ちょっと予定より早く投稿します!
荒廃した虎屋町───。
そこでは幾つもの影が激しい戦闘を繰り広げている。
一つは黒衣を纏う男の影。
残りの五つは魔法少女の姿をした少女の影。
戦況は一対五だが、戦闘は一が五を圧倒するという事態が起こっていた。一つの影と五つの影がぶつかり合う度に、地面は砕け、建物は崩壊し、空からは砂煙が上がる。それはまるでアクション映画のような光景だった。
魔法少女達は極限まで魔力を解放し男に連携を取りながら稲妻のように素早く攻撃していた。
だがそれでも圧倒されているのは少女達だった。
男はただその身に攻撃を受け続けているだけなのに、一歩も引かないどころかダメージを受けた様子すらない。少女達が全力で戦っているというのに男は余裕すら感じさせる動きで少女達の攻撃を捌いているのだ。
そして、遂にその時が訪れる。
男の攻撃を避けきれず直撃を受けた一人の魔法少女が吹き飛ばされる。
地面に叩きつけられた衝撃で変身が解け、元の少女の姿へと戻った彼女は気を失ってしまったようだ。
このようにして各個撃破しながら男は戦っており、九人いた筈の魔法少女達を四人まで減らしている。この状況を打破するためにリーダー格である少女───結菜は考えている。
(私の魔法ではあの化物を倒せないぃ……!)
結菜は先程から何度も自分の魔法を使っているが、その全てが通用しなかった。ならば一体どうすればいいのか?答えは出ないまま時間は過ぎていく。このままでは全滅してしまうだろう。思考する結菜を見て、男は嘲笑うかのように言った。
「どうした小娘、いい加減解ってきたのではないか」
結菜は仲間の魔法少女を指示する為に男から距離を離れているのにも関わらず何かしらの方法で男の言葉は荒廃した戦場に響き渡った。それはまるでマイクを通した音声のようなものであり結菜にはそれが悪魔の囁きにも聞こえていた。男の口角が上がり、目元は隠れているが笑みを浮かべていることがよく分かる。そしてこう続ける。
「貴様らは俺との力の差が離れすぎる。傷も与えられないようでは勝負にすらならないだろう」
結菜はその言葉を聞き歯軋りをする。しかし、今の彼女達に反論できるほどの力はない。事実として目の前の男に全くダメージを与えられていないからだ。男の言う通りだと誰もが思うだろう。現に結菜自身もそう思っていたからだ。しかしだからといって諦めることなど出来るはずがない。仲間を守るために、亡き先輩から託された想いのために戦うことを誓ったのだ。
そんな思いを抱きながらも打開策を見出せないまま時間だけが過ぎていき、ついに一人が倒れてしまう。残り三人となった魔法少女達だったが、既に満身創痍の状態でありこれ以上の戦闘は不可能に近い状況となっていた。そして次の瞬間には男は浮遊し始めた。それはまるで空を飛んでいるようだった。そう、これは気を放出することで空に浮くことができる舞空術というものだ。そして空中で静止した男は静かに語り始めた。
「故に貴様らでは俺に勝てる道理があるまい。そもそも存在の格が違うのだからな。貴様ら魔法少女とは神からすればいわば虫ケラなのだ。無力な人間が作り出した紛い物に過ぎない」
そう言うと男は腕を組み見下すような視線を向けてくる。
(私達は虫けらなんかじゃ──)
「私達は虫ケラではないとでも言いたいのか?」
まるで心を読まれているかの様に言葉を投げかけられ、結菜は思わず口をつぐむ。
「俺は貴様らのことを知っているぞ。くだらん願いを叶えるために現実をねじ曲げ、尊き神が禁忌と定めた魔法を私欲にまみれた小娘がそれを欲し、キュウベえと契約をした愚か者共───それが魔法少女。しかし己の願いを叶えたが最期、短命でしか生きられずソウルジェムが砕かれるか魔女化による呪いと穢れを振り撒くおぞましい存在に成り果てるしかない運命。実に嘆かわしいことだ……」
男は結菜を見据えながら嘲るように言った。
だが、その言葉を聞いていた結菜は不思議に思っていたことがあった。
───何故、魔法少女の真実を知っている?
