異世界魔女の配信生活 作:龍翠
エレベーターに乗って、十階へ。そこに私たちの部屋があるらしい。
エレベーターから出ると、まずは小さな部屋。エレベーターに乗るための部屋だね。その部屋にも窓があって、函館の町並みをちょっとだけ見ることができる。
その部屋の端で廊下が左右に延びていて、たくさんのドアがあった。宿泊のための部屋、だね。廊下そのものは落ち着いた雰囲気で、とてもいいと思う。廊下の端っこにも窓があるから、そこからまた景色も見れるかも。
「ここだね」
真美が一つのドアの前で立ち止まった。ドアについてる黒い部分にカードを当てると、カギが開いた。すごい。
「おー……。かっこいい」
「あはは……。やる?」
「やる」
カードを黒い部分にかざす。かちゃり。おー。
「おー……!」
「リタちゃんが興奮してる……」
「かわいいだろ?」
「かわいいです」
『かわいい』
『ちょいちょい子供っぽいところを見せていくスタイル!』
余計なことは言わなくていいよ。落ち着いちゃうから。
ドアを開けて、中に入った。
入ってすぐの右側に洗面台がある。その反対側にはお風呂とトイレだね。お風呂はわりと広くていい感じかもしれない。ここのお風呂なら気持ち良さそう。
「ちなみに最上階に大浴場があるから。温泉だよ」
温泉! じゃあここのお風呂は使わないことになりそうだね。
改めて、出入り口のドアの反対側。そこには横に開くスライド式のドアがある。どんな部屋か楽しみ。
『なんか……リタちゃんが先頭であちこち見てるの、すごく子供してていいな……』
『シッショがお父さんしてる気がする』
『真美ちゃんはお母さん?』
「やめろ。事案で俺が捕まる」
スライド式のドアを開けて、中を見る。
「おー……!」
中は思ったより広い。ベッドもあるからだろうけど。
入ってすぐ、右側にはまた小さいけど水道があって、その側にはなんだか見慣れない道具が置かれた箱がある。ケトルもあるね。水を入れて電源をつけたらすぐに沸騰するやつだ。
箱の中はなんだろう? んー……。コップと、小さい袋。なにこれ。
「師匠。なにこれ」
「コーヒー豆だな。箱の上にあるやつはミル、だっけ。それでコーヒー豆をごりごりってな」
「おー」
『そのホテルの名物やね』
『一緒にあるコーヒークッキーも美味しいよ!』
「もぐもぐ……。ん。クッキーはさくさくしていて美味しい」
「一瞬でクッキーが消えた!?」
『行動が速いwww』
『目の前にクッキーがあったらそりゃそうなるw』
クッキーはとてもいいもの。もっといっぱい食べたいけど、人数分しかないみたい。お店で買えたりするかな?
コーヒーは……師匠が使うと思う。豆から作るなら、多分すごく苦いと思うから。
「そういえば、真美、電気はどうやってつけるの?」
「ああ、うん。入ってきてすぐのところに、カードキーを差し込む部分があるんだよ」
そう言って、真美はドアのすぐ側にあった小さな機械にカードキーを差し込んだ。すると部屋の電気がついた。おー……。すごい。
ホテルの部屋はなんだかすごいね。それじゃあ、もっと部屋を見ていこう。
さっきの道具とかが置いてある場所は横に細いスペースになっていて、さらにその奥がちゃんとした部屋の部分みたい。ちょっとした段差になっていて、ここで靴を脱ぐんだね。
左右には大きめのベッド。さらに奥は、ソファ、テーブル、テレビ台と並んでる。テレビはわりと大きい。その向こう側には大きな窓。函館山とか、ホテルの前の町並みとかが見える。
ソファに座ってみる。んー……。なかなかの座り心地。
「真美。真美。お菓子食べよう」
「あはは。そうだね」
一息つけたから、お菓子だ。チーズ帆立。どんな味かな。
箱に入ってるお菓子の中は、個包装になってる。たくさん入ってるね。いっぱい食べられる。
「師匠は? 食べる?」
「俺はコーヒーを飲むよ。二人で食べな」
「ん」
『シッショが親をしてる!』
『保護者シッショ! 略してホゴッショ!』
『ポンコツ要素を足してポンコッショ!』
「お前らはケンカ売ってんのか」
気にしたらだめだと思うよ。
せっかくだからどうやって作るのか見てみよう。コーヒー豆をミル……でいいのかな? そこに入れて、取っ手みたいなところをぐるぐると回す。するとごりごりと豆が砕かれていって、コーヒーの粉がたまってきた。
透明な大きなコップみたいなもの……コーヒーサーバーっていうらしい。その上部にドリッパーっていう円錐みたいな形の道具と茶色のフィルターを取り付けて、粉を入れて、お湯を少しずつ入れる。すると黒い水がコーヒーサーバーにたまってきた。これを飲むらしい。
「ここまでして苦い水を飲みたいの?」
「ははは。失礼なことを言うのはこの口か? この口か?」
「うあー」
やめてほしい。私のほっぺたはそこまで伸びない。うあー。
『コーヒー美味しいんだけどなあ』
『なんだかんだとリタちゃんの分も用意してくれてるw』
『なお大量の砂糖とミルクも一緒である!』
ん……。これだけ入れたら飲めるかな。お砂糖たっぷり。ミルクもたっぷり。それじゃあ、いただきます。
「んー……。甘くて美味しい」
「ぶっちゃけそこまで入れたら市販のカフェオレで十分だよな……」
『言うな』
『砂糖とミルクの味が違うから!』
「手間がないことを考えたらコンビニのカフェオレでいいと思う」
『リタちゃあああん!?』
『こらwww』
カフェオレなら、だよ。師匠は満足そうだから、多分コーヒーとしてならすごく美味しいんだと思う。私は甘い方が好きだから、よく分からないけど。
壁|w・)リタ特製、砂糖とミルクをたっぷりぶち込んだ激甘挽きたてコーヒーはいかがですか?