異世界魔女の配信生活 作:龍翠
次は何を食べよう。んー……。あ、おそば美味しそう。
「沖縄そばを食べたい」
『ほほう。沖縄そばですか』
『お目が高いですな。さすがはリタちゃんです』
『お前らは何目線で言ってんだよw』
おそばは何度か食べたことがあるけど、美味しいよね。でも、どんなおそばだろう。楽しみ。
「お店はどこがいいかな?」
『ほほう。我々に沖縄そばのお店を聞きますか』
『もちろん案内しますとも。リタちゃんが満足するお店にね……』
『なんか謎のキャラがおるけど、これは期待できるやつか?』
『なお、我々は沖縄に行ったことすらないのでね。他の方に聞いてほしいものですな』
『おいwww』
うん。期待できそうな視聴者さんは全然そんなことがない人だった。仕方がないので、通りすがりの人に聞いてみよう。というわけで。
「こんにちは」
最初に通りがかった人に話しかけてみた。
「……!?」
そして言葉が通じなかった。外国の人だ。私も適当に話しかけたせいで気づかなかった。お互いに目を合わせて固まってしまった状態。どうしよう。
『まさかの外国人に話しかけるスタイル』
『観光客が多いからね。ちゃんと選ばないと』
『どうすんのこれ』
いや、本当にどうしよう。
お互いに無言でちょっとだけ固まって、こほん、と外国人さんが咳払いをした。
「日本語、大丈夫です」
「おー……!」
『日本語いける人だー!』
『セフセフ』
本当に良かった。英語とかで話しかけられたらどうしようかなと思ったよ。
「すごいね。ちゃんと聞き取れる」
「日本語、勉強しました。アニメが好きなので」
「アニメ。いいよね。のんびりするアニメが好き」
「いいですね。わたしは、バトルが好きです。忍者が特に」
「忍者。かっこいい」
「かっこいいです!」
『謎に盛り上がってるw』
『いやリタちゃん、沖縄そばはどうしたw』
あ、そうだった。沖縄そばのお店を聞きたいんだった。私が見てるアニメはこの人も知ってるみたいだから、ついつい話をしてしまう。こういうのは楽しいから、つい、ね。
「沖縄そばを食べたい。場所、分かる?」
「それは、あー……。ベスト、タイミングです。これから、食べに行く、ます」
「おー! ついていってもいい?」
「もちろんです」
というわけで、一緒に沖縄そばを食べることになった。
そうして外国人さんと向かった先は、国際通りからちょっと外れた場所にあるお店。わりと小さいお店みたいだけど、並んでる人がいる。つまりそれだけ人気があるお店らしい。並んでると言っても五人ほどだけだけど。お店はまだみたいだから、開店待ちなのかな?
『開店待ちで人がいる!』
『これは期待できますねえ!』
『今から出前の予約しておくべきかな』
待っている間も、外国人さんとちょっとお話。日本とはまた違う人だから、ちょっと新鮮だ。
「どこの人なの?」
「わたしは、アメリカです」
「おー……。なんだっけ。お肉がすごいって聞いてる。おっきなお肉を焼くんだよね」
「日本とは好まれる部位がちがいますね」
「ほうほう……」
「たとえば、先月のバーベキューはこんな感じで……」
そう言って見せてくれたスマホには、大きなお肉の写真があった。分厚い骨付きのお肉。それを豪快に鉄板で焼いてる。これは、すごい!
「アメリカに来るなら、連絡、ください。ごちそうします」
「んー……。みんな日本語を覚えてくれたら行くよ」
「これは、だめですね」
『美味しそうなお肉を見れば外国にも行くかも、なんて思ったけど、やっぱりだめだったか』
『まあご飯を食べた後にかなり困ることになりそうだしな』
『俺らならスマホの翻訳アプリって手段もあるけど、リタちゃんだとなあw』
それはどういう意味かな。なんだかすごくバカにされた気がする。
ちょっとだけむっとしていたら、ついに開店時間になった。みんなで中に入っていく。
中はカウンター席だけの小さなお店だ。カウンター席も十席ぐらいしかない。それでもみんな、しっかりと奥の方から座っていく。
食べるのは沖縄そばで決まってるけど、とりあえずメニューを見てみよう。他にも美味しそうなものがあるかもだし……。ん?
「ソーキそばってなに?」
『沖縄そばの一種……って言っていいのか?』
『そもそも沖縄そばも、沖縄そば全体を指す場合と、ノーマルな沖縄そばを指す場合もあるし……』
『地味に分類が難しい』
沖縄そばの一種でもあるってことだね。メニューには、沖縄そばとソーキそば、他にもいくつかあるけど……。とりあえず、そうだね。沖縄そばとソーキそばを食べてみよう。
「ご注文は?」
そう聞いてきたのは店主さん。なんだか気難しそうな人に見える。でも、ちゃんと水を全員に注いでくれたりと、気遣いはしてくれてる、のかな?
「沖縄そばと、ソーキそば」
「あん? 嬢ちゃん、二杯も食べるのか?」
「ん」
「ちっこいのによく食べるなあ」
「ちっこい言うな」
「はっはっは! 悪いな!」
うん。口は悪いけど、悪い人じゃないね。それよりも。
『リタちゃんを知らない、だと!?』
『最近では珍しくなったパターン』
『リタちゃんも機嫌よさげ』
最近はなんだか不思議な扱いが増えちゃったからね。久しぶりで、やっぱりこういうのも悪くないと思う。
壁|w・)最近、某SNSで大量にお肉の写真が流れてきて、美味しそうだなあ、と見ています。
まあパスポートとるのも面倒だしで外国行きたいとは思わないんですけどね……。