異世界魔女の配信生活 作:龍翠
たどり着いたのは、北方民族資料館。北海道の先住民族であるアイヌ民族について学べる施設、だって。ちょっと大きな建物だ。
「ここは元々は銀行だったらしいよ。それを改装して資料館にしたんだって」
「おー」
銀行。お金を預けられる場所だね。そういえば私の世界に銀行みたいな場所ってあるのかな。調べてないから分からない。いや、興味があまりないけど。
中に入って、細い通路をちょっと歩く。するとすぐに受付にたどり着いた。ここでお金を払うみたい。金額は、一人三百円。とても安いと思う。
「お願いします」
お金を渡したら、受付にいたおばちゃんはにこにことお金を受け取ってくれた。とてもいい人。
「アイヌ民族って、確か漫画で見たことあるよね」
「うん。すごく人気の漫画がアイヌの漫画だったからね。アニメにもなった人気の漫画だし」
その民族のお話だったってことだね。アニメはおもしろかった。
展示室にはたくさんのものが並べられていた。アイヌの衣装とかもある。どんな生活をしていたのか、巻物みたいな絵と説明文があったりもする。ふむふむ。
「リタちゃん、かなりペースが速いけど、読んでるの?」
「視界に入れてる。あとでゆっくり思い出す」
「もはや何を言ってるのか分からない……!」
『ちょいちょい化け物じみたリタちゃんの記憶力が出てくるな』
『視界に入れてさっと見ておけば、あとで思い出せる、らしい』
『普通そういうのってあやふやになったりしない?』
しない。他の人は知らないけど、私はあとで鮮明に思い出せるから。
「思い出すのって、どんな感じで思い出すの?」
「んー……。記憶の棚がある」
「え?」
「ざっくり年月日みたいに並べられた棚。そこから必要なものを探して取り出す。そんなイメージ」
あくまで、イメージだけど。そこまで重要じゃない記憶はそんな感じで整理してる。魔法とか大事な記憶はすぐに出てくるからまた別のイメージだけどね。
「よく分からない……」
「んー……。そういうものだよ」
私の体質はかなり珍しいって師匠も言ってたし、あまり参考にならないと思う。私と同じ体質でも、人によってはイメージがまた違うだろうし。
服も儀式用とかいろいろあったみたいで、たくさんの種類が展示されてる。装身具もいろいろあったみたい。特徴的だけど綺麗な装身具がいっぱいだね。
「模様についても書かれてる。ちゃんと意味があるみたい」
「不思議な模様だよね」
「ん」
不思議な模様だけど、私はなんとなく好きだよ。
これは……武器、かな? 刀みたいに見えるけど……説明を読むかぎりでは、切れない刀だって。儀式用。エムシ……?
他にもアイヌ民族が描かれたアイヌ絵とか、いっぱい展示されていた。ここをしっかり巡れば、アイヌ民族についてすごく詳しくなれるかも。
ぐるっと一周して、受付に戻ってきた。なかなか興味深い施設だったと思う。とても良かった。
「満足」
「あはは。食べ物がないから満足してくれないかなと思ったけど、よかったよ」
「アイヌのご飯があればなお良かった」
「無茶言わないでね?」
『一応、アイヌの伝統的なご飯を提供してるお店もあるらしいけど』
『興味があればそっちも行こうぜ!』
「函館にあるの?」
『函館には……なかったかな……』
じゃあ、また今度だね。興味はあるけど、今回は函館を巡る旅行だから。
いつの間にか時間も結構経っていて、もうすぐ夕方だ。転移もあるから他にも行けるけど、まだ二日あるから今回は帰ることになった。
「それに、夜にもお出かけしたいしね」
「どこに行くの?」
「函館山。夜景見に行こうね」
「ん」
夜景。函館の夜景はとっても綺麗らしいね。楽しみ。
帰る前に、晩ご飯。六時に焼き肉を予約してあるらしいから、それまではお散歩、だね。ゆっくり歩いてホテルに戻ろう。
資料館の前の道からてくてく歩く。そういえば、大きな道だけど、道の中央に線路がある。なんだろうこれ?
「真美。真美。道に線路がある」
「あれ? 初めてだっけ? 路面電車っていうんだよ」
「おー」
道路を走る電車! すごい!
『別名をちんちん電車な』
『なんかそんな通称があるらしい』
『変な意味のちんちんじゃないよ!』
「ん……?」
「気にしなくていいからね」
真美がすごく冷たい目を光球に向けていた。変な意味がいい意味じゃないんだろうなっていうのはなんとなく分かった。
ちんちん電車は、路面電車が何かの合図で鳴らすベルの音から来ている……らしい。そういう説があるというだけで、はっきりと分からないみたいだね。
歩いていたら、その路面電車が横を通っていった。ゆっくり走ってる。電車みたいに速い乗り物じゃないみたい。ちょっとおもしろい。
手を振ってみたら、運転手さんがちょっと驚いて手を振り返してくれた。ふりふり。
『おいあの運転手を特定しろ』
『ちょっと路面電車の運転手になってくるわ』
『今からなっても手遅れだよw』
路面電車はとても乗りたいと思うほどではないけど、ちょっと気になるかも。時間があったらちょっと考えようかな?
通り過ぎていく路面電車を見送って、今度こそホテルに向かって歩き始める。晩ご飯、焼き肉。お肉。楽しみ。
『ちなみに焼き肉ってことは、ジンギスカン?』
『羊ですね分かります!』
「そうです」
『ジンギスカンだー!』
ん……。そういうお肉らしい。羊だって。楽しみだね。
壁|w・)アイヌの文化を学べてとても良い施設でした。ご興味があれば是非。