異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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沖縄そばとソーキそば

 ちょっぴりわくわくしながらご飯を待っていると、ほどなくして目の前に器が置かれた。とりあえず一つ目、だね。

 

「まずは沖縄そばだ。それ食べてまだ食えそうならソーキそばを出してやるよ」

「ん……。別に食べられるよ?」

「はっはっは」

「十杯でも二十杯でも食べられるよ?」

「はっはっは!」

 

 むう……。冗談とか強がりとか思われてそう。他のお客さんは私のことを知っている人が多いみたいで、何とも言えない苦笑いをしてる。別にいいんだけどね。

 それじゃあ、早速。いただきます。

 沖縄そば。スープは透明感のある澄んだ色。ちょっと厚めのお肉とかまぼこ、それにネギが入ってる。麺は、おそばってわりには他で食べたおそばと色が違うね。

 それじゃあ、早速一口。ずるずるっと。

 

「おー……? おそば? すごくもちもちしてる」

 

 おそばというより、うどんとかの方に近いような気がする。そう思っていたら、店主さんがにやりと笑って教えてくれた。

 

「おう。そば粉を使ってないからな。沖縄そばは小麦粉で作られてるんだ」

「そうなの? じゃあ、おそばじゃない」

「いいねえ。ちっこいのに歴史に興味があるのか」

「ちっこい言うな」

「はっはっは」

 

『なんか新鮮なやりとりw』

『おじいちゃんと孫みたいな会話』

『あなたが……おじいちゃんか……!?』

 

 絶対に違うから変なことは言わなくていいよ。

 店主さんが忙しそうにしていたからか、隣の外国人さんが教えてくれた。

 沖縄そばのそばは日本の本州とはまた違う意味合いで名前がつけられたらしい。昔の沖縄は細長い麺料理をそばと呼んでいたのだとか。

 その後にやっぱりそば粉を使ってないのに沖縄そばというのはおかしいのでは、みたいなことは言われたらしいけど、すでに沖縄そばという名称が定着していたのと、沖縄独自の食文化としても定着していたことから、特例として認められたとかなんとか。

 だから、沖縄そばはそば料理の一種じゃなくて、沖縄の伝統麺料理の固有名詞、という扱いになった、らしい。

 

「詳しいね」

「しらべました!」

 

『下手な日本人より詳しいなこの外国人』

『沖縄在住の俺、知らなかったです』

『謎に勉強になる配信だw』

 

 そばと思って食べたら困るけど、でもこれは美味しい麺だ。もちもち麺、いいよね。そのもちもち麺にスープの味がしっかりと合ってる。いわゆる和風だしに近いかも。あっさりしていて食べやすい。

 お肉は……豚肉かな。煮豚らしい。お肉。お肉はとてもいいもの。

 しっかりスープを飲み干して、完食。とても美味しかった。

 

「ソーキそばください」

「おお……。本当に食えるのか。すげえな」

 

 店主さんはそんなことを言いながらも準備を始めてくれる。次はソーキそば。楽しみだね。

 

『待っている間に誰かソーキの説明してくれ』

『まかせろ。ソーキってのは沖縄の方言で豚の骨付きあばら肉のことだ。美味しいよ!』

 

「骨付き肉。いいよね」

 

『いい』

『とてもいい』

 

 しっかり焼いて、骨を持ってお肉にかぶりつく。とてもいいもの。さすがにそんな大きな骨付き肉は入ってないだろうけど。

 ほらよ、と二杯目が目の前に置かれた。

 

「おー……!」

 

 スープや麺はさっきと同じものらしいけど、具材が追加されていた。本当に骨付き肉だ。結構大きなお肉で、骨も含めると器の端から端まである。それが二本も入っていて、見た目のインパクトがすごい。

 

『でっか!』

『ここまででかいお肉のソーキそばも珍しい』

『お肉だけですでに美味しそう』

 

 うん。大きいお肉っていうだけで早く食べたくなるね。

 それじゃあ、やっぱりお肉から。お箸でお肉をつまんで……。

 

「ん……。すごく柔らかい。骨からすぐに外れるようになってる」

 

 しっかりと煮込まれてるってことかな。ほろほろとほどけて、口の中に入れても本当に柔らかい。お肉の味は、ちょっと甘辛くしてあるみたい。

 さらに麺とスープも食べてみたけど……。少しだけ味が変わってるように感じる。この大きなお肉の味がしみ出しているのかも。骨付き肉そのままだとそこまで味が変わらなかったかもしれないけど、簡単にほぐれるお肉だから、ほぐれたお肉からたっぷりと味がしみ出しているのかな。

 

「んふー」

 

 これはとてもいいもの。お肉が大きいのが特にいいね。

 

「とても美味しい」

「はっはっは。気に入ってもらえてよかったよ」

「器、私で用意するから、あと五杯ぐらい作ってほしい。持って帰るから」

「は? いや、お持ち帰りは難しいだろ……。冷めるとかそれ以前に、スープこぼれるぞ」

「大丈夫」

 

 アイテムボックスに入れれば、こぼれることもないからね。

 ソーキそばの残りで実際にやってみせると、店主さんは目をまん丸にしていた。本当に私のことを知らなかったらしい。ちょっぴり嬉しいような気がする。

 

『マジで知らんかったんやなあ』

『この子一人で際限なく食べるって言ったらどんな顔するかなw』

『百杯注文しようぜ!』

 

 さすがにしないよ。お外で並んでる人に迷惑だからね。ちゃんと私だって学んでいるのだ。注文のしすぎは、後の人に迷惑。ちゃんと覚えた。でも五杯ぐらい、いいよね?

 店主さんはちゃんと用意してくれたから、器ごとアイテムボックスにしまっておく。これもみんなで食べよう。

 

「それじゃあ、ごちそうさまでした」

「ああ。っと、あんた有名人なんだな。サインとかもらえるか?」

「んー……。写真ならいいよ」

「ならそれで」

 

 というわけで、やっぱりみんなで写真を撮っておいた。一緒に来てくれた外国人さんとも。国に帰ったら自慢するって。自慢になるか分からないけど。

 

「それじゃあまた来いよ、ちびっこ!」

「ちびっこ言うな」

 

 最後までちっこい扱いされてしまった。ちっこいのは事実だからいいけどね。

 




壁|w・)もぐもぐ。
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