ゲッター転生   作:青川トーン

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ゲッター転生

 あらゆるものには意志がある、全ての命には生まれた意味がある、この世界には存在する意義がある。

 

 輪廻転生、本来消える筈であろう記憶を持ったまま俺は生まれ変わった。周囲は俺を神童と持て囃したが大人であった俺がいまさら子供の輪の中に入るというのは難しく、また両親にも後ろめたさがあり俺はいつも一人でいる事を好んだ。

 この世界はどうやら俺の生きていた時代より昔でありながら、科学の発展はそれ以上だった。なにせ巨大ロボットが存在するのだ、初めてその存在を知った時は大いに驚き憧れ……同時に一つの恐れを抱いた。

 

 前世の娯楽において、ロボットと戦いは切っては離す事の出来ない存在だった。

 鉄人28号に始まり、マジンガーZ、ガンダム、勇者シリーズ……俺はこの世界をより知らなければならないと決心した。

 だが一つ大きな問題があった、この世界はインターネットが思ったより普及していない。スマホもなければノートPCすら滅多に見ない、昔ながらのデスクトップPCばかりでそれも結構な値段がする。子供が欲しいとねだって買ってもらえるものではない。だが子供としての生活の中で思い出す。

 

 図書館だ、アナログ的な手段だがそれが正解だった。時間制限付きだがインターネットへ繋がっているパソコンもあった。俺は前世の記憶の中から浮かんだワードを次々と検索してはハズレを繰り返しついにソレと巡り合う。

 

 『恐竜帝国』そして『早乙女研究所』

 

 それはこの世界が『ゲッターロボ』の世界である事の証だった。

 同時に俺にとっては大きな絶望でもあった、世界規模での過酷な未来を知ってしまったのだ。

 

 どこにも逃げ場などない、強くならなければ死ぬ。それだけならまだしも「ゲッター線」という大きな力の意思まで関わってくる。

 

 原作知識を持った俺は、果たしてゲッターが求めた上でここにいるのか?それともゲッターの意思に関わらずここにいるのか?はたまた因果なんかを崩す為に誰かが呼び寄せたのか?

 

 眠れない夜が続き、体調を崩して両親を心配させながらも俺は情報捜索を続ける。早乙女研究所はある事故で15年前に閉鎖されているという、それはおそらくゲッタードラゴンと、未来から来たアンドロメダ流国の件であろう。

 俺の記憶が正しければ、そう次に始まるのはプロフェッサー・ランドウによる世界征服計画、そしてアラスカ・シベリア戦線……真ゲッターロボの覚醒と火星への飛翔。

 

 幸いながら、まだ物語は始まってない。ならば関わるか否かに問わず知る事だけは出来る筈だと俺はある新興宗教団体に目を付ける。それは「グリーンアース教」いかにもなアレな感じのカルト団体っぽいが教祖である「メシア・タイール」とその弟である「山岸獏」だけは本物だ。

 

 特にタイールの方は突然出てきて真ゲッターに乗って隼人を置き去りにしたすごいやつだ、こいつに聞けばきっとなんとかなると俺は信じて、グリーンアース教にコンタクトを取った。

 しかし俺は当時まだ12歳、小学6年生だ。加えて教祖以外はカルトにはまってる様な金目当ての大人ばっかりとてもまともに取り合って貰えはしないだろう。

 

『ゲッター線、早乙女研究所』タイールにこの2つのワードを伝えてくれ、そしてもしも俺がそこに関係あるのならば待ち合わせ場所に来てくれと手紙によるメッセージを送った。

 

 俺が選んだのは浅間山に最も近い駅、東京からではやや金と時間をかけることとなったがその場所が相応しいと直感的に思ったからだ。

 

 

 約束の日、俺はさも普通の子供のフリをしながら奴を待つ。こっちは一方的に相手の姿を知っている、タイールはチビで坊主という超特徴的な姿だ。もし伝わってなければ伝わってないならで、俺はゲッターには選ばれてないとだけは分かる。まあその時はその時に考えればいい。

 

 

 

 

