01『依頼』
「レックス!!大丈夫じゃったか!?」
じっちゃんの声が雲海だけの景色に響き渡る。
じっちゃんの視線の先には紫色のプレート。その中央からレックスが這い出てくる。
「ああ!大丈夫だよじっちゃん!」
レックスは自分の体をプレートから引き挙げつつ答える。
しかしそのままじっちゃんの方へ向かわず、プレートから黒い何かを引っ張り上げる。
「心配したぞ!あと少し遅かったらこれを破壊してるところじゃったわい。…なにをしておる?」
「うん、とりあえずこっちにきてくれない?この人を寝かせたいん…だっ!っと」
踏ん張ったレックスが黒い何かを完全に引き上げる。
それは全身を黒い服で包み込んだ黒い男。レックスがプレートの中で出会った男。
レックスに『メツ』と名乗った男。
「こ…こやつは…っ!」
じっちゃんはその男の姿を見て目を丸くした。
しかし、その表情はメツを背負おうと四苦八苦していたレックスは気づかない。
「この中で倒れてたんだ。さっきはなんか喋ってたんだけど、すぐまた気を失っちゃって…じっちゃん?」
ようやくその男を背負ったレックスがじっちゃんの方へと歩き出すが、じっちゃんの顔を見て首をかしげる。
その表情をどこかで見た気がして、レックスは少しだけ考え込んで、すぐに思い出す。ここに来る前、『イーラ』という単語を呟いた時と同じ表情だ。
「そ奴が…ここに?」
「そうだけど。どうしたの?何か心当たりとか?」
「う、うむ…」
レックスの背に背負われた男、その顔にじっちゃんは覚えがあった。
間違えるはずもない男。だが、ここにあるはずの無い顔。500年も昔、イーラにて討伐されたはずのブレイド。
じっちゃんの顔がより困惑に歪む。
「…すまんな。今は何も言えん。こやつが起きんことにはな」
「そっか。とりあえずまずはこの人を誰かに診せないと。とりあえず…アヴァリティアだ。じっちゃん急げる?」
「…分かった。このプレートは置いてゆくぞ?」
「うん。こっちが優先だ」
サルベージしたプレートを放置し、レックスとメツを乗せたじっちゃんは、巨神獣アヴァリティアに向け進路を取った。
「よぉ!レックスじゃないか!景気はどうだい?」
アヴァリティアにつくや否や、港で待ち構えていた顔なじみの青年が声をかけてくる。
アヴァリティアは宙に浮かぶフグ型巨神獣につるされた船を中心とした船団都市だ。
多数の国家や団体の貿易の中継点となっており、レックス達以外にも多数の巨神獣船が港に停泊していた。
その一角にじっちゃんが腰を下ろし、レックスは急ぎじっちゃんの背から飛び降りる。
「まあ景気が良くなきゃアヴァリティアに来たりしないだろうが…」
「ハイラムさん!ここで一番腕のいい医者ってどこ!?」
レックスはハイラムのいつもの軽口を遮るように、勢いよくまくしたてる。
ハイラムはその様子に言葉を詰まらせるが、レックスのその様子を見てすぐに状況を理解する。
「医者…ならミルミルさんのところだな」
「その人今どこに!?」
「診療所なら3階の…」
「ありがとう!」
「あ、おい待て!」
駆けだそうとするレックスの肩を掴むハイラム。
進行方向に対して上半身だけ置いていかれたレックスは、そのまま派手に地面に背をぶつける。
「っ!な、なんだよ!?」
「その様子だとお前が病気ってわけじゃなさそうだな。どうした」
「あ、えっと。あの人!なんでかわからないけど、意識がないんだ」
レックスがじっちゃんの背を指さす。
ハイラムはひょいっとじっちゃんの背を登り、メツの姿を確認する。
メツの身長はかなり大柄だった。平均より少し高いだろうハイラムより更にでかい。レックスと並んだら頭数個分の差があるだろう。
「でかいな…おい、じーさん!背をかがめてくれ!あとレックスは人呼んで来い!」