魔法少女について知っている人間は限られている。それは、魔法少女となった少女とその関係者のみだ。それ以外の者が知る由がない。だが、魔法少女の正体を知る者はいない。魔法少女の存在を認知している者も少ない。魔法少女の秘密を知るものは極僅かしかいないはず……。そこまで考えて、結菜はある可能性に思い至った。
───まさか、魔法少女の真実を知った上で町を破壊し私達を誘き寄せて殺しに来た?
それは有り得ない話ではない。だが、魔法少女の存在は秘匿されているはずだ。ならばどうして魔法少女の存在を知り得たのか……。考えれば考えるほど謎は深まっていくばかりだ。
しかし、一つだけ確かなことがある。それは、目の前の男を野放しにしておくことは危険だということだ。だが、男は結菜の考えを読んでいたかのように言った。その表情には嘲笑が浮かんでいた。
「俺は読心術を使い、魔法少女の連中の頭を覗いた所、俺は知ったのだ。お前達がどんな存在であるかをな」
「…………何ですってぇ?」
男の言葉を聞いて結菜は思わず声を出した。自分達のことを知られてしまった以上、迂闊に手出しすることはできない。それに、もし仮に自分のことを知られたとしても、相手もこちらの情報を持っているとは限らない。そう考えた結菜だったが、そんな彼女の思惑など気にも留めず男は淡々と話し始めた。
「魔法少女──それは、魔法を使う少女の総称であり、願いを叶えることと引き換えに魂を変質させ、最後には死に至る。つまり、貴様らは死ぬために生きているという訳だ。なんとも滑稽ではないか」
男の言葉で結菜は絶句する。そんな結菜を尻目に男は言葉を続ける。
「しかし、その事実を知ってなお俺が貴様らを見逃すとでも思っているのか?馬鹿め。貴様らがここで命を落とすことに何ら変わりはない。むしろ好都合というものよ。この世界の穢れを浄化する為には貴様らの様な存在は邪魔でしかないからな」
男は嘲笑いながら言った。結菜は男の言っていることがなんなのか分からない。しかし、今の状況で嘘をつくメリットがない為、少なくとも男は魔法少女の真実を知っているようだ。そして、男が魔法少女に対して強い憎悪を抱いていることも感じ取れた。更に続ける。
「世界は美しい。だがその美しさを魔法少女の醜さで汚す。俺は知っているぞ、貴様らの中に人間共の心を弄ぶような如く、自分のエゴを押し付けるように洗脳じみた願い事をした屑が紛れていることをな」
男は結菜のことを強く睨めつけるように言い放った。
「たしか生徒会だったかな?貴様らが通う学舎のことは知らんが、選挙制度とやらの改正が認められるよう、反発している人間共の心を強制的に書き換えるようにキュウベえに叶えさせた大罪人がいることをな。そいつの今は魔女となった恩人を殺し、あろうことかその死した恩人の幻聴が聞こえると己の事を被害者面している哀れな小娘が魔法少女共を率いていることも全て神の目には見えているぞ?
貴様らの行いは全て筒抜けだ。貴様らの願いでどれだけの人間を踏み台にしてきたは全て知っている。それこそ、数え切れないほどの人間が犠牲になっただろう。憐れむべきかな哀しむべきかな、人間が行えば罪となり神が行うと正義となることを」
───ふざけるなぁ……お前に私達のことを何が解るぅ!!
