所から出た瞬間から撮られ始めてるからなw』

 

 そうなんだよね。市役所の前にわりと人が多くいて、なんだかたくさん撮られてる。私が歩くのを邪魔しないようにはしてくれてるけど、たくさんだ。いつものことだけど、撮るだけなら好きにしてくれていい。

 最初はすごく大きな道で歩道も広かったけど、少し歩くと車道が狭くなった。でも建物がすごく増えていて、お店も多い。なんだかすごいね。

 

「木が特徴的だね」

 

 街路樹があまり見ない木になってる。下の方に葉っぱはなくて、上の方に広がってる、そんな木だ。

 

『ヤシの木やね』

『南国っぽい雰囲気を出すために植えたとかなんとか、どこかで見た』

『確かにヤシの木は南国のイメージ』

 

「へえ……」

 

 南国のイメージの木。私にはよく分からないけど。でも特徴的で、ちょっとおもしろい。よく見たら木とはまたちょっと違うみたいだけど……。そういう種類の植物、なのかな?

 それはそれとして。

 

「食べ物はどこかな?」

 

『いきなり食べ物を探す魔女』

『もっとこう、国際通りに興味を持って?』

『でも国際通りって買い物する場所だし……』

 

 そうそう。だから私は間違ってないはず。

 周りの香りをちょっとかいで……。ほんのり甘い香りがする方を目指そう。

 

「あっちから甘い匂いがする」

 

『匂いてw』

『犬かな?』

『リタちゃん、わんって言ってみて。わんって』

 

「わん」

 

『本当に言うのかw』

 

 別に減るものじゃないから。

 少し歩いてたどり着いたのは、小さなお店。サーターアンダーギー専門店、だって。お店の横にはメニューの看板があって、味がいくつかあるらしい。

 サーターアンダーギー。お菓子だよね。甘いお菓子。食べよう。すぐに食べよう。

 店員さんの方に向かうと、店員さんは目を見開いて固まっていた。私をじっと凝視してる。反応してくれるかな?

 

「サーターアンダーギー、ください」

「…………」

「お、おい! 話しかけられてるぞ!」

 

 そう言ってくれたのは、お店の奥から出てきたもう一人の店員さん。肩を揺すられて、最初の人がはっと我に返った。

 

「す、すみません、まさかここに来るとは思わなかったので……」

「ん。それより、サーターアンダーギー、食べたい。ください」

「は、はい! 何個入りで味はどれにしましょうか!」

「じゃあ、それぞれの味を百個で」

「無理です」

「言ってみただけです」

 

『おいwww』

『断られるのを分かって言っちゃだめだw』

『でもこれ、引き受けてくれたらどうするつもりだったんだ?』

『そりゃ当然、アイテムボックスに保管でいつでも食べられるおやつになるんだぞ』

 

 言ってみただけではあるけど、引き受けてくれたらその通りになるね。甘いものを食べたくなった時のお菓子になる。

 でもできるだけ数が欲しいな。いくつ作れるかな?

 そう思っていたら、店員さんが目の前で作り始めてくれた。奥の厨房みたいなところで、何かを油で揚げてる。揚げ終わったら油を切って、専用の器へ。サーターアンダーギーはちょっと丸いお菓子で、器もいくつかの丸い穴があるものだった。

 

「どうぞ、まずは味見で……」

「ん」

 

 これがサーターアンダーギー。なんだかドーナツみたいだ。丸いドーナツと思ったけど、完全な丸じゃなくて片方が大きく裂けてる。不思議な形状だね。

 それじゃあ、まずは一口。ぱくりと。

 

「んー……。外側はカリカリしてるけど、中はしっとり。ちょっともちもちしてる。結構甘いね。密度が高いって言えばいいのかな。ずっしりとしてる……。でも、うん。美味しい」

 

 くどい甘さじゃないから、何個でも食べられる。でも……。

 

「他の人だと、何個でも食べるようなものじゃないかも?」

 

 一個で結構ボリュームを感じるお菓子だと思う。それがいいかもしれないけど。美味しいし。

 シンプルなプレーンの味から、チョコを練り込んで甘さを増したもの、ヨモギを練り込んだものなど、種類はたくさんだ。それぞれちゃんと味が違っていて美味しい。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

『サーターアンダーギー食べたい』

『どうして俺の地区に出前がないんですか!』

『さすがにサーターアンダーギーの出前はそこまで多くなさそう』

『デパ地下行ってこいデパ地下!』

 

 作り置きも美味しいと思うけど、揚げたてもこれは美味しいと思う。だから揚げたてが食べられたら一番いいかもしれない。

 それはそうと、やっぱりお土産にいくつか欲しい。百個ずつは厳しそうだけど、何個ずつならいけるかな?

 

「いっぱい欲しい」

「えっと……。作り置きのものでも構いませんか?」

「ん……。いいよ」

 

 さすがに今から揚げたて全部とかは本当に厳しいと思うから。

 店員さんはすぐに作り置きしていたものを包んでくれて、ついでに追加で揚げたても用意してくれた。それぞれの揚げたてが三十個ずつぐらい。いっぱいだね。

 

「ありがとう。とても美味しかった」

「いえ……! また来てください!」

「ん」

 

 なくなったら補充のために来ようと思う。美味しいからね。

 そうして最後に写真を撮って、お店から離れて……。

 

「すみません、十個ください!」

「俺二十個!」

「五十!」

「あわわ……。店長ー!」

 

 なんだか後ろが大騒ぎになっていたけど……。私は悪くない、よね?

 




壁|w・)実際何個同時に揚げられるのか、私にはわからんですよ……。
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