「わかった!ハイラムさんありがとう!」
「いいから早く行ってこい!」
ハイラムがメツを降ろすのを見て、レックスはアヴァリティアの船内へ走る。
そうして数人を呼んできたレックスは、一緒に持ってきた担架でメツを診療所へと運ぶ。
診療所のミルミルはノポンという、ヒトとは違う知的生命体の医者だった。ヒトの足程の高さの丸い体に、翼と小さな手。その球体のようなフォルムをモフモフの毛が覆っている。
「これは…ももも…」
暫くメツを診て、ミルミルは険しい顔を浮かべた。
「どう?」
レックスがのぞき込むようにミルミルに尋ねると、ミルミルは「どうもこうもないも!」と翼をぶんぶんと振り回す。
「ブレイドは専門外だも!」
「…ブレイド?」
「そうだも?ここにコアクリスタルもあるも」
そう言ってミルミルはメツの胸元にあった装飾を外す。そこには、先ほどレックスがサルベージしたプレートと似た形、同じ色をした結晶が姿を現した。それは確かにミルミルの言う通り、亜種生命体『ブレイド』であることを示す証だった。
亜種生命体ブレイド。それはこの世界に存在するヒトともノポンとも異なる別種の命。コアクリスタルと呼ばれる物質に、資格あるヒトが手を触れるた時、そのコアから発生する存在。
ブレイドを生み出すその行為を『同調』と呼び、ブレイドを生み出したヒトはブレイドの『ドライバー』となる。
ブレイドはその胸元にあるコアクリスタルが損傷するか、ドライバーが死なない限り不老不死。ヒトに極めて近く、限りなく遠い存在。
その姿はヒトに近しい姿をしていることが多く、一部はほとんど人と区別がつかない…が、胸元のコアクリスタルの有無で識別ができる。
「ホントだ…」
「気付かなかったも?というかお前さんのブレイドじゃないのかも?」
「サルベージで引き揚げたんだ。…でもこれ…」
「そうだも。"欠けてるも"」
メツのコアクリスタルは大きく損傷していた。
コアクリスタルがあっただろう縁取りは、レックスが引き上げたプレートと同じ形をしているのだが、収まっている結晶はその半分にも満たない。
上半分が欠け、残った下半分は各部にヒビが入っている。
「こんな状態のブレイド見たことないも!」
わかんないも~!とミルミルが手にした聴診器をぶん投げる。
医者としてどうなんだ…と、レックスは苦笑いするが、ミルミルの反応も無理はないものだった。
ブレイドの不老不死性。先の通りそれは限定的なもので、コアクリスタルが大きく損傷した場合、その肉体を保てず、ブレイドはコアクリスタルに戻る。
ドライバーではないレックスもその事は知識として知っていた。実際コアクリスタルが破損したブレイドなどこれまで見たこともなかった。
「つまり、これが原因かもってこと?」
「その可能性が高いとは思うも。カクショーは持てないけども。とりあえず人間への治療をいくつか試して、アンセーにさせておくも。ミルミルはユーシューだから専門外でもなんとかできるんだも!ほめていいも!」
「ありがとうミルミルさん!」
「えっへんも!」
メツをミルミルに任せ、レックスは診療所を後にした。
挙動こそよく見るノポンのソレだったが、ミルミルが優秀な医者だということはレックスも話に聞いていた。だから任せることに不安はなかった。
というよりも、それ以上にレックスには宛てがなかった。なにせブレイド専門の医師など聞いたことがない…どころか、そもそもいるはずがないのだ。ブレイドはこの世界に満ちる根源元素、エーテルの扱いに長けている。その力で傷や不調などはたちどころに回復してしまうはずなのだ。
メツのことを考えながら、レックスはアヴァリティアの一階まで降りてくる。