 

「まさかこの人生の中で思わぬ寄り道をすることになるとは思いませんでした」

 

 躊躇う事もなく、そいつは俺に話しかけて来た。付き添いの大人が二人程いるも、どうにも本質の見えてなさそうな顔をしている。だが目の前のこいつだけはマジの存在、俺は正直に言ってその圧というか説得力の違いを味わう事になった。

 

「俺の名は…来栖丈とでも名乗っておこう、来てくれて感謝する。メシア・タイール」

「こちらこそ、まさか私の知りえない来客には驚かされました」

 

 タイールは来た、だが俺の事を知りはしなかった。つまり俺はゲッターの申し子の一人でもあるタイールにも知らされてないイレギュラーだという事が分かった。わかったからどうなるという訳でもないが……。

 

「俺も多少の未来を知っている、というより俺が居ない世界を知っている。前世という奴で漫画として見ていた……だがいざこの世界に生まれてきてみればどうしていいかわからない。いやまあ普通ならどうすればいいかなんてわかっている人間なんて殆どいないんだろうが……」

「大丈夫です、どんな選択をしようとそれが正解です。運命に抗うのもまた運命な様に」

 

 それは竜馬の言葉だったか、プラズマボムスを使ったプロトタイプゲッターを作ろうとした隼人にかけた言葉だ。その選択で未来が変わるかどうかはわからない、どこで俺自身が死ぬかもわからなければ、家族の安全も、世界の行く先もわからない。

 

 だが考えてみれば前世もそうだ、どんな偉い人間でもふとした事で死ぬし、いつ災害や事故にあうかもわからない。どれだけ身構えても来る時は来るのだ。

 

「ありがとう、助かるよ。俺は俺なりにこの世界に……ゲッターに向き合ってみようと思う」

 

 

 心の中にあった枷が外れた気分だった、きっとこれからタイールは火星への旅立ちを迎えるだろうし、そこに至るまでに様々な事が起こる。俺は俺でゲッターパイロットの意味で死を意味する「ハジ」をかかない為に、やれることをやろう。

 

 その日のうちに俺は「NISER」にタイールとの面会を取り付けたように、神隼人へメッセージを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てっきりハチュウ人類か百鬼の生き残りかと思ったが、まさかお前の様な子供とは驚いた」

 目の前の男はまさに歴戦の勇者、戦士だ。俺がこれまで会ってきた人間とは全く違う気迫、そして既に傷を負いながらも決して衰えない闘志が目に見える。

 

「俺は研究所地下に眠るドラゴンや真ゲッター、そしてあなたが未来で見た巨大なソレの事もほんの少しだけ知っています。この世界に生まれた時から知っていました。そしてこれから、大きな戦いが始まる事も」

「名を名乗れ」

 

 今はまだ戦えない、大した事だって出来ない。だが知っているからこそ、怯え惑う人々で居続ける事はできない。

 

「俺は来栖丈、これから地獄を見る男です」

 

 死ぬなら死ぬでそこまで、生きてるのならばやれるだけやってみる。そうすればよりにもよってこの世界に俺が現れたのか、それが知れるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 結果だけ言えばこの時代においての過程や結末を変える事は出来なかった。俺は號達や竜馬、タイールが旅立つのを見送っただけだった。ついぞ本物の真ゲッターと顔を合わせる事もなかったが、巨大な力に正気を保ってられたか怪しいが為にそれでよかったのかもしれない。

 

 俺の本当の戦いはこの先にある、再建される早乙女研究所の格納庫で早乙女博士の最後の遺産「アーク」を見上げる。そしてその隣には青いゲッターが佇む。サルベージされた試作ゲッターの一機、俺の乗機となる予定の奴だ。

 皮肉な事にこいつに乗るのは俺一人、というのも他にこいつの仕様についてこれるパイロットがいなかったのと……俺がゲッターチェンジに適応できない事だ。こういうところでも俺は異端な存在なのだろう。

 

「さあ、行くぞ。ゲッターロボ」

 

 俺の、俺達の戦いはこれから始まる。

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