異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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海と砂遊び

 

 真美とちいちゃんを連れて移動した先は、古宇利島のビーチ。もう九月で夏休みは終わってるけど、人はまだ多いね。パラソルとかも結構ある。

 そんなたくさんの人の中をてくてく歩く。手を振られたりもしたからたまにふりふりと。

 

「あれ? 思ったよりも声かけられないね。もっと大騒ぎになるかと思ったんだけど」

「ん。軽く認識阻害をかけておいた。近くの人は気付くだろうけど、それでも意識しないと気付けないと思う」

「いつの間に……」

 

『ビーチにいる俺、マジでリタちゃんを見つけられない。きっと騒ぎになってすぐに見つけられると思ったのに』

『リタちゃんの生ふりふりチャンスなのに!』

 

 何のチャンスなの? 一応、後で認識阻害は解除するよ。私には理解できないけど、写真を撮りたいっていう人は多いらしいから。ちょっとだけ、だけどね。

 専用のスペースでみんなで着替える。もちろん配信は一時的に別の場所を映しておく。とりあえず砂浜の中に光球を埋めておいた。

 

『暗いよー! 怖いよー!』

『なんで砂の中なんだw』

 

 なんとなくです。

 着替え終わった後は、改めてビーチに出た。空気で浮く船を持ってきたみたいで、真美がよいしょと背負ってる。ちいちゃんは浮き輪装備だ。

 

「おねえちゃん! おねえちゃん! 行っていい!?」

「うん。でも注意事項。絶対に私の近くにいるように。遠くに行かないように。あとは……」

「んー……」

 

 なんだかちょっと面倒そうだね。それなら、魔法でどうにかしてしまおう。

 

「ちいちゃん」

「んぅ?」

「はい」

 

 ぽんぽん、とちいちゃんの頭を軽く叩く。撫でるように、ね。そうして魔法をかけておいた。これで安心安全だ。

 

「えっと……。リタちゃん。何かした?」

「遠くに行っても追跡できる魔法。溺れないように、自然と浮き上がる魔法。命の危険があったら私の側に転移する魔法。あと、悪意をもって何かされたら反射する魔法……とか?」

「あ、うん……」

 

『過保護!』

『とか、にいくつの魔法を仕込んでいるのやら』

『安心だけど反射で何かありそうで怖いw』

 

 弱めの反射になるから大丈夫だよ。多分。

 私がいる時だけ、というのをしっかりと言い聞かせて、ちいちゃんを送り出した。ちゃんと分かってくれたみたいで、喜んで駆け出していく。

 まあ……。普段から魔法をかけてあるから、日常でも安心なんだけど、ね。

 

「じゃあ、リタちゃん! 泳ごうか!」

「ん」

「ところでリタちゃんは泳ぐのは大丈夫?」

「大丈夫。得意というわけではないけど」

 

 魔法でどうにかできてしまうからね。でももしもの時のために、師匠から泳ぎは教わってる。だからある程度は大丈夫だよ。前にも言った気はするけど。

 

『さすが野生児』

『野生児はちゃうな!』

『川で泳いでお魚一突きの野生児だもんな!』

 

「真美。真美。こいつらに呪いをかけてもいいかな」

「いいよ」

 

『やめてください死んでしまいます』

『物理的に死にそうで怖いので勘弁してください』

 

 冗談だよ。冗談。多分、ね。

 改めて海の中へ。砂浜からぱちゃぱちゃと。さすがにお風呂ほど温かくないけど、思ったよりも冷たくない。これは気持ちいいかも。

 ぷかぷか浮いてみよう。ぷかぷか。

 

「リタちゃんが流されていく……」

「んー……。気持ちいい……」

「船はいらない、かな?」

 

 んー……。せっかくなので、乗る。よいしょ、と。

 海の上で空気の船に揺られてぷかぷかと。ぷかぷか。ぷかぷか。

 

「寝そう」

「寝ちゃったら遠くに流されちゃうよ」

「大丈夫。転移で戻る」

「知ってた」

 

『リタちゃんと遊んでたら感覚が麻痺しそうでちょっと怖いかも』

『リタちゃんがいるつもりで遊んで、遠くに流されて戻れなくなったり、とかな』

『まあリタちゃんと遊べる時点でもしもの時は助けてくれるだろうけど』

 

 そうだね。もしもの時はどんな時でも助けるよ。

 しばらく海でぷかぷかした後は、せっかくだからと砂浜で遊ぶ。戻ってきたちいちゃんと一緒に砂でお城を作ることにした。どばっと。

 

「いやリタちゃん。魔法で作っちゃったら意味がないと思うんだけど」

「え」

 

『現地にいるワイ、突然の砂の城に思考が止まる』

『民家ほどもある砂のお城は草なんだ』

『ちっちゃい子供たちが嬉しそうに中に入って遊んでるw』

 

 周りにいた子供たちが遊びに来てるね。ちいちゃんが入ってるのを見て、自分もと中に入って行ってる。親らしい人たちは心配そうだけど、魔法で固めてあるから安全だよ。

 

「こういうのって、作る工程も楽しむものなんだけどね」

「ん。でもみんな楽しそう」

「あはは……。そうだね。そう考えたら、いいのかな?」

 

 いいと思う。ちっちゃい子たちが楽しそうに遊ぶのを見ていると、なんだかぽかぽかしてくるから。私は、こういうのを見てるだけでも好き。

 

「あとの定番はビーチバレーだけど……」

「ん」

「死にたくないのでやめておきます」

「え」

 

 なんだかすごく失礼なことを言われてしまった気がする。さすがに真美相手でも怒るよ?

 じっと真美を見ていたら、真美はにっこり笑って言った。

 

「じゃあリタちゃん。ボール投げるから、軽く叩いてみて」

「ん……。軽く、だね」

「うん。ただしスポーツだからね。弱すぎてもだめだよ」

「大丈夫」

 

 軽く、軽く。でもちゃんと勝負には勝てるように。真美から投げてもらったボールを、少しジャンプして叩き落とした。

 パアン、となんだかすごい音がして、ボールが砕け散った。

 

「…………」

「…………」

 

 音がなくなるってこういうことをいうんだね。波の音だけが妙に大きく聞こえるよ。

 

「リタちゃん」

「はい」

「やめておこっか」

「ん」

 

 そういうことになった。

 

『草』

『おまたがひゅんってしました』

『危なすぎて笑うしかねえw』

 

 何回かやれば慣れるだろうけどね。勝負ってなると熱くなっちゃうかもしれないから、やめておこう。そうしよう。

 その後もちいちゃんと一緒に砂遊びしたりみんなで泳いでみたりして……。うん。とても楽しかった。

 




壁|w・)砂に埋められるのも書こうかと思いましたが、問題なく出れてしまうのでやめました……。
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