「敷島博士、例の件でお話があります」
「おお!来栖!よく来た!お前の提案通りに出来ているぞ!」
「その件で!!お話があります!確かにウチはよく襲撃されるからあらゆる場所に武器を隠しておきましょうと提案したのは俺です!ですが!通路にミサイルはさすがにびっくりしますよ!やるのはいいけど一言相談してくださいよ!」
新早乙女研究所の職員であり、ゲッターパイロットとなった俺は他のパイロットや候補達とあんまり馴染めずに居た。というのも連中は自衛隊からの引き抜きだったり軍人上がりばっかり、前世がヒョロかった俺も舐められない様に鍛えていたが……どうにもガタイがよくならないし、隼人こと神司令に色々と近い事から引かれている面もあった。
そして何より俺専用のゲッター『ゲッターボンバー』を一人で乗りこなすのを見てマトモな人間じゃないと距離を置かれているようなのだ。
ボンバーは他のゲッター同様に3機のゲットマシンが合体するが、その特異性からパイロット候補が一人たりとも見つからなかった曰く付きの機体だ。
まずゲッター1に相当する「グリフォン」、こいつはゲットマシンを3機縦水平に並んで合体する。この時点でちょっとおかしい。何を考えてこんな設計したのか3機の機首の向きを揃える必要があるのもだが何よりこいつ、バカみたいに早い。ゲットマシンの時点で相当ヤバい、単独で高速爆撃機として使えるシロモノだ。
次に2相当の「ユニコーン」こいつは比較的マシな合体ポジションだ、ゲッター3を上下逆にした突き上げ式のフォーメーションだが、こいつもとんでもない暴れ馬だ、何がヤバいかっていうと反応性が高すぎてちょっとしたアクションでとんでもない動きになってしまう。聞くところによるとかつて隼人が乗った際には演習相手だった竜馬に「ドジるなんてお前らしくない」とまで言わしめた問題児だ。
そして一番ヤバい奴が最後の「リバイアサン」、こいつは3相当なんだが直上する3号マシンに両サイドから2機のゲットマシンで正面サンドする。早乙女博士は何を考えてこいつを作ったんだ??と思えばなんと敷島博士の立案だったらしい、非常に味わい深い合体だ!というが俺にはこいつが処刑装置にしか見えなかった。
そんなこの世の終わりみたいな機体に俺が乗る事になった経緯だが、純粋に脳波インターフェイスの相性が最高値だったのだ。残りの2機のゲットマシンを遠隔で動かせるレベルで、嬉しいようでうれしくない能力だった。当然、そんなことをすれば俺も無事ではすまない、というかテストで全身ボロボロになった。結果として基本は格納庫内で合体してから出撃して、一形態だけで戦う。オープンゲット・ゲッターチェンジは最後の切り札という形に落ちついた。その時、隼人にちょっとがっかりされたのはショックだった。
で、結局の所この基地での俺の立場なんだが、敷島博士の助手みたいなポジションであり、隼人の相談相手、そして……カムイの面倒を見る係である。
「丈、ここにいたのか。探したぞ」
「悪いなカムイ、今ちょっと敷島博士にちょっと報連相の大切さを再認識してもらってた所だ。お前も何かあったらちゃんとやる前、やった後に理由の説明なんかをしっかりするんだぞ」
「それを言うならお前もだろう、お前が突然「ドラゴン」と会話をしようなどと言い出した時は正気を疑ったぞ」
「それはいいだろう、何事もまず言葉を交わさんと余計な争いになりかねないからな。で何の用だ」
「どうやらムシどもに動きがあったらしい、お前も敷島博士と共に来いとの事だ」
あーそろそろそんな時期か、と俺は頭に浮かべる時期というのは申し子達が揃う時期、つまりゲッターロボ・アークの始まりである。
「ムシね~……マジで言葉を尽くして互いに譲歩できないから奴らはマジで嫌いなんだよな~」
「……いつもながらお前が何を言っているのかわからない、奴らと会話した事があるのか?」
「いやないよ、コッチの話だよ」
この研究所での俺の扱いはいわば不思議くん、謎めいたアドバイスをする胡散臭いヤツで、それでいてイカレたマシンに乗るバケモノ。
おかげで共感しやすい分、カムイとパイロットどもの距離が少し改善された。とはいえそれがどういう未来に繋がるのかはまったく予想できない。できればこの行為に少しでも意味があればいいなと思いながら俺達はカムイについていく。
「来たか、来栖。お前が言う「その時」というのは今日か」
「ええ、多分ですけどね。戦いの始まりです、俺も正直結末がどうなるかまではわかりませんよ、タイールと違って」
「俺にはお前と奴の違いがわからないがな、何もかも知った風な口を利いている点でな」
「勘弁してください、奴ぐらい全部わかってたなら態々、十数年もかけて鍛え上げてバカみたいな合体するゲッターと敷島博士に頭を悩ませてませんよ」
暗雲の中、雷光に映る影、アンドロメダ流国の尖兵の1体の姿がモニターに映る。
加えて戦況は最悪だ、未来から来る敵ども相手にD2部隊はまるで歯が立たない、次々と落とされていく。人はこうも簡単に死ぬ、俺だってああなる可能性がある。
そして最後のゲッターD2が埋立地、夢の島に墜落する。
「カムイ、お前はアークの方に行ってろ」
「なんでお前が命令する」
「まあ今に見てろ」
墜落して生体反応の消えたD2が何者かにハッキングされ動き出す、そしてモニターに映るのは安全第一の工事帽をかぶった男が一人。メシを食いながらとは大胆だな「流拓馬」
「来栖……!お前は知っていたのか……!奴が……竜馬の息子がいることを!」
「ええ、まあ知ってましたよ。でも教えたら多分意味がないと思った。だから言わなかった」
「貴様のそういうところが本当に気に食わん、奴をここで死なすわけにはいかん。アークを出撃させろ」
さて、始まっちまった以上どうなるか……俺は自分以上にゲッターをうまく使いこなす拓馬を見て、あれぐらいの戦闘センスが欲しいなと無いものねだりをしていた。