異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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お城までの道中

 

 お肉を食べ終わって、ちょっとのんびりしていたらギルドマスターが戻ってきた。そろそろ出発かな?

 

「待たせたな、魔女殿」

「ん。準備できた?」

「ああ。案内させてもらう」

 

 ギルドマスターが案内してくれるらしい。それじゃあ、一緒についていこう。

 ギルドマスターの後を追って、ギルドを出る。ルドガーさんも一緒に行くみたいで、私の後ろを歩いてる。なんだか護衛みたいだね。

 

「少し距離があるからな。馬車に乗ってほしい」

「ん」

 

 ギルドを出たところで馬車に乗ることになった。馬車に乗ってごとごとと。馬車で少しかかるらしい。退屈、だね。

 だからお菓子を食べよう。グミでいいかな。

 

「もぐもぐ」

「お、おい、ルドガー。魔女殿がいきなり何か食べ始めたぞ……」

「俺に言うな……! 何かあれば自分で言え!」

「ふざけるな! お前の客人だろう!」

「今は王家の客人だ!」

 

 なんだかちょっと失礼なことを言われてる気がする。何か食べちゃだめだったのかな? 別に臭いのあるものじゃないから大丈夫だと思うけど。

 それとももしかして、獣人さんからすればグミも結構な臭いだったりする? それならちょっぴり申し訳ないけど……。

 

『グミ、いいよね』

『柔らかいグミもいいけど固いグミもいいよね』

 

「ん……。グミは食感も含めて美味しい」

 

『リタちゃんはどっち派?』

 

「どっちも好き」

 

『ずるいwww』

 

 ずるくない。どっちの方が好き、とかでケンカする方がだめだと思う。どっちも美味しい、でいいんだよ。相手を否定した時点で、その食べ物を語る資格はないと思う。

 

「ね?」

「お、おい、ルドガー、急に同意を求められたぞ!」

「とりあえず頷いておこう」

「そ、そうだな」

 

『草』

『無茶振りからの謎のうなずき』

『これ悪い提案だったらどうするつもりなんだw』

『まあ、リタちゃんだし、そういうことはないと思ったんだろうさ』

『例えば、お城の食料庫を食い尽くしていい? とか』

『それならあり得そうで困るw』

 

 さすがにないよ。確かに食べようと思えば食べられるけど、どうせ食べるなら日本のご飯の方がいいから。いっぱい食べるならカレーライスだよね。水筒にカレーを入れておきたいぐらい。

 もぐもぐとグミを食べていたら、ギルドマスターさんが話しかけてきた。

 

「あー……。魔女殿」

「ん?」

「今日は、その姿なんだな」

「んー……? あ、獣化の魔法のことだね」

 

 猫耳とか犬耳とか生やす魔法だね。視聴者さんが不思議と喜ぶ魔法だ。この間、真美とちいちゃんの前で使ったら、耳とか尻尾をずっともふもふされてくすぐったかった。楽しかったけど。

 

「友だちに見せたら耳とか尻尾とかもふもふされたよ」

 

『なにそれ知らない』

『友だちって、真美ちゃんやな!?』

『おい真美ちゃんそれはずるいのではなかろうか!?』

『やわらかくてもふもふで最高でした』

『あああああああ!』

 

 私としては何がいいのか正直ちょっと分からないけど……。喜んでもらえたから良しとする。

 

「魔法、使った方がいい?」

 

 ギルドマスターさんはギルドカードの情報から私がエルフだってことは知ってるはずだし、正直もう面倒になってきたしいいかなと思ったんだけど……。必要なら使うよ。手間でもないし。

 でもギルドマスターさんはすぐに首を振った。使わない方がいいらしい。

 

「相手は王家だ。身分を偽ることはやめてほしい。最悪、処刑になってしまう」

「処刑」

 

 それは……。

 

「できるの?」

「できないから余計に困るんだけどな!?」

「間違いなく俺たちに捕まえろと命令が下るだろうな。正直捕まえられる気がしない。俺はまだ死にたくない。その時はギルドマスターをおとりにして逃げる」

「おい!?」

 

『これはひどいwww』

『悲しい中間管理職ですね……』

『どこの中間管理職も大変だなあw』

 

 中間管理職って、上司と部下の間にいるみたいな人だよね。この場合は中間管理職って言うのかな。精霊の森の側の街、そこのミレーユさんとセリスさんの関係を思い出すと、ギルドマスターからすればどっちも上の人みたいな感じだと思う。

 

『どっちも上、だったら余計にお腹痛そう』

『胃薬を渡してあげよう!』

『煽りかな?』

 

 んー……。余計なことはしない方がいいってことだね。

 

「大丈夫。ギルドマスターさんとルドガーさんには迷惑がかからないようにするから」

「おい待て。安心できない。言葉に不穏な気配がするぞ!?」

「ちゃんと、しっかりと、お話しするから大丈夫だよ。とりあえず、お城をばくっとすればいいよね?」

「そのばくは分からないがろくでもないことになるのは分かる……! やめてくれ!」

 

 ギルドマスターさんはわがままだ。ルドガーさんはずっと黙ってるけど頬が引きつってるし。私、そこまでひどいことはしないよ。お肉が食べられれば満足だから。

 

「美味しいお肉があれば私は満足だから、大丈夫」

「くっ……。な、なあ、ルドガー。本当に、あの肉は魔女殿を満足させられると思うか……?」

「聞くな……! きっと大丈夫だ! 王家を、信じろ!」

「陛下も自信満々だったんだが嫌な予感しかしないぞ!」

 

 きっと大丈夫だよ。特別な時に食べる特別なお肉。きっと、とっても美味しい。柔らかいお肉かな? 肉汁がいっぱいで、お肉の味が口の中いっぱいに広がって……。森のワイバーンよりも美味しいのかな? 美味しいよね?

 

「楽しみ」

「胃が……胃が痛い……!」

 

『草』

『ほんのり上機嫌なリタちゃんと胃痛に苦しむ大の大人の対比がやばいw』

『ここが地獄ですか?』

『(ギルドマスターにとっての)地獄です』

 

 そんなことはないと思うよ。多分。本当に、美味しいお肉が食べられれば満足だから。

 そんな話をしていたら、馬車はとっても大きなお城の側に到着した。お城もお肉に見えてくるね。

 




壁|w・)次回、王様死す! でゅえるすたんばい!
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