崩壊の序曲
「しっかし、、、ヤバいわね、これ」
博麗霊夢はそう呟いた。
それもそのはず。
霊夢は今博麗神社の祠にいる。「いる」という表現は少しおかしいかもしれない。正確には「敵の弾幕に被弾し、ぶっ飛び、祠の壁に突き刺さった」が正しい表現だ。
(服の色がなんか変ね…)
そっと服を撫でてみる。そして服の下の無機質な感触に気づく。
「ああ…」
どうやら祠の壁の板が胴を貫通してしまったらしい。服の色だと思っていたのは血の色のようだ。
(魔理沙はどこへ行ったのかしら…)
あたりを見渡してもどこにもいない。おそらくどこかでくたばったか逃げたのだろう。
まあ知ったとこでって話なのにねと自嘲してみる。
ズンズンと近づいてくる4人の敵の面を眺めても恐怖すら感じられない。痛みすらわからない。
それでも。それでも。それでも。
『これからはあなたが幻想郷を守っていくのよ、霊夢。』
そうだ。私は守らなきゃいけない。この幻想郷を。うっとおしい人間のためにも。めんどくさい妖怪の連中のためにも。あいつらはあいつらでいいやつなんだから。
霊夢が身を起こす。敵が止まる。次の瞬間、満身創痍の霊夢が叫んだ。
「全ては幻想郷のために!!」
惨劇の数十分前ー
「邪魔するぜ、霊夢」
いつものごとく魔理沙が霊夢の棲家の博麗神社に入ってきた。
「うんにゃ、茶は自分で入れてね」
「私は客人だぞー?主人たる霊夢が茶を出すのが礼儀だろ」
「だったら招かざる客ってことで出来立てホヤホヤの札で追い払ってあげましょうか?」
「それはごめん被るぜ…」
どうやら霊夢は弾幕に使う札作りで忙しいらしい。いつもならグータラ巫女なのに。
「お、珍しいじゃないか。札作りなんて」
「異変がいつ起こってもいいようにね」
「異変ー?いつもなら放任主義放任グータラをとるくせにー?それほどヤバイってことか?どんな異変なんだ?」
急に目を輝かせ始める魔理沙。
「はっきりとはわからないわ」
霊夢が縁側に寄ってきた。札作りに疲れたようだ。
「ただ、何というか、、、その巫女の勘ってやつ?異変が起こる気がするってだけよ」
「何だ、それだけかよー。まあ、霊夢の勘はよく当たるからな。賽銭の額以外は」
「一言余計よ」
そう言って霊夢は魔理沙が用意したお茶を飲み始める。魔理沙はやれやれだぜとぼやく。吐息がぼんやりとした曇り空に消えていく。
「けどさぁ。やっぱり異変はないと思うぜ。最近変わったこととかも人里とかでも聞かないしさ。気のせいってやつじゃないか?」
「そうかしらねえ…」
ーそんなことを言っていた矢先だった。
「博麗の巫女はご在宅かな?」
庭先に謎の女が現れたのは。
【博麗霊夢】主人公。種族:人間 能力:主に空を飛ぶ程度の能力 二つ名:楽園の素敵な巫女
博麗の巫女として幻想郷内で妖怪と人間の勢力のバランスを保つ役割を持っており、いわば警察官のような職業である。仲間の助けもありながら今まで様々な異変と呼ばれるトラブルを強力な自身の力で解決してきた。つまり、博麗の巫女の敗北は幻想郷の崩壊を意味する。
【霧雨魔理沙】霊夢の親友。種族:人間 能力:魔法を操る程度の能力。
好奇心旺盛な努力家。異変の際はよく霊夢についていく。ちなみに魔法は星属性のものが多いらしい。