ヒメヒナSS集   作:秋月あおば

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ヒメヒナがヒメヒナになる前のお話

Karel=Hain

 

私には大切な人がいた。いつも

『Hain!今日もあそぼ~!』

って明るく元気な声で私を読んでくれていた…誰?

「どうして…あの子の名前が思い出せないの?!?!」

「小さいころからずっといたあの子を…!」

それから私は、夢を見るようになった。決まってあの子の夢だ。そして必ず私の名前を呼ぶ。私はそれに対して答えるけれど、名前だけが聞き取れない。必ず、

「H×××、待ってよ~!」

と何かのノイズが入ったかのようになる。

「ねぇ待って!!!」

そこでいつも飛び起きる。

「…また、か…シャワー浴びてこなきゃ」

それに決まって異常な量の汗をかいている。まるで思い出したくない“なにか”を無理やり思い出させられるように。

「あの子は…誰?どうして思い出せないの…!!!」

 

 

それは突然訪れた。あの子と遊んだ記憶がある公園に行くとそこは知らない場所だった。

「ここは…どこ?確かに公園だったはず…」

そこには、二つのお墓らしきものがあった。

「こんなところに…誰のお墓だろう?」

明らかに不相応な場所にあるお墓を不思議に思い近寄ると、思いもしなかったことが書かれていた。

“Karel=Heim”  “Karel=Hain”

と。

「うそ…私、死んでいるの…?」

明らかに私の名前が彫ってある。生年を確認するも…私と同じだった…。

「死んでいたの…?それじゃここにいる“私”は…?いやだ!いやだ!!いや~!!!!!!」

そこで、Hainの意識は途切れた―

 

 

Karel=Heim 

 

『どうして…思い出せないの?』

私には大切な人がいた。何にも変えられない大切な人。でも…その人の名前が思い出せない。

「Heim!今日も一緒に歌お~!」

って元気な声で誘ってくれる声は覚えてるのに…名前だけが思い出せないんだ。

夢の中で私と一緒に話しているときの場面を見ても

『もう、H×××ったらしょうがないな~!いいよ、私も行ってあげる!』

絶対名前だけは聞き取れない。

まるで私自身が記憶に蓋をしているような感覚だけが…残っているんだ。

『行かないで!!』

名前を思い出せないあの子に向かってそう呼びかける。…返事なんて帰ってこないとわかっているけれど…

『っはぁ…はぁ…。またこの夢…か』

最近、よくこの夢を見る。なぜだか知らないが起きるとびっしょりと汗をかいて。

『…シャワー浴びてこなきゃ…』

『大切な人との想い出を…私から奪わないでよ!!!』

いるわけもない“誰か”に対してそう声を張り上げる。無駄だとはわかっていてもそうせずにはいられなかった。

 

シャワーを浴びて、ちょっと外の空気にあたりたいなと思って玄関から出ると、見たこともない光景が広がっていた。

『ここは…どこ?』

そこには二つのお墓だけがぽつんと存在していた。なぜだかそれにひきつけられるような気がして側に行くと、名前が見えた。

“Karel=Heim” “Karel=Hain”

と。

 

その瞬間、すべての記憶が無理やりインプットされていくような感覚と激しい頭痛に襲われた。

『うぅ…ぐっ…あぁぁ…!』

しばらくその頭痛が続いた後にはなぜかすっきりとした感覚だけが残っていた。

『そっか…私はもう…。それにHainのことも忘れかけちゃうなんて…親友失格だなぁ…』

なんて独り言を言いながら涙を流す。

その瞬間、すべての空間が光に包まれた―

 

 

リリアン

 

あの子たちは無事に逃げ切ることは出来たかしら。本来ならば私がずっと育てていきたかったけれど…

後のことはあの人たちに託してあるから大丈夫よね。ごめんなさい、Heim、Hain。あなたたちだけでも幸せになって―

 

 

田中ヒメ

 

夢から目が覚めた。長い長い夢を見ていたようだった。

『Heim…Hain…』

自然とその名前は馴染んでいた。もとから“そう呼ばれていた”ように。

隣に眠るヒナを見る。…夢に出てきたHainにそっくりだった。ヒメは…Heimだろう。同じような恰好だったからだ。

『ヒメの前世…なのかな…』

そう思わざるを得ないほどの鮮明な記憶。夢で見た時と同じような“痛み”がまた襲ってくる。

『起きたらヒナにも聞いてみよ…う』

そこでプツンと意識は途切れた。

 

「メ…ヒメ!ヒメ!!」

『んん…?ヒナぁ…?』

「ヒメ!よかった…」

目を覚ますとヒナが涙を必死にこらえながら揺さぶっていた。

『どうしたの?』

「ヒナが起きたら、ヒメ隣で苦しそうにうなされてるんだもん…心配したんだよ?」

『そうだったの…?』

「うん…。すっごい苦しそうだった。大丈夫…?」

『うん。もう大丈夫!ありがとう』

またあの夢を見ていたようだった。

でもどうしても気になったので、ヒナに聞いてみる。

『ねぇ、ヒナ?』

「なぁに、ヒメ?」

『ヒナはさ…前世って信じる?』

「前世…?例えばヒナになる前は別の人でしたーってあれ?」

『そう。ヒナには…あると思う…?』

「うーん、あったらおもしろいな~とは思うけど、無いんじゃないかな?」

『そっか…。それなら、Karel=Hainって知ってる?』

「…ごめん、知らない…。どうしたの?急に」

『いや、なんでもないんだよ~!気にしないで!!』

「そう…?」

『ほ、ほら、朝ごはん食べよ!!今日はホットケーキだよ~』

「やったー!!!」

 

ヒナはまだ知らないみたいだから黙っておくことにした。来るべき時が来たら話そうと決めて…。

 




今回の作品は、ヒメヒナ考察の要素を入れてみました。
Heimをヒメちゃん、Hainをヒナちゃんとしています。リリアンは”ヒバリ”からですね。
Karel=HeimとKarel=Hainは”ヒトガタ”MVのお墓に登場しています。
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