先ほどの騒動で払い損ねてしまった係留代を払おうとハイラムの姿を探すが、入れ違いにでもなったのか姿が見当たらない。港の方に出たのかもしれない。
「なら先に換金と送金を済ませておこうかな」
「レックス!」
お金関連の手続きを済ませようと、交換所へと向かおうとしたところで、先ほど降りてきた階段の上から声をかけられる。
振り返ってみると、ミルミルとは別のノポンが数人を引き連れて降りてくるところだった。
「プニンさん!久しぶり~」
プニンはレックスの返事を聞くと、少し足を速めて階段を降りてくる。
プニンはこのアヴァリティアの経営を担っているスタッフの一人で、偶にレックスにもサルベージの仕事を割り振ってきてくれるお得意様だった。
「相変わらずイキがいい…じゃなかった。威勢がいいも」
「まあね。で、何の用?新しい仕事?」
「ま、そんなとこだも。ところでレックス、お前確かリベラリタス島嶼群のイヤサキ村出身だったも?」
「ああ、そうだけど…それが何か?」
レックスは頷きながらも、プニンのその言葉に疑問符を浮かべる。
リベラリタス島嶼群は小さな巨神獣が集まったとある群島を表す地名。レックスの出身地イヤサキ村がある群島であり、今も家族が住む懐かしの故郷だ。
だが出身者のレックスの印象としてもそれだけ。活発な産業があるわけでもなく、住民も少ない。この一大貿易拠点アヴァリティアですら出身者と出会うことはおろか、地名を聞くことすら珍しいド田舎だ。
「すぐに会長室に行ってほしいも」
「え?何で?」
「バーン会長がお前のことをお呼びだも」
「会長が俺を…?」
バーン。それはこのアヴァリティアを治める長であるノポンの名前だ。
レックスも遠目でしか見たことがない超大物。まさか自分に声がかかるとは。
…自分が何かしたのだろうかと不安になる。あるいはさっきのプニンの言葉。リベラリタスに何かがあったのか…と、やはりレックスは不安になる。
「行ってみればわかるも」
「…りょーかい」
いまいち腑に落ちないながらも、レックスは不承不承ながら軽く頷く。
換金はひとまず後回しにし、プニンと別れたレックスはついさっき降りてきたばかりの階段を登っていった。
会長室はアヴァリティアの2階にあった。
アヴァリティアの中でも特に豪華な両開きの戸を開くと、これまた豪華な執務室の奥に、更に豪華に着飾った大きなノポンの姿があった。
「よく来てくれたも。アヴァリティア商会会長のバーンだも」
抑揚たっぷりにバーンが告げる。
バーンは一般的なノポンより恰幅のいいノポンで、レックスよりも一回りも大きいノポンだった。その丸い体を更にゴテゴテと宝石で着飾っているため、とにかく威圧感がすごいノポンだった。
「あ…ああ。初めまして」
レックスは落ち着かない様子で返事をする。こういう偉い人の前というのは終ぞ縁がなく、慣れない場に視線が泳ぐ。
泳いだ先、部屋の中にはおつきか何かだろう、ヒトの女性が二人立っていた。際どい恰好をしているのはバーンの趣味だろうか。
「プニンからずいぶんと腕の立つサルベージャーだと聞いてるも。それを見込んで、ちょぉっと頼みたいことがあるんだも」
「会長自ら俺に仕事の依頼を!?」
まさかの提案に声が上ずる。不安半分だった気持ちが一瞬でどこかへと吹き飛んでいく。
会長からの依頼。それはつまりアヴァリティアという組織から依頼されることに等しい。
サルベージ対象はかつてない大物、かつ多額の報酬は約束されたようなものだ。
「報酬は10万ゴールドだもぉ~」
「じっじゅうまんっ!?」
バーンの間を空けぬ畳みかけに、レックスの声が更に高く上ずる。
10万ゴールド。これまでレックスが聞いたこともないような数字だった。
先ほど換金しようとしていた今日のサルベージの収入が、概算で多く見積もっても4桁程度だということを考えると、一仕事での額としては望外すぎる金額だった。
