異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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私は、お肉が、食べたい

 

「いいですか二人とも。あなたたちは過保護とか通り越して頭がおかしい愚か者です。あなたたちみたいな親をなんて言うか知ってます? 毒親ですよ毒親」

「ど、毒親……? 俺が……?」

「で、ですが、真美さん。私たちの怒りは真っ当でしょう?」

「真っ当でもそれで国を滅ぼす理由にはならないでしょうが! 何人殺すつもりですか! しかもあの王様、多分断ったら普通に仕方ないって流す人でしょあれ!」

「いや、それは、その……。申し訳ない……」

「申し訳ありませんでした……」

 

 んー……。大丈夫そうだね。

 とりあえず、どうしていいか分からなかったから、申し訳ないけど真美を頼ることにした。師匠をなだめて精霊の森に連れて帰って、世界樹の前に真美を呼んだ。本当はだめなんだけど、私には正直結婚とかがよく分からないから真美が適任だと思う。

 真美は快く引き受けてくれて、お話し中だ。真美の前で師匠と精霊様が正座してる。

 

『JKにお説教される保護者組』

『保護者の姿か? これが』

『さいつよじょしこーせーまみさん』

 

 とりあえずあとは真美に任せよう。あっちを放置しちゃってるから。

 転移で獣人国のお城に移動。転移先はそのお城のバルコニーだ。屋根のないとても広いバルコニーで、王様やギルドマスター、ルドガーさん、それにたくさんの兵士さんが集まってる。たくさんの種類の獣人さんだけど、共通しているのは全員が恐怖で縮こまっていること。

 そんな獣人さんたちを見下ろすのは、フェニちゃん。ちょっと怒ってるみたいで、周囲の気温がとても高くなってる。私は結界で問題ないけど、みんなはすごく暑いんじゃないかな。いや、この場合は熱い、なのかな?

 

『ここまで怒ってるフェニちゃんは初めて見る』

『多分精霊様から事情を聞いたんだろうな』

『でもフェニちゃんは結婚とか分かるの?』

『獣人に愛し子が取られようとしてます、とか』

『あー……w それ言われたらフェニちゃんもキレるわw』

 

 そんな感じなのかな。フェニちゃんも結婚とかはよく分からないと思うから。

 

「戻った」

 

 みんなの前でそう言うと、全員の視線が私に向いた。ちょっと怖い。

 

「お、おお……。待っていたぞ、魔女殿……」

「その……。いろいろ、聞いてもいいか……?」

「あとでね」

 

 王様やギルドマスターを後回しにして、まずはフェニちゃんとお話しだ。フェニちゃんは待機中の状態だから。

 容赦なく攻撃しようとしていたフェニちゃんは私がお願いして止めてある。精霊様に話を聞いてくるから待ってほしいってお願いしておいた。

 フェニちゃんは私の方を見ると、機嫌良さそうに口を開いた。

 

「おかえりー。待ってたよ」

「ん。ただいま」

「それでどうするの? こいつら燃やす? この国滅ぼす? 準備はできてるよ?」

「ひいいぃぃ!?」

 

 獣人さんたちが怯えてる……。冗談でもそういうことは言わない方が……。あ、冗談じゃない。本気のやつだ。くちばしの中で炎が揺らめいてる。多分あの一発でこの王都の人は全滅すると思う。

 

「フェニちゃん。だめだよ」

「えー。でも王様ってやつが失礼なこと言ったんでしょ? 精霊の森の守護者にそんなことを言ったら、それはもう死にたいって言ってるようなものだと思うんだ。ね?」

「ね? じゃないから」

「でも……」

「フェニちゃん。いい加減、私も怒るよ」

 

 私のために怒ってくれるのは嬉しいけど、私は特別なお肉というやつを早く食べたいんだ。私は特にそこまで不愉快になってないのに、周りだけで怒っていてちょっと置いてけぼりになってる気がする。

 そんなよく分からない状態なのにただただお肉がお預け中。私は、お肉を、食べたい。

 

「フェニちゃん」

 

 私がちょっと不機嫌になっていることを察したのか、フェニちゃんは慌てたように言った。

 

「う、うん! そっか! 必要ないなら良かったよ!」

「ん……。ごめんね。来てもらったのに」

「いいよいいよー。リタちゃんのためならいつでも来るよ! じゃねー」

「ん。じゃねー」

 

 フェニちゃんはそう言って、あっという間に飛び去っていった。これで一安心、だね。

 

『今回はマジでやばいと思いました』

『大虐殺が配信されるかと思った』

『リタちゃんはここからが大変だろうけどな!』

 

 大変……。大変、かもしれない。

 振り返ると、王様をはじめ、たくさんの人が私を見てる。説明を求めるかのように。これは多分、全部言わないといけないやつ、だよね?

 

「魔女殿は……。精霊の森の守護者殿、なのか?」

 

 ルドガーさんが恐る恐るそう聞いてきたから、とりあえず頷いておいた。

 

「ん。改めて、精霊の森の守護者、リタ。よろしく」

「なんと……」

「ちなみにさっき王様を殺そうとしていたのは、前の守護者。私の師匠。私を婚約者に、とかで怒ってた」

「その……。まさか守護者殿とは思っておらず……。申し訳ない……」

「ん。大丈夫。私はそこまで不愉快でもなかったから」

 

『そもそも意味が分かってなかったからな!』

『ちなみに俺たちもなんだこいつぐらいは思ってたけどな!』

『保護者組がキレたから逆に落ち着いただけで!』

『多分真美ちゃんもそうだと思うぞ!』

 

 そうなのかな。どうして怒るのかはよく分からないけど。

 王様はぱっと顔を輝かせると、言った。

 

「そうか! 不愉快ではないと! それならばやはり……」

「分かってて言った場合は、私も師匠たちを止めることはしないからね?」

「…………。やはり食事にしなければならないな! うん! そうしよう!」

 

『こいつwww』

『反省してないだろw』

『周りの視線がちょっと冷たいものになってるぞw』

 

 まあ……。うん。私はお肉を食べられれば満足だよ。

 改めて、詳しいお話は食事をしながら、ということになった。ようやくお肉だ。楽しみ。

 




壁|w・)お肉を食べるだけなのにどれだけ時間かかってるんだ……。
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