異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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海ぶどう

 

 そろそろお昼ご飯の時間。また何か食べようかな。何を食べようかな。

 

「そろそろお昼ご飯の時間だね」

 

『そうかな……そうかも……』

『あれ? おかしいな。ちょっと前にがっつり食べていたような気がするんだけど』

『沖縄そばとかソーキそばとか』

 

「あれはおやつだよ」

 

『ちょっと何言ってるかわからない』

『おそばはおやつだった……?』

 

 沖縄そばはそばじゃないから。だからおやつ。間違いない。

 

「それはいいから、ごはん」

 

 お昼ご飯を食べて、もう少し景色を見て……。それから真美たちを連れてこようと思う。時間的にもちょうどいいと思うから。

 

『沖縄と言えば……やはりゴーヤーチャンプルーかタコライスか』

『ゴーヤチャンプルーはいいのか? 苦みがあるぞあれ』

『苦み程度なら大丈夫……だよね?』

 

「ん。苦みぐらいなら大丈夫だよ」

 

 確かに苦いのは嫌いだけど、それは本当に苦すぎるものや苦いしか味がないものだけだ。味のアクセントとして苦みがある程度なら問題なく食べられるよ。

 だから食べよう。ゴーヤチャンプルーだね。いや、ゴーヤーチャンプルーなのかな。どっちでもいいのかな?

 あとはタコライス。たこを使ったごはん、かな? それも美味しそう。楽しみ。

 というわけで。

 

「適当に飛んだらごはんのお店があったから来てみた」

 

『ちょwww』

『マジで適当に選んでるw』

『位置的に石垣島……か? 観光地だしそうそうはずれはなさそうだけど』

 

 なんとなくいい香りがしていたから来てみたよ。吉と出るか凶と出るかは分からない。

 お店は、わりと小さいお店。二階建ての小さい建物で、一階が料理を出すお店になってるみたい。店名もちゃんと書かれてる。

 あと、ゴーヤーチャンプルーとタコライスも書かれてるね。ここなら両方食べられそうだ。

 それじゃあ、早速入ってみよう。

 

「おじゃまします」

 

 スライド式のドアを開けて中に入った。

 中は……テーブル席が二つと、奥にカウンター席が三つだけあるお店。わりと小さいお店だ。まだお客さんもいないみたい。というか、店員さんもいない。

 

「誰もいないのかな?」

 

『誰もいないのは田舎あるある』

『いや、田舎といっても観光地なんだから人は多いし、さすがに誰もいないってことはないと思うが』

 

 誰か出てくるかな? ちょっと待っていたら、お店の奥からぱたぱたと駆け足の音が聞こえてきた。

 

「はいはい、今行きますよ」

 

 そうして出てきたのは、白髪のおばあちゃん。にこにこしていてなんだか優しそう。

 そのおばあちゃんは私を見て、あらまあ、と声を上げた。

 

「テレビで見たことあるねえ。えっと……」

 

 少し考えて、そして。

 

「思い出せないからいいわね」

 

 それで終わった。

 

『いやいいんかいw』

『そこは思い出そうよw』

『最初期の頃からは落ち着いたとはいえ、わりと今でもちょいちょいテレビに出てるのにw』

 

 そんなにちょいちょいテレビに出さなくていいと思うよ。むしろ恥ずかしいからやめてほしい。

 おばあちゃんに席を勧められて、カウンター席の隅っこに座る。すぐにメニューを渡してくれた。

 

「何を食べたいのかねえ」

「ゴーヤーチャンプルーとタコライス。あと他に沖縄らしいものがあれば欲しい」

「そうだねえ。じゃあ、海ぶどうとかどうだい?」

「海ぶどう? 果物?」

「海藻の一種だねえ。ぷちぷちとして美味しいよ」

「じゃあ、それも」

「はあい」

 

 おばあちゃんが準備を始めてくれる。海ぶどうも出してくれるって。果物ではないみたいだけど、ぶどうって名前がついているなら甘くて美味しいんだと思う。楽しみ。食後に出てくるのかな?

 そう思っていたんだけど、おばあちゃんがすぐに戻ってきた。

 

「はい。これが海ぶどうだよ」

 

 そうして出されたお皿には、なんだか薄い緑色の、ちいさな丸いものがたくさんついたもの。

 

「…………。ぶどう?」

「海藻だからねえ」

 

 ぶどう、には見えない。いやでも、大きさはともかく、形はぶどうかな?

 

「このたれをつけて食べてね。ああ、でも、たれを直接かけちゃだめだよ。ぷちぷちがはじけちゃうからね」

「へえ……」

 

 不思議な食べ物だね。食べる直前にタレにつけるだけ、と。

 それじゃあ、食べてみよう。いただきます。

 おはしで海ぶどうをとって、タレにつけて食べてみる。ぱくりと。

 

「おー……。確かにぷちぷちしてる。不思議な食感だ」

 

 あと、甘くない。むしろちょっと塩気があるかな。でもこのタレでほどよく中和してる感じだ。このタレは……ポン酢、かな?

 これはデザートではないね。どちらかと言うとさっぱりとした味だから、最初に食べてよかったと思う。ぷちぷちしていて楽しい。あとそんなに量があるわけじゃないから、お腹にたまらないというのもいいと思う。これからたくさん食べられるからね。

 

『お腹にたまることを気にするの?』

『いくらでも食べるのに?』

 

 余計なことは言わなくていいんだよ。

 ぷちぷちとした食感を楽しみながら海ぶどうを少しずつ食べる。ご飯が出てくるまでの繋ぎだね。うん。悪くない。むしろ、とてもいい。

 そうしてもぐもぐと海ぶどうを食べていたら、おばあちゃんが戻ってきた。少し大きめのお皿を持ってきてくれてる。次のごはん、だね。

 




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