異世界魔女の配信生活   作:龍翠

55 / 542
パーティメンバー

 私の質問に、フランクさんは苦笑いを浮かべた。

 

「まあ儲けがないのはその通りだけどな? でも、それはいいんだよ別に」

「ん?」

「初めての依頼だと分からないことだってあるかもしれないだろ? 特にリタちゃんはいきなりCランクになってるんだしな。まあ、それでだよ。うん」

 

 ああ……。つまり、私のため。ただそれだけのために、何のメリットもないのに手伝ってくれようとしてるんだね。本当に、いい人だ。

 

「ありがとう」

 

 私がお礼を言うと、フランクさんは照れくさそうに笑った。

 

「俺がやりたくてやることだからな。気にするな。それで、どれにする? 薬草採取にもいくつか種類があるぞ」

「ん……?」

「この街なら、DランクとCランクの二つがある。Dランクなら街の外だが近くで見つけられるもの、Cランクなら森の奥、魔獣の生息域まで探すものだな」

 

 つまり戦う必要があるかどうかっていう区別かな。もちろん街の外に出るならDランクでも戦う必要があるかもしれないけど、Cランクよりはずっと少ないと思う。

 その二つなら、Cランクかな。Dランクだとちょっとつまらない気がする。

 

「じゃあCランクで」

「ま、そうだよな。じゃあこの依頼票を持って行くといい」

 

 フランクさんが掲示板から剥がした依頼票を私に渡してくれた。依頼の詳細が書かれた小さい紙だ。これを受付で渡せば、依頼を受けたことになるってことかな。

 早速受付に向かう。フランクさんもついてくる必要はないと思うんだけどなあ。

 受付にたどり着くと、フランクさんが言った。

 

「受付で依頼票とギルドカードを渡せば、登録完了だ」

「ん……?」

 

 え。待って。ギルドカードを渡すの? 今? 私、あの目立つSランクのカードしか持ってないんだけど……。

 

「嬢ちゃん、どうした?」

 

 フランクさんが怪訝そうに聞いてくる。どうしよう。あんまりSランクっていうのは言いたくない。

 

『リタちゃんどうしたんだ?』

『目立つのが嫌みたいだから、ギルドカードを渡したくないんだろ』

『めちゃくちゃ目立つカードだからなw』

『金ぴかだっけなそういえばw』

 

 そうだよ。だから困ってる。

 私が困っていると、助け船を出してくれたのは受付の人だった。

 

「ああ、リタちゃん。その依頼を受けるの? だったら預かっていたカードで受けるわね」

 

 そう言って受付の人は私から依頼票を取り上げると、カウンターの中で何かを書いて、そして依頼票とカードを渡してきた。そう、カードもだ。

 カードは、真っ白のカード。Cランクということと、私の名前が書かれてる。思わず受付さんを見ると、笑顔でウインクされた。わざわざ用意してくれていたらしい。

 

「ん。ありがと」

 

 いろいろな意味をこめてそう言うと、受付さんは笑いながら頷いた。

 

『さすがギルド、太っ腹やな』

『どうせくれるなら先によこせよと言いたいけどw』

『たしかにw』

 

 それはちょっぴり思うけど、問題なく私の手元に届いたんだから、気にしないでおきたい。

 私は待ってくれてるフランクさんに振り返ると、カードと依頼票を掲げてみせた。

 

「受けた」

「はは。おう。それじゃ、行くか」

 

 フランクさんが大きな剣を担いでギルドの外へ出て行く。私も慌ててその後を追った。

 

 

 

「なんでお前らがいるんだよ……」

 

 フランクさんが疲れたようなため息をついて、あとの二人が機嫌良さそうに答えた。

 

「だっておもしろそうだから」

「こんな面白イベントを逃すわけがないでしょう?」

 

 あ、フランクさんが頭を抱えた。気持ちは分からなくもない。

 最初、私たちは二人で街を出るつもりだった。簡単な依頼にフランクさんのパーティメンバーを巻き込むのも申し訳ないから。依頼の報酬も、フランクさんたちからすれば雀の涙程度のものだろうし。

 でも、それを許してくれなかったのがフランクさんのパーティメンバーだ。ギルドを出たところで、すぐに捕まってしまって同行してもらうことになった。

 

 フランクさんのパーティメンバーは、二人。顔に傷のあるお兄さんと、黒いローブの魔法使いのお姉さん。二人とも、私が初めてギルドに入った時にお話ししてくれた人だ。

 お兄さんの名前はケイネスさん。背中には剣と盾を背負ってる。

 お姉さんの名前はパールさん。見た目通り魔法使い。二人とも、ランクはBランクらしい。

 

『ゲームに当てはめれば、前衛の剣士、タンクの騎士、後衛の魔法使い、てところかな』

『ほーん。なかなかバランスが取れた構成じゃね?』

『逆に言えば面白みのない構成だなあ』

『命がかかってんだから面白みを求めんなw』

 

 本当にね。死なないようにと思ったら、こういうパーティになるのかも。

 

「よかったの? 薬草の採取だけだよ?」

 

 二人に一応聞いてみたけど、二人とも満面の笑顔だった。

 

「もちろん。将来有望な新人を指導するのも、僕たちの役目だからね」

「リタちゃんは何も気にしなくていいわ。私たちが勝手にちやほやしたいだけだから」

 

 それはそれでちょっと困る。少しだけ、恥ずかしい。

 私たちが向かうのは、街の南にある森だ。街の南側へ一時間ほど歩くと、大きな森になるらしい。ただ未開の森っていうわけじゃなくて、ちゃんと馬車が通れる道が整備されてる。その道から逸れた場所が目的地だ。

 整備されている道があるとはいえ、森は森。一部危険な魔獣も出てくるから油断はしないように、と注意された。

 外の魔獣ってどんな子がいるのかな。すごく楽しみだ。

 

「おかしいな。俺は一応、忠告したつもりだったんだけどな……」

「はは。怯えるどころか楽しそうだよ」

「いい性格してるわね、この子」

 

 だって、楽しみだからね。

 

『魔獣に会いたがるリタちゃん』

『やはり野生児、間違いない』

 

 怒るよ? あ……、いや、これ、否定できない。怒れない。普通に考えたら魔獣が楽しみってあり得ない。せめて表情に出ないようにしないと。

 




壁|w・)テンプレ(を外した)おっちゃんたちが仲間になりました。
一応、あの街ではそれなりに腕の立つ冒険者だったりします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。