異世界魔女の配信生活   作:龍翠

595 / 595
やきとり(豚)弁当

 

 真美に案内されてたどり着いたのは、コンビニのようなお店。やきとり弁当が有名らしい。函館周辺にしかないコンビニだって。

 お店に入る。やっぱりただのコンビニに見えるけど……。明らかに違う場所があった。厨房みたいな場所があって、店員さんが何かを焼いてるみたい。

 

「ほらほら、リタちゃん。こっち」

「ん?」

 

 厨房の向かい側には小さなテーブルがあって、注文書が置かれていた。これで食べたいやきとりを選んで店員さんに渡すみたい。

 

「種類いっぱい。タレと塩以外もあるね」

 

 塩だれ、うま辛、みそだれとある。とりあえず……全部で。今は人も少ないみたいで大丈夫そうだし。

 真美はタレだけで、師匠は私と同じで全種類頼んでいた。

 

「お肉の種類も選べるけど……。きりがないから定番のやつね」

「ん」

 

 注文書を書いた後は店員に渡す。店員さんは私を見て驚いて、さらに注文書を見てちょっとだけ頬を引きつらせた。でもすぐに作り始めてくれる。いい人。

 

『どう見ても普通の焼き鳥なんだけど』

『そういえば表の看板もひらがなでやきとりだったな』

『マジで豚なの?』

 

 やきとりなのにね。函館の豚は翼でもあったりするのかな。さすがにないと思うけど。

 待っている間は店内をうろうろ。お買い物もしないとね。お菓子とかジュースとか……。いろいろ。アイスも。いっぱい。

 

「…………」

 

 買い物カゴを二ついっぱいにしたら、真美が何とも言えない顔をしていた。どうしたんだろう?

 

「真美?」

「なんでもないよ」

 

『買い過ぎだって言わないとだめですよ真美ちゃん!』

『無制限に食べちゃう子だからね、仕方ないね』

『アイテムボックスでいつでも食べられちゃうしね』

 

 そうそう。いつでも食べられるようにだよ。

 店員さんに呼ばれて、お会計。お弁当と商品のお会計は一緒に。店員さんの頬がちょっと引きつっていたけど、きっと気のせいだと思う。

 お会計を済ませて、アイテムボックスに全部しまって……。

 

「写真、いいですか?」

「ん」

 

 いつもの写真を撮った。お店に飾ってもいいかって聞かれたから、それもいいよって。お店に飾る意味は分からないけど、いつも通り好きにしてくれたらいい。

 

『さすがリタちゃん太っ腹』

『リタちゃんは公共の財産だからな』

『シッショ! リタちゃんを俺たちにください!』

 

「殺すぞ」

 

『マジトーンの殺すぞありがとうございます!』

『やべえやつがいて笑うしかない』

 

 私は君たちのものになった覚えもなるつもりもないからね。

 

「ところで、これ、豚なんだよね? どうしてやきとり弁当なの?」

 

 写真を撮った後に店員さんに聞いてみたら、丁寧に教えてくれた。

 函館を含む道南地区は養豚場が多くて、比較的安価に手に入れられることができたのだとか。あと、北海道は自然の厳しい場所だから、エネルギー源として豚が好まれた、らしい。

 函館ではやきとりを注文すると豚が出てくるのが普通で、鶏肉を食べたい場合は、やきとり鶏肉で、と注文しないといけないらしい。とても不思議だね。

 それじゃあ、ホテルに戻ろう。早くやきとり弁当を食べたいから。一応イートインコーナーはあるけど、お部屋でゆっくり食べたいからね。

 

 

 

 ホテルに戻ってきて、部屋の前で師匠と別れる。師匠は自分の部屋でのんびり食べるんだって。

 

『シッショさては酒を飲むつもりだな!?』

『ゆるせん! 俺も飲む!』

 

「はいはい」

 

 師匠は軽く手を振って行ってしまった。お酒、美味しいのかな?

 

「真美。真美」

「お酒を飲んだら絶交だからね」

「わ、わかった……」

 

『しょんぼりリタちゃん』

『真美ちゃんは直接見たことないだろうけど、まあやばそうっていうのは分かるからなあw』

 

 むう。あまり納得はいかない。

 お部屋に入って、早速やきとり弁当だ。アイテムボックスから取り出して、ぱかっと開く。

 

「おー……」

 

 ほかほかのご飯に大きな海苔。その上に串に刺さったお肉が三本。タレをたっぷりとかけてくれていて、とても美味しそう。それじゃあ、いただきます。

 

「んー……。見た目は焼き鳥なのに、ちゃんと豚だね。不思議だけど、美味しい」

 

 ごはんにもタレがからまっていて、しっかりと味わうことができる。すごくいい。

 次は、塩。あっさり塩味でこれも美味しい……。でも塩味だけじゃないね。ちょっとだけ、ニンニクの味がする気がする。それがまたアクセントになっていて美味しい。とてもいいもの。

 