「聞いて驚いたも?ちなみにそれは手付金も。成功報酬は更に10万プラスだも」
「合わせて20万…マ、マジですか…」
余りの現実感のなさに今度は上ずるどころか、掠れるような声が出た。
レックスの中で妄想が広がる。20万ゴールドもあれば、一般人が願う夢のいくつかは叶えることが可能な額だ。夢を見ずにはいられない。
「やります!このレックス。全身全霊をもって仕事に当たらせていただきます!よろしくお願いします!…ンあははははは…」
あまりの嬉しさにこらえきれず、言葉の最後に笑いがこぼれる。
その様子を見て、バーンはあきれたように口を開く。
「お前、依頼の内容は聞かなくていいも?」
「あぁ、そうだった。で、どんな仕事なんですか?」
「…ホントに大丈夫かも?」
バーンはため息を一つ。
それもそのはずだ。依頼も聞かずに金だけで動くようなサルベージャーなんてよほどのアホかモグリくらいなものだ。信用がならない。
「もちろん大丈夫ですっ」
しかし、レックスはそんなバーンの懸念なぞ一かけらも感じてないかのようなウキウキとした声で返事をする。
あまりに突然自分の元に舞い降りてきたチャンスに、一時的に思考回路がマヒしているのかもしれなかった。
「…まぁいいも。話は直接聞けも。いれるも」
そう言ってバーンは部屋の横の扉の前に立つ女性の方に合図を送る。女性はひと言返事をし、扉の中へと入っていく。
それから少しして、女性に連れられた4人と1匹の集団が部屋へと入ってきた。
一人はネコのような耳が頭についた、レックスと同い年くらいの少女。おそらくグーラという巨神獣に住むグーラ人だろう。その横には白い毛で覆われた虎を連れていた。ヒト型ではないが、首の下に青い結晶が輝いている。獣型のブレイドだ。
その次に出てきたのはレックスより少し年上に見える少女。燃えるような赤い髪と、同じ色合いの服装が特徴的な少女だった。後ろにはヒト型の昆虫のような生き物が立っていた。こちらも胸にコアクリスタルが輝いている。
そして最後に出てきたのは白い髪をした長身の男。仮面をつけ、刀を背負う男。先の二人とは異なり、ブレイドを連れている様子はなかった。
「ドライバー!それにブレイド!」
すっげぇ初めて見る!…と言いかけて、その言葉は飲み込んだ。ドライバーはともかく、ブレイドは先ほど見たばかりだ。
「…依頼内容は、ある物資の引き揚げだ。最近の海流変動で発見された未探査海域のかなり深い所に沈んでいる」
レックスを一瞥するや否や、白髪の男が淡々と語った。
その声に熱はなく、酷く冷え切った印象をレックスは感じた。
「へえ…それは腕が鳴るね!」
レックスは自信満々といったジェスチャーをして見せるが、男はピクリともしない。
もしかして見えてないのかと、少し仮面の奥をのぞき込んでみると、瞳自体はレックスの方をしっかりと睨んでいた。
無言が少し続く。間を取り持つように口を開いたのはバーンだった。
「ベテランのチームを紹介するって言ったけど、リベラリタスの出身で、少数精鋭の人材をという希望だったも。それで白羽の矢が立ったのがお前なんだも」
「へっへっへ…悪い気はしないな!」
「プフッ…フッフ…」
レックスがまた得意げになってみせると、突然横から笑い声が聞こえた。
視線を向けると、笑っていたのはグーラ人の少女だった。
「子供のサルベージャー?シン!今回の仕事って、子供の遠足も兼ねてるんだっけ?」
馬鹿にしたような表情と声で話す少女。
自分とほぼ同い年に見える少女に言われたことに、レックスはカチンときた。
「何だよ!見た目が子供っぽいのはアンタだって同じだろ?」
「アタシはこれくらいの額で、そんなバカみたいに喜んだりしないよ!」