怒りのあまりに結菜の思考回路が焼き切れそうになる。だが、ギリギリのところで冷静さを保てていた。このまま感情に任せてしまえば相手の思う壺だと理解していたからだ。たしかに目の前の男の言う通りかもしれない。あの願いは本当に正しかったのかは今でも分からない。しかし、だからといってはいそうですかと受け入れるわけにはいかない。自分を信じてくれた人達の為にも、これ以上大切なものを失う訳にはいかないのだ。
「故に魔法少女はいずれ絶望し、魔女になる。そしてその先に待っているのは、グリーフシードとなりキュウベえとやらに利用される結末だけだ。ならば俺がやることは一つ、それはソウルジェムが穢れきる前に貴様らを殺すこと。それが神が決めた慈悲というもの。貴様らが怨念のような存在となる前に、今此処でその運命を断ち切り楽にしてやろうではないか!」
男が高らかに宣言すると、男の身体全体から闇色の闘気がまるでガスバーナーのように激しく燃え上がり、周囲に禍々しい気配を感じ取った。結菜は直感的に理解した。このままでは本当に全滅してしまうと。そして結菜は力強く男を睨みつけながら口を開く。
「確かに私達はお前の言う通り、いつかは死んでしまうかもしれない!だけど、だからといって私達の未来を勝手に決め付けないで欲しいわぁ!私達は絶対に負けないし、希望を捨てたりもしないぃ!!」
結菜の言葉を聞いた男は呆れたように溜息をつく。
「本当に愚かだな……まだそのような戯言を口にするか小娘。腹は据わっているようだがそれだけは褒めてやる。良いだろう、貴様らには絶望を与えてやる。その身に刻み込み、後悔しながら死んでいけ!」
次の瞬間には男は結菜の目の前に現れていた。男は手に気の剣を作り結菜の首をはねる勢いで、まるで木を横に真っ二つにするように攻撃してきた。結菜は咄嵯に身を翻して攻撃を避けるが、それでも完全に避けることは出来なかったようで頬に切り傷を負う。そして結菜が反撃に移るよりも早く男は結菜の背後に回り込み、背中に蹴りを入れる。結菜は地面へと叩きつけられてしまい、意識はあるが体力の限界が訪れその場で動けなくなってしまった。
「くそぉおお!言わせておけば好き勝手言いやがってええ!」
仲間の一人が激昂し男に向かっていく。
しかしその攻撃が届くことはなかった。
男が指を動かすと、彼女の身体は金縛りにあったように動きが止まり、更に宙に浮き、そのまま壁に叩きつけられてしまう。
「ぐあっ!!」
苦痛の声をあげ、床に崩れ落ちる少女。そして男は右手を天に挙げ何かを念じるように力を込めていた。
すると数十秒後には岩や土砂などの物質がまるで一瞬で世界が上書きされたように空中に出現し、男が指を崩れ落ちた少女に向けると空中から大雨のごとく降り注ぎ、追い討ちを行うように少女に命中させた。
「ふぅむ、なるほどこれは素晴らしい。この最強の肉体を手に入れた後、我が魂に宿る神通力の大半は失われてしまったが、念じる時間と気を多く必要なだけで、ある程度の神通力は使えるようだな。これはおそらく生死の狭間から蘇った時劇的に力を増すというサイヤ人の特性がそうさせたのだろう……つまりは神の精神と究極の肉体がある一定の状態で結びついたことで失われた神の力を再度学習できたという訳か。
フフフ……これは嬉しい誤算だぞトランクス。お前には感謝しなければならんな?お前の想いの結晶とやらで俺の息の根を止めようとしていたが、逆にプレゼントを与えてしまったようだな」
「よそ見するんじゃないわよ!!」
男は己の力を感じ取り他者から見れば意味の分からないことを嬉しそうに独り言を呟いていたが、それを見ていた魔法少女は攻撃を仕掛ける。だが、やはり全て無効化されてしまう。武器が男に触れようとするだけでも念力で弾かれてしまい、魔法は触れる前に掻き消されるのだ。それはまるで、この自然の法則そのものが男の味方をしているかのようだった。
「もう終わりなのか?つまらんぞ小娘共よ」
「うるさい!貴方なんて私達の力で倒せるわ!!」
少女は必死の形相で攻撃を繰り出すが、男には全くダメージを与えられていない。
だがそれでも少女達は諦めずに戦い続けていたが、男に慈悲はなかった。最後の魔法少女も結菜と同様に蹴飛ばされ気絶してしまう。
こうして、たった一人で男が相手にしていた魔法少女達は全滅してしまった。
「これで終わりか……随分と呆気ないものだな」
男は倒れている結菜の元にゆっくりと歩み寄る。
「うっ……」
結菜はなんとか立ち上がろうとするが、体に力が入らない。
「どうやら限界が来たようだな。ククク……加減をしているとはいえ、ここまで耐えるとはなかなかやるではないか。貴様は確か結菜だったな?俺が創設する理想郷の実現に激怒していたな。どうせこの星を平らにする予定だ。褒美に教えてやろう」
男はそこで一拍置き、宣言するように言った。
「俺の目的は人間ゼロ計画の完遂だ」
「人間……ゼロ、計画です……て?」
結菜は驚きを隠せない様子で言う。
「そうだ、宇宙中の人間───すなわち知的生命体を皆殺しにし、新たな世界の秩序を創造する」
「……なっ!?」
男は何の躊躇いもなく答える。
宇宙中の人間を全て皆殺しにする。それが男が言っていた理想郷───人間ゼロ計画の全てであった。
──こいつ……狂ってる。
常軌を逸したその男の野望に結菜は心の底から恐怖を感じていた。だが、それと同時に怒りが湧き上がってくるのを感じた。
──こんな奴のせいで、私達は……!!