「もぐもぐ……。あれ? 真美、串が外れてる」

「外せるんだよ」

 

 お弁当箱のケースには小さいくぼみがあって、そこに串を載せてふたで挟んで、串を引き抜けば簡単に串から外せる、という仕組みらしい。

 

「おー」

 

『これはすごい』

『シンプルだけどかなりいい発明ではなかろうか!』

『焼き鳥は好きだけど串が邪魔、という人に最適やな』

 

 串に刺さっていると、最後の方がちょっと食べづらいからね。ほっぺたにタレがついたりしちゃうから。それが嫌な人にはとてもいい仕組みだと思う。すごい。

 もぐもぐと食べ進めて、完食。ごちそうさまでした。

 

「とても美味しかった」

「お勧めしてよかったよ。テレビでやってたから、一度食べてみたくて」

 

 結構有名だったってことだね。函館にしかないのが残念だと思う。また買いに来ないといけない。

 

「それじゃあ、リタちゃん。あとはのんびりだよ。適当に温泉とアイスに行こうね」

「ん」

「ちなみに明日の夕方は、獣人国に行かないといけないっていうのを忘れちゃだめだよ」

「…………。分かってる」

「不服そう……」

 

『この子はほんとにもうw』

『楽しみのお肉がちょっと期待外れだったからね、仕方ないね』

『まあ美味しいご飯を教えてもらえるはずだから!』

 

 ん……。それを期待することにする。

 それじゃあ、あとはのんびり、だね。温泉とアイスも忘れずに。楽しみ。

 




壁|w・)温泉とアイスの2回目はカットされます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜(作者:電動ガン)(オリジナル:現代/コメディ)

目覚めたら無だった。何も無い。宇宙さえも。自分の身体を見る。銀色の甲殻、長い尻尾これモンスターだ!?よく見ると俺の他にも二頭のモンスターが。ドラゴンだこれ!!▼俺たち三頭の女神龍は宇宙創成の前の世界にいる。俺たちを生み出した主神の指示で世界を作り生命を繁栄させることとなったけど・・・・・・それ何年掛かるの?▼何億年も掛けて生命が宿れる星を何個も作り、失敗し、…


総合評価:2934/評価:7.66/連載:147話/更新日時:2026年10月22日(木) 10:01 小説情報

【本編完結】 ハンマー少女はバズらない! 固有スキル【隠遁】で自由に探索してたら伝説になってました(作者:chikuwabu)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

 魔物からも認識されないし、人間からも認識されない、配信にだって映らない。そんな癖の強いスキルのおかげで人知れずソロ探索をしていたら、いつの間にかドワーフだとか座敷童子だとか、変な目撃証言が広まっちゃった、見た目子供な女の子(18)のお話。▼ そんな噂は気にもせず、妖精少女をパートナーに従えて、カレーを食べたり、探索したり、人助けをしたり、たまに目撃されたり…


総合評価:10555/評価:8.8/完結:649話/更新日時:2026年07月03日(金) 23:00 小説情報

皇女戦記(作者:山本 奛)(原作:幼女戦記)

幼女戦記の世界は、存在Xの目論見通り、悲劇的結末がちらついている。▼如何に強大な帝国とて、このままいけばかのドイツ帝国と同じ末路をたどるであろう。▼では、ここで問題。▼そんな「史実」を知っている人間がターニャ以外に存在していて。▼かつ、帝国の意思決定に関与できる立場にいたならば?▼そんな妄想からできた仮想戦記です。▼◇本作において、核兵器は登場いたしません▼…


総合評価:35363/評価:9.06/連載:147話/更新日時:2026年09月21日(月) 18:00 小説情報

異世界でチート美少女になればやり直せると思ってたけど燃え尽きた(作者:暁刀魚)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

どんな人生を送っていても、異世界でチート美少女になればやり直せると思っていた。▼でも実際にそうなった時、ミツキは自分の生き方を変えようとして挫折した。▼そして逃げるように冒険者となった時、気づいてしまったのである。▼力も容姿も手に入ってしまったから、これ以上を望む必要がない、と。▼今の彼女に残っているのは、いかにノンストレスに生きるかということだけ。▼これは…


総合評価:19393/評価:8.8/連載:55話/更新日時:2026年10月12日(月) 18:05 小説情報

音楽チートで世に絶望していたTS少女がSIDEROSの強火追っかけになる話(作者:鐘楼)(原作:ぼっち・ざ・ろっく!)

前世での悔しさから、音楽チートを望み、規格外の才能を手に入れたTS少女・池揉優菜。しかし、ある時から行き過ぎた自分の力が嫌いになってしまっていた。そんなある日、訪れた新宿FOLTではメタルバンド・SIDEROSのライブが行われており…… ▼ 音楽ガバは勘弁してください。▼ シリアスは一話だけ(予定)▼掲示板はおまけです。


総合評価:48683/評価:9.03/完結:52話/更新日時:2026年01月31日(土) 07:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>