前作からの読者の方々、今作も宜しくお願い致します(感謝)
前作で、事実上この惑星アレスの盟主となり、『人類銀河帝国』初代皇帝として、『人類に連なる者』を指導する立場となった『アラン・コリント』。
今作は、その長男である『アポロニウス・スターヴァイン・コリント』を主軸とした話しとなります。
ではどうぞお楽しみに。
「にいちゃん、おっきろーーー!」
「にいさま、おきてぇぇーーー!」
とのカワイイ目覚ましを促す言葉とは裏腹に、強烈な頭突きがベッドの両脇から僕に突き刺さる!
慣れたもので、両脇に挟んでいた柔らかいクッションでその頭突きをいなすと、僕は柔らかいクッション毎二人の妹を両脇に抱え、ベッドから起きて妹達を僕のベッドに立たせた。
4歳の妹達は、ヤンチャにもベッドに立ってからも僕に対して、正拳突きと前蹴りを繰り出して来たが、当然その短い手足ではリーチが足りなくて、体ごと突進せざるを得ず、足を払うと「ポヨン」といった感じでベッドに倒れてしまった。
「むう、またやられちゃったよーー!」
「どうして、やられちゃうのかなあ?」
と妹達は倒れたまま、頬を膨らまして抗議して来た。
約1年前から、このカワイイ目覚まし?を繰り返して来る妹達に呆れながら僕は言った。
「セラにシェラも良い加減にしないか!
僕だから対処出来るけど、友達の『ケント』と『サクラ』が僕と同じ事をやられて、前のお泊まり会でクレリア母様に怒られたばかりだろうに!」
僕の説教にまるで堪えた風も無く、妹達は素早くベッドから降りると一緒にベッドの乱れを直した。
以前ベッドを乱したままで居たら、セリーナ母様とシャロン母様に怒られて、父様の作ってくれたお菓子を一週間食べれなくて、二人共ギャン泣きしたのだがセリーナ母様とシャロン母様は許さなかったので、流石の妹達も懲りたので、それ以来ベッドの整頓だけはキチンとする様になった。
だったら、僕への朝の目覚ましもキチンとして貰いたいものだが、セリーナ母様とシャロン母様に言わせると、妹二人の朝の目覚ましはお兄ちゃんへの親愛の証らしいので、許してやれと云う事らしい。
何とも納得し辛いが、兄としては耐えなければならないらしい。
ベッドの乱れを直し終わったセラとシェラに、
「毎朝、兄ちゃんを起こしに来るのはご苦労さまだけど、兄ちゃんより弟の『ルー』君に朝の挨拶に行くべきじゃないかな?」
と水を向けると、セラとシェラは今始めて気付いたと言わんばかりの顔つきになり、慌てて、
「そうだよ! シェラちゃん! ルー君をおこしに行こう!」
「わかったわ! セラちゃん! きっとまだ寝てるはずだよ!」
とこの慌ただしい暴風達は僕の私室から程近い、クレリア母様の隣室で眠っている弟の所に急行して行った。
流石にあの妹達でも、2歳の弟にはTPOを弁えた対応をするだろう。
そう考えながら僕は己の私室にある洗面所に向かい、諸々の身支度を終えると身長に不釣り合いな程巨大な姿見で己の服装を整えると、本日付きの小姓を部屋に呼び今日の予定を確認した。
「・・・アポロニウス殿下の本日の御予定は、ご家族での朝食の後、皇子宮での御学友との勉学を共にして御学友との昼食を摂り、その後御学友と共に本日のレクリエーションであるマナー講習をして頂き、終わり次第、拳聖様との修行をして頂きます。
そして、ご家族での夕食の後に賢聖様とのディスカッションとなります」
との本日の予定に、若干気分が滅入る・・・。
拳聖様との修行と賢聖様とのディスカッションは、とても楽しいので問題無いが、本日のレクリエーションであるマナー講習は、何時も気が滅入る。
正直、この古臭い宮廷作法が、僕達の住む惑星アレスに於いて、最先端の科学技術と魔法技術をひた走る『人類銀河帝国』が、未だに囚われている事に非常に違和感がある。
此のあまりにも古臭い因習を止めるべきだと、クレリア母様に訴えでた事が有るのだが、メイドが周囲に居る状態でクレリア母様は弟のルー君をあやしながら、
「貴方は、全ての規範となるべく行動しなければなりません。
未だ幼い身の上では非常にツラいと感じる事でしょう。
しかし、其れを乗り越えて、人々の規範となるべく行動しなさい。
何時か、貴方が学ぶ全ての事が、私達皇帝家の愛からなのだと理解出来るでしょう。
さあ、此方にいらっしゃい!」
と弟を抱いている左腕の反対側で、僕を横抱きすると顔をよせて呟かれた。
「・・・今はメイド達が居るから言えないけど、本当に苦痛に感じたら女官の『カレン』に知らせなさい!
きっと、良い様に計らってくれるわ」
と教えてくれた。
女官の『カレン』さんとは、クレリア母様の長年の年下の友人で、時折、皇妃宮で開催される『女子会』のメンバーで、最年少のエラさんの次に年齢が若く、現在、大学に通いながら女官をしている。
一応、クレリア母様の専属女官なんだけど、時々、僕の様子を見に来てくれるから、秘密の相談もし易い。
「判りました、クレリア母様!
僕も、弟のルー君に恥ずかしく無い、お兄ちゃんに成りたいので我慢します!」
と、居住まいを正して頭を下げると、クレリア母様は微笑んで頭を撫でてくれた。
そんな3月程前のやり取りを思い出していると、僕の私室のベランダから入って来たモノが挨拶して来た。
「おはよう、アポロ!
何だか、気が乗らない顔をしてるな。
嫌な事でもあったのかい?」
と言って来た。
すかさず僕は、
「そんな事無いよ『アル』!
朝の散歩は楽しかったかい?」
と尋ねるとアルは、
「ああ、今朝は兄弟達全員と一緒に、アスガルド城の上空で追いかけっこ出来たから、楽しかったぜ!」
と楽しげに部屋の中の空中で、星猫であるアルは小さな翼で羽ばたくと、華麗に一回転して見せた。
僕はその様子を、『星の涙(スター・ティア)』が中央に収まっているネックレスを、首にかけながら見て、必ず飛行魔法を直ぐに覚えて一緒に飛び回ってやると誓った。
「アポロニウス殿下、朝食の準備が整いました。
皇子宮の広間にお向かい下さい!」
と小姓が、僕の私室備え付けのモニターから、報告して来た。
「判った、今向かう」
と返事して、相棒のアルと共に私室を出て、本日付きの小姓を伴い皇子宮の広間に向かった。