異世界魔女の配信生活 作:龍翠
近くの建物に入る。赤レンガ倉庫の中だけあって、壁もやっぱりレンガ造り。日本ではあまり見かけないから、ちょっと新鮮だ。お店もいっぱいだね。
「真美。真美。アイスがある」
「ジェラートだね。食べる?」
「食べる」
全体的にちょっと赤っぽいピンク色のお店。そこにアイス……ジェラートのお店があった。
横にちょっと長い透明なケースがあって、そこにたくさんのジェラートが種類ごとに盛られてる。この中から選ぶ形みたい。
入れ物はカップとコーンから選べるみたい。種類は、二十種類かな? ミルクとかチョコレート、いちご、メロンといろいろある。
そのケースをじっと見ていたら、店員さんがこっちを見てることに気がついた。ふと周りを見ると、みんなが遠巻きに私を見てる。
「暇なの?」
『相変わらず辛辣ぅ!』
『暇じゃないけどリタちゃんを見れるのは今だけだからね。多分一生に一回あるかないかだからね』
『その場にいたら俺もじっと見る自信があるw』
「そんな自信は函館湾に投げ捨てればいいよ」
「函館湾が腐っちゃうよ、リタちゃん」
『ひどいwww』
『真美ちゃんが辛辣すぎるwww』
そんなことより、ジェラート。どれにしようかな。
「おすすめ、ある?」
店員さんに聞いてみると、店員さんはちょっと慌てながらもお返事してくれた。
「ど、どれも美味しいですよ! ここのジェラートはその季節におすすめの味を用意していますので……!」
「おー……。その中でもおすすめで」
「…………」
店員さんの頬が引きつってしまった。どうしたのかな。
『責任重大なやつ』
『リタちゃん、わりとストレートに感想口にするから』
『これでリタちゃんの好みを引き当てられなかったら……こわい!』
別にそこまで気にしなくてもいいと思うんだけどね。
選んでくれたのは、ミルクとチョコレート、いちご、メロン、ブルーベリー。わりと定番だけど、だからこそ外れはないと思う。
カップとコーン、両方試してみたいから、それぞれに入れてもらった。カップにはバニラとチョコレート、コーンにはいちご、メロン、ブルーベリーの果物系だ。コーンにもスプーンをつけてくれてて、すごく親切。いいお店。
「真美。真美。ジェラート買った」
「うんうん。早く食べちゃわないと溶けちゃうよ」
「魔法で維持してあるから大丈夫」
「また変なところで魔法を使ってる……」
『まあリタちゃんだしw』
『溶ける心配がないのはいいよね』
『たくさん食べたいけど、たくさん買うと溶けちゃうのが悩みだからね』
ちょっと溶けたアイスもそれはそれで美味しいと思うけど、やっぱりそのままが一番だと思うから。
それじゃあ、バニラのジェラートをぱくり。もむもむ……。
「おー……。すごくなめらか、だね。作ったような甘さじゃなくて、ミルクの味がしっかりと感じられる。チョコの方もチョコの味がしっかりとある。好き」
これはとても美味しい。冷たい食べ物の中だとかなり美味しい方だと思う。もむもむ。
果物の方も……果物の味がしっかりとある。余分な味がほとんどしない。シンプルに果物の味が楽しめる。冷たい果物をジェラートにした、そんな味。とても美味しい。
『すごく……美味しそうです……』
『そこのジェラートは本当に美味しいからマジでおすすめ』
『リタちゃんのシンプルな好きを録音しました』
『変なことしてるやつがいるw』
んー……。まあ、別に悪いことをしてないなら、私も何か言うつもりはないよ。
ぱくりと食べてお口いっぱいに味を感じるのもいいけど、ぺろぺろとなめてちょっとずつ味を楽しむのもいいと思う。
「ぺろぺろ」
『ぺろぺろだー!』
『そのジェラートをください!』
「変態さんは反省しなくていいので消えてください」
『真美ちゃんさっきから辛辣すぎないかw』
『だってぺろぺろがかわいいからあああ!』
変な人はどこにでもいるものだから無視すればいいと思う。
しっかりとジェラートを食べ終えて、ついでに追加で購入してアイテムボックスに入れておいた。これでいつでも楽しめるね。
『今のリタちゃんのアイテムボックスってどうなってんのかな』
『多分入ったらとんでもない量のお菓子とかご飯とかアイスがぷかぷか浮いてると思うぞ』
『リタちゃんの楽園がそこにある』
こっちの中には実際に入らないけどね。入っちゃったらさすがに時間を止められないから。
最後に写真を撮ってから、また建物の中を巡る。いろんなお店、いろんな食べ物があって、飽きない場所だ。じっくり見て回るだけでもいっぱい時間を使っちゃうかも。
でも今回は二泊三日の旅行。あまり一箇所に時間を使っちゃうと、他を見られないかもしれない。美味しいものが他にもあるだろうし、そろそろ次に行った方がいいかも。
「真美。真美。次はどこに行くの?」
「んー……。そうだねえ……。今ならちょっとした資料館とかも見れるかな……。行ってみる?」
「行く」
赤レンガ倉庫を抜けて、海沿いにてくてく歩く。函館湾沿いには休憩できる椅子もいくつかあるね。ほどよい気温ならここでのんびりするのもいいと思う。海の音が気持ちいいから。
『この近くの緑の島もなかなかいい場所でおすすめ』
『何があるのかって言われたら困る場所だけどw』
緑の島。自然がいっぱい、なのかな? あとで行ってみてもいいかも。
ところで、なんだか変な形のものがある。なんだろうこれ。
「なんか変な形のがある」
「えっと……。北海道第一歩の地碑、だって」
「ふうん……」
歴史的に何かある場所、なのかな? それだけがぽつんとあるから、よく分からないけど。説明の文章もあるけど、ね。
でも師匠はちょっと興味があったみたいで、しばらく見ていて、スマホで写真を撮っていた。知ってるのかな?
「師匠は知ってる場所?」
「いや、あとで写真でじっくり読もうかと」
「あ、そうなんだ」
『シッショwww』
『いや、やるけどもw』
『あとで読んでおけばよかったってなるよりはね』
私は、あとでしっかり思い出せばいいかな。
スマホを見ながら歩く真美の後を追って、とりあえず次の場所に向かった。
壁|w・)架空のジェラートのお店です! 架空だってば!