小学生では卓球で全国、中学時代は野球部エースで4番な男。山内春樹   作:最強系

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第二話 運命の人

 

「トビウオだ……!」

 

目の前の光景をまさしく表現できる言葉を誰かが口に出した。

 

力強いバタフライ。

 

その動きのダイナミックさから、まるで水面から身体が飛び上がっているような錯覚を起こす。

 

機敏なトビウオであった。

 

1ーDの生徒、須藤健は山内春樹を見くびっていた。会話すると面白い奴だが冴えない男、運動において自分より格下であると。しかし、山内春樹の泳ぐ姿を目にし、自身の目測が誤っていたことに気づいた。

 

驚異的なスタートからどんどん加速していく。

 

その場にいる誰もが彼の姿に魅了されていた。

 

やがて50mを泳ぎきり、皆が現実に引き戻される。

 

心を奪われてしまい、体育教師はストップウォッチを止めることを忘れていた。

 

(な、今の泳ぎは……!正確には分からないが、23秒を切っていたのではないか?)

 

「なあ、山内。俺と一緒に世界を目指さないか!」

 

「いやー先生ムリっすよ。俺高校では彼女作るって決めてるんで」

 

山内春樹は教師からの勧誘をすげなく断った。もしも、体育教師が女で胸が大きくて美人であったなら、違った結果になったかもしれない。また、彼にもう少し強かさがあれば、勧誘を受諾する可能性もあった。

 

思わずといった様子で駆け出した櫛田桔梗は彼に話しかける。

 

「すごいね、山内君!わたしビックリしちゃった!水泳が得意なんだね」

 

「へ、櫛田ちゃんっ!?あ、ありがとう!」

 

他の女子生徒、特に水泳部に所属している小野寺かや乃は彼に興味を持った。しかし、櫛田桔梗と話すーーというよりむしろ胸と会話する姿を見て、足を止めた。

 

運動ができるだけで異性にモテるのは小学生までである。

 

_____

 

その後、山内春樹は右足の痛みを理由に決勝には出なかった。

 

現在リハビリ中であり、身体に無理をさせたくなかったからだ。加えて、彼は10万ポイントもの大金を来月も貰えるであろうと、愚かにも考えていた。わざわざ5000ポイントを狙う必要はない。

 

4月も終わりに近づきつつある日の放課後。

 

本日も山内春樹と池寛治は大声で馬鹿話をしていた。1ーDの生徒間では、この2人と須藤健を合わせて3バカトリオと呼ばれている。

 

部活動で来れない須藤健の代わりに、2人は根暗イケメンと噂の綾小路清隆と共に行動していた。最近、一部では4バカとも言われ始めているようである。

 

池寛治は放課後にみんなで遊ぼうと、櫛田桔梗を呼び出していた。

 

「池、櫛田ちゃんは用事があって、ちょっと遅れるんだっけ」

 

「確か別のクラスの友達に話があるって言ってたな。しっかし、櫛田ちゃんは人気者だよなー」

 

「あれだけ人気者だと、他の男と付き合ったことがあったりするのかな……」

 

「櫛田ちゃんに限ってそんなことありえねーよ!」

 

バカ達が会話を続けていると、話題の中心人物が1ーDの生徒数人と共にやってきた。

 

「私がどうかしたのー?」

 

櫛田桔梗の急な接近に転びそうになる池寛治。しかし、童貞達の敵であるクラス1のイケメン平田洋介を見つけると食ってかかった。

 

「く、櫛田ちゃん、なんでもないよ!って何で平田がここに!?」

 

池寛治が想定したより多数の人間がいる。櫛田桔梗に加えて平田洋介と軽井沢恵、更に軽井沢グループの松下千秋と森寧々だ。

 

平田洋介は指摘を受け、傍らにいる女子生徒、軽井沢恵と目を見合わせた。

 

「途中で一緒になったんだ。僕たちは邪魔だったかな」

 

「ていうか、何で私達が4バカに気を使わなきゃいけないわけ?」

 

「う……」

 

彼らに注意されてしまうと、表立って追い出すことはできない。ギャルに凄まれ、しどろもどろに返事をする。

 

「あ、あははは、ごめんごめん。一緒に遊ぼうぜ!なあ山内っ?」

 

「お、おう。人が多い方が賑やかで楽しいからなっ!池っ?」

 

予定の変更を余儀なくされた、池寛治、山内春樹、綾小路清隆は急遽作戦会議を始める。

 

「だけど考え方によってはチャンスだな。男女比一対一だ。綾小路お前もワンチャンあるぜ?」

 

「なるほど、そういうものか……確か池は櫛田を狙ってるんだったよな」

 

「そうだよ綾小路、話が分かるじゃん!山内は余った松下でいいんじゃね」

 

「おま、ふざけんなよ。櫛田ちゃんは俺が前から狙ってんだからな!昔大きな桜の木の下で結婚しようねって誓いあった幼馴染に似てるんだよ!運命の再会なんだよ!」

 

「嘘つけ!いっつも思ってたけど、お前デタラメな嘘ばっかり言うなよ!」

 

「は?()()()()()()()しか言ってねえっての!」

 

「うるせーなー、綾小路も俺と櫛田ちゃんがお似合いだって言ってただろ!?」

 

「いや、そこまでは言ってないが」

 

熱量を増す会議。次第に声量が大きくなり、周りに筒抜けになっていく。

 

聞きたくもない会話を聞いてしまった、櫛田桔梗は自身の胸中にある疑念を抱いていた。

 

(た、確かに、面影もある。ちょっとエロガキだった気がしなくもない……)

「え……う、嘘でしょ……」

 

彼女は全身に鳥肌をたて、顔面を蒼白にしていた。

 





急な捏造展開来たよ……と思った皆様ご安心ください。ちゃんと山内の今回の発言自体は原作にあります。

気になった方は原作1巻を読みましょう(巧妙なステマ)



あたたかいご感想ありがとうございます、全部目を通させていただいております。

ですが、申し訳ございません。多分感想に返信するのは完全にモチベーションが無くなった時だと思います。

読んでいただきありがとうございました。
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