「バカみたいってなんだよ!!」
明らかに小馬鹿にした口調に、レックスはムキになって声を張り上げる。
もっとまくしたてようと一歩前に出ようとした…ところで、間に虎のブレイドが割り込んできた。
「レックス様でしたな?此度はお嬢様が大変失礼なことを。何卒ご容赦を」
そう言って頭を下げる虎のブレイド。低く渋い声が執務室に響く。
想像もしてなかった紳士な対応に、レックスの怒りもどこかへ引っ込んでいく。
「ビャッコ!アンタまた余計な口出しを…」
「よしましょうニア」
虎のブレイド、ビャッコにグーラ人の少女が食って掛かろうとするが、その言葉もまた別の言葉にさえぎられる。
声の主は赤い髪の少女だった。少女はレックスから少し離れた位置で、レックスのことを値踏みするような眼で見つめていた。
「…まあ、気持ちはわからないでもないです。ただ…確かめるのは簡単ですよね?」
そうつぶやいた少女は片手に剣を握っていた。
それにレックスが気付いた時、その剣は自らの首筋に迫っていた。
「なっ!?」
勢いよく襲い掛かる刃。レックスは寸でのところで下方向に躱す。
間髪入れず飛んでくる二発目と三発目。低くなった態勢のままレックスは攻撃をかわし切り、なんとか四つん這いで少女から距離を取る。充分離れたところで振り返りつつ背中のジャンクソードを抜刀。そのまま飛び込みながら赤い髪の少女に向けて振り下ろす。しかしその刃は少女に届くことはなく、少女の構えた剣に受け止められる。
そのまま押し込もうとレックスは力を籠めるが、剣はびくとも動かない。その様子を軽く眺めてから、少女ははらうように剣を振るう。レックスは剣ごと大きく弾かれ後ろに下がる。距離を取って再度ソードを構えなおした時、すでに赤い少女は剣を納めていた。
「いきなり何するんだ!」
「…なるほど…」
少女は得心がいったように頷く。
その様子を見ながらも、レックスは構えを解かず、少女のことをにらみつける。
「ホムラ!子供相手に何やってんだよ!?」
「この少年じゃ不安って言ったのはニアですよ?」
「アタシはそんなこと言ってないよ!」
「言わなくても思ってた…でしょう?結果は見ての通りです」
少しうれしそうな表情で赤い髪の少女、ホムラはレックスの方へと歩み寄る。
レックスは距離を取るように後ずさるが、後ろ手に構えたソードの切っ先が壁に当たって足を止める。
「凄いですね。見たところドライバーじゃなさそうですけど…そのアーツ、どこで覚えたんですか?」
「じっちゃんに教わったんだよ。小さい頃から遊びと言えばこればっかりだった」
レックスは構えを解かない。それ見て、更にホムラは微笑む。
「能力は十分。度胸もあります。しっかり働いてくださいね?」
そう言ってホムラはそのまま執務室を後にする。それに虫のようなブレイドと、仮面をつけたシンと呼ばれた男が続く。
ニアはその様子を見て大きくため息を一つ。それからレックスに見せつけるように顔をプイっと逸らしながら3人に続く。
最後にビャッコが一礼をして、部屋に残されたのはレックスとバーン、後はバーン御付きの女性たち。先ほどまでの騒ぎがなんだったのかというほど静かな時間が流れる。
「ももー!何ともやかましい連中だも!」
静かさに耐えかねたのか、そう叫びながらバーンは机に小袋を叩きつける。
袋の中からは、チャリンと金属のこすれる音が聞こえる。
「手付け金も。これで必要な装備を買い揃えてから、右舷の桟橋に行けも。そこで俺の手配した、素晴らしい船が待ってるも!」
「…わかりました」
レックスはずっと構えていたソードをしまい、少しぶっきらぼうに返事をする。
先ほどまでの浮かれた気持ちは、いつの間にかどこか遠くへ行ってしまっていた。
続く