新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。…》
にゃふはその日、校内に響いた声に一目ぼれしてしまった―
「わふ先輩!2階の放送なってないみたいです!!」
『え?またぁ…ちょっと事務の先生に伝えてくるから、にゃふちゃん放送お願い!』
「わかりました!」
入学式の時に放送していたわふ先輩の声に一目ぼれして、放送部に入部したのはいいけどまさか部員がにゃふとわふ先輩の2人とは…
しかも放送設備は古くて故障しまくってるし。でも、わふ先輩と一緒に居れるから大丈夫!
「…あ、放送しなきゃ!」
《ピンポンパンポーン♫》
《放送部から、生徒の皆さんと先生方にお知らせします。ただいま、放送設備の故障により・・・》
憧れのわふ先輩に近づくことが出来るように頑張っているけど、なかなか追い付かない…
どうすればいいんだろう?わからなくなってきた…
『にゃふちゃん。遅くなってごめんね!』
「わふ先輩、全然大丈夫ですよ!」
いろいろと思うことはあるけど、わふ先輩に悟られないようにうそをつく。
『ほんと?なにかあったんじゃないの?』
「大丈夫ですよ!わふ先輩」
…バレてた。でもさすがに相談できないしなぁ…
『そう?ならいいけど』
さすがに本人を前にして、あなたの声が好きです!それに憧れて放送部に入ったけど、その域まで達することが出来なくて… なんて言えないよね。
『ちょっと昔話をしてもいい?』
「え?いいですけど…」
どうしたんだろう?普段はこういう話をしない人なのに
『わふが放送部に入ろうと思ったのはね、入学式の時に聞いた校内放送でこういう人に聞いてもらうことがやりたいって思ったからなんだ。』
「そうなんですか?」
『うん、でもこれは二つ目の理由ね。本当は先輩の放送をしている声に惹かれたからなんだ』
「え?」
まさか、わふ先輩も憧れていた人がいたなんて…
『その先輩は、“丹下琴絵”さんっていうんだけど、聞いたことない?』
「えっと…あ!確かVコンで優勝された方ですよね」
『そうそう!去年卒業されてもういらっしゃらないんだけどね』
『琴絵先輩みたいになりたくて、がんばっていたんだけどそこまで達することが出来なくて…』
まさか、わふ先輩も同じことで悩んでいたなんて…
『思い悩んでこっそり放送室で泣いていたこともあったんだよ』
『でも、琴絵先輩に見つかっちゃって…、なんで泣いているのか聞かれて正直に答えたんだ。そしたらね』
【それで泣くことはない。声というものは一人ひとりの個性が出るものなんだ。
まろはわふちゃんの声好きじゃよ。きっとその声に助けられるときがくるじゃろう。だから、そこまで思い悩む必要はないんじゃよ】
『って言ってもらえたから、それからは気にしなくなったんだ。』
わふ先輩を突き動かしたその言葉は、にゃふにも刺さった。
『はい!おしまい。どうだった?』
「わふ先輩…ありがとうございました!!にゃふも頑張ろうと思います!」
『それならよかった!実はねにゃふちゃんから、あの時のわふと同じ雰囲気を感じたんだ。だから話してみたんだけど…大丈夫そう?』
「はい!実を言うと、にゃふも悩んでいたんですが気が楽になりました!」
『それならよかった!放送は楽しんでやらないとね!』
「ですね!にゃふも頑張ります!!」
『わふも頑張るよ!!あ、伝え忘れていたけれど、放送設備の更新が決定したって!』
「ほんとですか!?」
『うん!今度のはいろいろと便利になるらしいから、楽しみだね!』
「それは楽しみです!!」
それから思い悩むことはなくなった。琴絵先輩はここまで見越していたのだろうか。
でも実際、わふ先輩もにゃふもその一言で救われたことに変わりはない。
これからも放送がんばるぞ~!