異世界魔女の配信生活 作:龍翠
タクシーで移動した先は、今日から二泊する予定のホテル。茶色のレンガみたいな外壁があるホテルで、横から見るとちょっと平べったいかも。中にはコンビニもあるらしい。夜でもお買い物ができるね。
「ここが今日泊まるホテルだよ!」
「おー」
『ここは……朝食で有名なホテル!』
『わりといいホテルやんけ!』
『部屋はあれか、スイートか!?』
「違います。デラックスツインです。三人でも泊まれるお部屋ですね」
「…………」
真美がそう言った瞬間、師匠の顔がちょっと引きつった。どうしたんだろう?
「あー……。真美さん」
「なんですか、師匠さん」
「さすがに年頃の女の子の部屋に、赤の他人の男が一緒に泊まるのは普通に事案だと思うんだけど」
「…………。はっ!?」
『真美ちゃん!?』
『え、待って、この子天然なの?』
『リタちゃんの師匠さんだからと全然気にしてなかっただろw』
ん……? 師匠が一緒の部屋はだめなのかな。私は一緒でいいと思う。きっと楽しいから。
「何がだめなの?」
「あー……。ほら、俺も男だ。こう……あるだろ?」
「私も師匠さんのことは信用してるけど、ほら、こう、貞操的な問題でね……?」
「ていそう。まかせて。真美のていそうは私が守るから」
「師匠さん! これ意味分かってないです! どうして変なところで知識がないんですか!」
「多分これ、貞操が何か物とか思ってるな。笑える」
『笑えないんだが?』
『いつも思うけどリタちゃんのそっち方面の知識不足はわりと致命的だと思う』
『記憶力お化けのリタちゃんが意味を知らないって、マジでそれらの知識をかけらも与えられてないってことだからな』
なんだろう。よく意味が分からない。んむむ? …………。むあー。
「真美? 何するの?」
「あははー。リタちゃんはそのままでいてね」
「むあー」
ほっぺたをむにむにされてる。むにむに。うあー。
よく分からないまま、ホテルの中に入る。ロビーっていう場所になるのかな。とても広い。ちょっと暗いけど、落ち着いた雰囲気があってすごくいいと思う。人もいっぱいだ。
「今更だけど、時間早くないか? チェックインはまだと思うんだけど」
「あ、大丈夫です。特別に許可もらってます」
「お、おお……。さすがの手回しだな……」
『これがリタちゃんと付き合って振り回されてるJKの実力よ』
『真美ちゃんが案内してくれる時は事前に連絡してくれるよね』
『一家に一人真美さん』
『どういうことだってばよ』
真美は一人しかいないし、真美は私の友だちだよ。
真美がカウンターに行くので一緒に行く。ホテルの人は私たちを見て、一瞬だけ驚いて、すぐに笑顔になった。
「いらっしゃいませ。魔女様のご一行ですね」
「はい。お部屋、大丈夫ですか?」
「もちろんです。事前に伺っていましたから」
本来はもうちょっと、夕方の三時ぐらいでないと入れないらしいけど、今日は特別にもう入っていいみたい。ホテルの部屋、楽しみだね。
そう思っていたら、師匠が従業員さんに話しかけた。
「失礼、ちょっといいかな」
「はい。どうしましたか?」
「あー……。ちょっと、相談があるんだけど……」
こそこそと師匠と従業員さんが話してる。真美は苦笑い。何の話か想像できてるみたい。
しばらくして、師匠が小さく頭を下げた。私たちの方に向き直る。
「もう一部屋、使わせてもらえることになったよ。ただ部屋の準備は通常通りになるから、入れるのは夕方だけど」
「もう一部屋? どうして?」
「…………。大人の事情ってやつさ」
「大人ずるい」
「ははは……」
『ずるくはないかなあw』
『珍しい真美ちゃんのミス……いや真美ちゃんのミスかこれ?』
『冷静に考えたら予約した人のミスでは?』
『そもそも師匠さんが一緒だって知らなかったと思うから!』
なんだか難しい話だね。私はみんな一緒でいいと思うけど。
とりあえず私たちの部屋には入れるらしいから、まずはそっちに向かうことになった。カギを受け取る。カギは、カードキー。人数分で二枚もらえた。すごい。
「これがないとエレベーターに乗れないから、なくさないようにね」
「転移で移動すればいいと思う」
「なくさないようにね?」
「はい」
『真美ちゃんからの圧がw』
『そもそもカギは返さないといけないからね』
ん……。そうだね。ちゃんと大事にしまっておくよ。
それじゃあ早速エレベーターに、と思ったけど、まずはコンビニに行くことになった。ホテルの中のコンビニ。いろいろとお土産も売ってるみたい。
せっかくだから、北海道らしいものを買って、部屋で少しゆっくりしようとのこと。何があるのかな?
ホテルの中のコンビニ。普通のコンビニほど広くはないけど、お土産はたくさん売ってあった。入ってすぐの場所に山積みにされてる。美味しそうなものもいっぱいだ。
「お土産として買っていくのはまた後にして、今は部屋で食べるものにしようね。何が食べたい?」
「んー……」
全部、とはさすがに言えないよね。部屋の中で食べるものだから。お土産だったらいっぱい買おうと思ってたけど。
「じゃあ、函館らしいものを食べたい」
「函館らしいもの、だね……。うーん……」
真美は少し悩んで、そして。
「すみません、何かおすすめありますか?」
レジの人に声をかけていた。
『ある意味正しいw』
『店員さんはちょっと慌ててるけどw』
ん……。店員さんは私たちを見て固まってるね。でも、すぐに我に返ると、おすすめを教えてくれた。チーズ帆立、だって。見たことのないお菓子……お菓子なのかな? ともかく、楽しみ。
とりあえず二十五個入りを一箱買わせてもらって、改めて部屋に向かうことになった。部屋とお菓子、楽しみ。
壁|w・)性教育が徹底的に排除されてきた結果がこれだよ!