異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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獣人国の特別なお肉

「お肉!」

「ああ、肉だ!」

「でも生だよ?」

「うむ。生だな」

 

『まさかの生食文化か?』

『肉の生食は正直避けた方がいいと思うんだよなあ』

『シッショ、そのあたり異世界側ではどうなんや』

『肉による、としか。お前らだって牛や豚、馬とかで違うだろ』

『そりゃそうだ』

 

 ドラゴンやワイバーンのお肉なら、ある程度生でも大丈夫なはず。ワームはちゃんと火を通さないといけなかったと思う。

 でも森の中ではその辺りもどうとでもできるからあまり深く考えなかったかな。

 

「生で食べるの?」

「いや、まさか。ちゃんと火を通すとも」

 

 どういうことだろうと思っていたら、次のカートが運ばれてきた。そのカートには鉄板が置かれていて、かなり熱を持っているのが分かる。魔力の流れから、鉄板の下に魔法陣を敷いてるみたいだね。すごく熱くなる魔法だ。

 

「守護者様。厚みに好みはありますか?」

 

 大きな包丁を持ったメイドさんにそう聞かれた。もしかして、今から切るってことかな。

 厚みの好み……。んー……。

 

「分からない。でもいっぱい食べるよ」

「ふふ……。ではいっぱい切りますね」

 

『いっぱい!』

『微笑ましそうにしてるメイドさんがなんかいいなあ』

『ちっちゃい子に対応するメイドさん』

 

 ちっちゃい言うな。ちっちゃいけど。

 メイドさんが厚めにお肉を切ってくれて、そしてその場で焼き始めた。あちあちの鉄板でさっと焼いていく。しっかりと焼き色が入ったところで、私のお皿に置いてくれた。

 

「おー……」

「王家の祝いの席など、特別な日にのみ食する肉、ワイバーンの尻尾肉だ!」

「お……。ワイバーン?」

「うむ」

 

 ワイバーン。それが、特別なお肉? ワイバーンなら私の森でもたまに食べてるけど、たしか森の外のワイバーンはちょっと劣る味だったはず。森の生き物ほど魔力を持ってないから。

 その尻尾の肉。美味しいのかな?

 

『森のワイバーンはめちゃくちゃ美味しいんだっけ?』

『シッショ! 外のワイバーンはどうなんだ!』

『美味しいけど、森のワイバーンと比べるとちょっとなあ』

『それが……特別なお肉!?』

『きっと森の外のお肉に合わせた美味しい味付けだから!』

 

 ん……。なるほど。それはあるかもしれない。

 

「では、守護者殿。どうぞ食べてくれ」

「ん」

 

 それじゃあ、早速食べよう。

 ナイフでお肉を切る。ナイフはすっとお肉に入っていって、とっても簡単に切れる……ことはなかった。

 

「お肉が……ぐにぐにしてる……」

 

『え』

『あー……。こういうパターンか』

『ぶっちゃけなんかそんな予想はしてたw』

 

 どういう予想? それ、もうちょっと詳しく聞きたい。いや、でも今はそれよりもお肉だ。

 しっかりとナイフを入れて、お肉を切る。焼く前に何か香辛料はつけていたみたいで、ちょっといい香りがする。それじゃあ、いただきます。あむ。

 

「んー……。結構柔らかいけど、でもぐにぐにもしっかりしてるね……。牛タンが近いかもしれないけど、肉汁もある」

 

 お肉特有の旨味はしっかりと感じられる。でも……ちょっと固いお肉だ。

 でも、なんだろう。悪くはない。むしろ美味しい。美味しいけど……。はっきり言ってしまうと、期待外れ、だね。

 なんというか……。特別ってほどでもない。確かにぐにぐに食感のお肉はあまり食べないけど、でも逆に言うとそれだけだ。お肉の味なら、精霊の森で食べるお肉の方がいいと思う。

 

「んー……」

「あー……。守護者殿。口に合わなかったか?」

「いや……。期待外れではあるけど、それだけだよ」

「そ、そうか……」

 

『期待外れかあ』

『食感がだめだったのか、味がだめだったのか』

『食感じゃね? なんかすごく固そうだし』

 

 そうだね。どちらかと言えば食感だ。ぐにぐにのお肉は嫌いじゃないけど、特別なお肉って聞いていたから、もっと口に入れたら溶けるようなすごいお肉を期待してしまっていた。

 でも……。もうちょっと考えるべきだったと思う。だってここは獣人の国で、獣人さんはみんな固めのお肉が好きらしいから。獣人さんにとっての特別なお肉だと、こうもなるってことだね。

 

『それでもばくばく食べる魔女』

『美味しいのかい! まずいのかい! どっちなんだい!』

『また懐かしいネタをw』

 

「美味しいよ。それは間違いなく」

 

 ギルマスさんが作ってくれたお肉料理の上位互換って言えるかもしれない。だから美味しいのは美味しい。私の中でハードルを上げすぎていただけ、だね。

 もむもむとお肉を食べていたら、隣でルドガーさんが立ち上がった。

 

「分かる……分かるぞ、魔女殿」

「もぐ?」

「この料理には刺激が足りない! そういうことだろう!? やはりここは俺の料理を……」

「死にたくなければ黙ってて」

「…………」

 

『すん』

『すっと座るのは草なんだ』

『あれだけリタちゃんにキレられててその発想に至れるのはすごいよ。あ、褒めてないから』

 

 まあ、正直、味だけならルドガーさんの料理の方がいいかもしれない、というのはちょっとだけ思うけど……。それでも臭いでマイナスだから。

 他の料理も悪くなかったけど、日本の時みたいに感動するようなものはなかった。美味しくはあったけど、ね。

 デザートにはあの果物。桃もどき。殻を割った後の中の果肉は、黄色、だね。なんというか……。すごく濃い黄色だ。ちょっとびっくり。それじゃあ……。あむ。

 

「ん……。ジュースと似てる。薄い桃の味。日本の桃の方が美味しいかな」

 

 薄味の桃。そんな感じだ。悪くはないけど、ね。

 




壁|w・)びみょい!
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