結菜は拳を強く握りしめ、歯を食い縛る。だが、体はボロボロなので睨み付けるのが精一杯の状態だ。
そんな結菜を見た男はニヤリと笑いながら口を開き淡々と語る。
「そしてその世界で新たな神になる。魔法少女などという偽りの存在ではなく、キュウベえという害獣のようなおこがましい存在でもなく、本物の神にだ。そのためには邪魔なものを全て排除する必要がある。それがお前達人間というわけだ」
「な、なんでそんなことをぉ……!」
結菜は力を振り絞るように声を出す。
「先程も言っていたが世界は美しい。しかし醜いものが存在する限りその美しさを汚すことになる。お前達人間は私利私欲のために同族同士で殺し合いを行い、弱者から貪り摂取し、己の醜さを愚かさを、常に開示している。魔法少女のグリーフシードを巡る奪い合いが良い例だ。故に俺は人間共が築き上げた文明全てを無に帰し、世界を浄化させるのだ。そのためにまずはこの星の人間を一人残らず殺す必要がある。貴様らはその礎となる訳だ。光栄に思うといい」
「ふざけるんじゃねぇ!」
男の言葉を聞いて怒りを露にした魔法少女の一人がが叫ぶように言う。どうやら気絶していたが目覚めたようだ。少女は立ち上がろうとするが身体中を走る激痛によって再び倒れてしまう。
「何が神なんだよ!あんたみたいなのが神様のはずがない!あんたは悪魔だ!それに、人間がみんな悪い奴だとでもいうのか!?」
そんな彼女を見て男は笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「少なくとも俺はそう思っている。そしてお前達はその最たる例だということだ。お前達は魔法少女などとほざいているが、所詮は人間の皮を被った出来損ないに過ぎない」
「違う!!私達は……」
結菜は反論しようとしたが、言葉が出なかった。そして男は再び結菜に視線を戻した。
「何も違わない。現にお前達は、魔女になった先輩とやら殺しているではないか。魔女になれば、その魂はキュウベえとやらの糧となるだけだからな。ならば、そうなる前に苦しみなく死を与えた方がいいだろう?それにお前達はいずれ絶望し魔女化するのだから、今ここで殺しても問題はなかろう」
狂気じみた声がこの場に響かせる。男の言っていることは恐ろしく禍々しい理論だが、それを否定できる者は誰もいなかった。結菜も気絶から目覚めた仲間の魔法少女もその言葉が真実であるかのように感じていたのだ。本気で人間ゼロ計画を実現しようと動く男には、どんな理屈も通用しないと思ったからだ。
そして男は、自分の考えを邪魔する存在を許さない。それは、この世総ての人間は抹殺されるべきだと思っているからだ。例え、神々でも悪魔達でもこの男に異論を唱えられないだろう。もし仮に唱えたら命は即座に消え失せるところまでは頭に浮かんでしまった。それほどまでにこの男はどこまでも歪んでいた。それはまるでブラックホールのように光さえも吸い込んでしまうようにどこまでも深く暗く闇に染まっている思想だった。
「さて、お喋りはここまでだ」
男が呟くと同時に結菜から数十メートル距離をとる。そこから跳躍し更に数十メートル上空の高さに来ると、全身から闘気を放出して空中で止まった。
そして最後の止めを刺すために、腕を天に掲げ手からには今までとは比べ物にならないほどの膨大なエネルギーの塊である黒い光弾を形成し収束していく。
恐らくは広範囲に及ぶ大技を発動しようとしていることは明白だった。この一撃を受けてしまえばこの場に倒れている魔法少女達が跡形もなく吹き飛ぶのだろう。
「最後に何か言い残すことはないか?遺言ぐらいなら聞いてやってもいいぞ」
