異世界魔女の配信生活 作:龍翠
真美に案内されてたどり着いたのは、コンビニのようなお店。やきとり弁当が有名らしい。函館周辺にしかないコンビニだって。
お店に入る。やっぱりただのコンビニに見えるけど……。明らかに違う場所があった。厨房みたいな場所があって、店員さんが何かを焼いてるみたい。
「ほらほら、リタちゃん。こっち」
「ん?」
厨房の向かい側には小さなテーブルがあって、注文書が置かれていた。これで食べたいやきとりを選んで店員さんに渡すみたい。
「種類いっぱい。タレと塩以外もあるね」
塩だれ、うま辛、みそだれとある。とりあえず……全部で。今は人も少ないみたいで大丈夫そうだし。
真美はタレだけで、師匠は私と同じで全種類頼んでいた。
「お肉の種類も選べるけど……。きりがないから定番のやつね」
「ん」
注文書を書いた後は店員に渡す。店員さんは私を見て驚いて、さらに注文書を見てちょっとだけ頬を引きつらせた。でもすぐに作り始めてくれる。いい人。
『どう見ても普通の焼き鳥なんだけど』
『そういえば表の看板もひらがなでやきとりだったな』
『マジで豚なの?』
やきとりなのにね。函館の豚は翼でもあったりするのかな。さすがにないと思うけど。
待っている間は店内をうろうろ。お買い物もしないとね。お菓子とかジュースとか……。いろいろ。アイスも。いっぱい。
「…………」
買い物カゴを二ついっぱいにしたら、真美が何とも言えない顔をしていた。どうしたんだろう?
「真美?」
「なんでもないよ」
『買い過ぎだって言わないとだめですよ真美ちゃん!』
『無制限に食べちゃう子だからね、仕方ないね』
『アイテムボックスでいつでも食べられちゃうしね』
そうそう。いつでも食べられるようにだよ。
店員さんに呼ばれて、お会計。お弁当と商品のお会計は一緒に。店員さんの頬がちょっと引きつっていたけど、きっと気のせいだと思う。
お会計を済ませて、アイテムボックスに全部しまって……。
「写真、いいですか?」
「ん」
いつもの写真を撮った。お店に飾ってもいいかって聞かれたから、それもいいよって。お店に飾る意味は分からないけど、いつも通り好きにしてくれたらいい。
『さすがリタちゃん太っ腹』
『リタちゃんは公共の財産だからな』
『シッショ! リタちゃんを俺たちにください!』
「殺すぞ」
『マジトーンの殺すぞありがとうございます!』
『やべえやつがいて笑うしかない』
私は君たちのものになった覚えもなるつもりもないからね。
「ところで、これ、豚なんだよね? どうしてやきとり弁当なの?」
写真を撮った後に店員さんに聞いてみたら、丁寧に教えてくれた。
函館を含む道南地区は養豚場が多くて、比較的安価に手に入れられることができたのだとか。あと、北海道は自然の厳しい場所だから、エネルギー源として豚が好まれた、らしい。
函館ではやきとりを注文すると豚が出てくるのが普通で、鶏肉を食べたい場合は、やきとり鶏肉で、と注文しないといけないらしい。とても不思議だね。
それじゃあ、ホテルに戻ろう。早くやきとり弁当を食べたいから。一応イートインコーナーはあるけど、お部屋でゆっくり食べたいからね。
ホテルに戻ってきて、部屋の前で師匠と別れる。師匠は自分の部屋でのんびり食べるんだって。
『シッショさては酒を飲むつもりだな!?』
『ゆるせん! 俺も飲む!』
「はいはい」
師匠は軽く手を振って行ってしまった。お酒、美味しいのかな?
「真美。真美」
「お酒を飲んだら絶交だからね」
「わ、わかった……」
『しょんぼりリタちゃん』
『真美ちゃんは直接見たことないだろうけど、まあやばそうっていうのは分かるからなあw』
むう。あまり納得はいかない。
お部屋に入って、早速やきとり弁当だ。アイテムボックスから取り出して、ぱかっと開く。
「おー……」
ほかほかのご飯に大きな海苔。その上に串に刺さったお肉が三本。タレをたっぷりとかけてくれていて、とても美味しそう。それじゃあ、いただきます。
「んー……。見た目は焼き鳥なのに、ちゃんと豚だね。不思議だけど、美味しい」
ごはんにもタレがからまっていて、しっかりと味わうことができる。すごくいい。
次は、塩。あっさり塩味でこれも美味しい……。でも塩味だけじゃないね。ちょっとだけ、ニンニクの味がする気がする。それがまたアクセントになっていて美味しい。とてもいいもの。
「もぐもぐ……。あれ? 真美、串が外れてる」
「外せるんだよ」
お弁当箱のケースには小さいくぼみがあって、そこに串を載せてふたで挟んで、串を引き抜けば簡単に串から外せる、という仕組みらしい。
「おー」
『これはすごい』
『シンプルだけどかなりいい発明ではなかろうか!』
『焼き鳥は好きだけど串が邪魔、という人に最適やな』
串に刺さっていると、最後の方がちょっと食べづらいからね。ほっぺたにタレがついたりしちゃうから。それが嫌な人にはとてもいい仕組みだと思う。すごい。
もぐもぐと食べ進めて、完食。ごちそうさまでした。
「とても美味しかった」
「お勧めしてよかったよ。テレビでやってたから、一度食べてみたくて」
結構有名だったってことだね。函館にしかないのが残念だと思う。また買いに来ないといけない。
「それじゃあ、リタちゃん。あとはのんびりだよ。適当に温泉とアイスに行こうね」
「ん」
「ちなみに明日の夕方は、獣人国に行かないといけないっていうのを忘れちゃだめだよ」
「…………。分かってる」
「不服そう……」
『この子はほんとにもうw』
『楽しみのお肉がちょっと期待外れだったからね、仕方ないね』
『まあ美味しいご飯を教えてもらえるはずだから!』
ん……。それを期待することにする。
それじゃあ、あとはのんびり、だね。温泉とアイスも忘れずに。楽しみ。
壁|w・)温泉とアイスの2回目はカットされます。