そう言って男は冷徹な視線を向けるが、結菜は臆することなく男を見つめ返したが、その瞳の奥には確かな怒りが宿っていた。
そしてついに光弾が完成する。それはまるで夜空に浮かぶ月のように美しかった。
「……お前の野望は必ず止めてみせるわぁ……必ず私達が打ち砕いて見せる!!」
結菜は精一杯の抵抗として叫ぶが、その声に力は感じられなかった。
「ふむ……まあ、いいだろう。貴様の最期の言葉、しかと受け止めた。では死ね」
男は容赦なくその光弾を放ち辺り一帯を吹き飛ばそうとした。
その時だった。
突如として背後から瓦礫すらを大きく巻き上げる突風が吹き始めた。蒼天のはずの世界にも関わらず、暗雲が頭上を塞ぎ、やがて雷鳴が轟き始める。更には後ろからには禍々しい存在が顕現し始めていた。その現象はまるで世界を闇色に染め上げていくようであり、スーパーセルの前兆のようなものでもあった。
すると男の光弾は突如として吹き荒れる風により軌道を変え、あらぬ方向に飛んでいったのだ。それはまるで世界の意思が少女達の止めを邪魔するような光景だった。そしてその先にある建物に直撃し凄まじい衝撃音と共に建物は一瞬にして崩れ去り、粉塵の中から巨大なクレーターが現れる。
それを見た結菜達はもちろんのこと、男までも驚愕していた。
男は背後に振り返り吹き荒れる風の発生源の方に目を向けると、そこには巨大ななにか───いや、あらゆる怨念や憎悪をかき混ぜて作り出したようなおぞましい巨大な魔女と呼ぶにふさわしい存在が遠く離れている場所に浮遊していた。白縁の取りの青いドレスを纏ったような女性の姿した巨大な魔女。頭部は上半分が切り取られたように存在せず、そこから2本の角か帽子のようなモノが生え、そこに半透明のヴェールを着けている。スカートの下には足の代わりに巨大な歯車が蠢いている他、中心に虹色の魔法陣がゆっくりと回り続けているようだ。
しかも良く見てみると段々と此方へと接近してくるのが分かる。
「なに……っ?!」
流石の男も眉を細め警戒心を一気に上げる。全長は五百メートルはあるだろうか、そこらのビルや建物よりもはるかに巨大な体躯をしており、荒廃した虎屋町を見下ろしながら、天地に対して逆の状態で浮遊している。それはまるで空中に浮いている島のようにも見えたが、その巨体が放つ存在感は間違いなく、この世界に存在しているものだということを実感させた。
『嘘でしょ……なんでここに……』
黒衣の男に宿る思念体――瀬奈みことは驚きのあまりに思わず声を出した。この男以外には声は届かないようだが今はそんなことはどうでも良かった。
『ウフフ──フフ。アァハハハハ!!』
そして漆黒の風が肌に触れ、灰色と化した暗雲の空は渦巻き、果てには甲高い笑い声が辺りに響かせる。まるで世界の終わりを告げるかのようだった。
『ここに……ワルプルギスの夜が、いるの!?』
永劫のごとく回転し続ける愚者の象徴──魔法少女の歴史において語り継がれる伝説の厄災。
舞台装置の魔女がそこに君臨していたのだ。
宇宙の意思「突如異世界から現れるわ、人間を見や否やすぐに皆殺しにするわ、こいつどっからどう見てもやべえから何とかせんと」
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一番罪が深い市はどこだと思う?
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神浜市
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見滝原市
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