皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

102 / 188
第三章 第16話

 【オルガ視点3】

 

 私達は、あれから惑星アレスの玄関口である『オービタルリングⅠ』に到着し、様々な歓待を受けた後にゆっくりと休ませて貰いながら、諸々の検査と惑星アレスに降り立つ為の教育を受けたの。

 そして、避難民全員の為に開拓が進んだ大陸が、入植地として割り当てられた事が説明されて、『軌道エレベーター』で惑星アレスに降り立つと、早速、陸上輸送艦(何と地上で浮いている大型艦なの)で移動させて貰ったわ。

 

 そして、陸上輸送艦で暫くの船旅を終えて到着した、アフリカーナ大陸のエジプタリアと云う都市にある巨大ドーム近くの空港の展望室から、私達が入植する広大な実りが延々と広がる農地が見渡せる大陸が目に映ったの。

 

 「此の豊かな大地が、私達に与えられる入植地なのですか?」

 

 そう、私達の代表者が全員の感想を代弁してくれて、帝国が私達の為に付けてくれた係官に聞くと、

 

 「その通りです。 当然目の前に有るドームも貴方方の物ですし、インフラも整備されてますので、惑星アレスの各地にも自由に往来出来ます!」

 

 と説明してくれて、私達は目を見張ってしまう。

 

 とてもでは無いが、この様な厚遇に対して私達が将来に渡っても恩義を返すのに、どれだけ掛かるか判らないので、なので私はどうして此処までしてくれるのですか? と聞いてみたの。

 そうしたら、係官は信念を持った態度で答えてくれました。

 

 「私共、同胞である『人類に連なる者』にとっては、敵のバグスは不倶戴天の敵であり、奴等との間では共存はあり得ない!

 何故なら、奴等にとって私達は餌であり食材でしか無い! こんな相手と取引や手を取り合う可能性は微塵も無い!

 ならば、生存競争として我々『人類に連なる者』同士は互いに手を取り合い、此の過酷な戦争を戦い抜いて勝利しなければなりません!

 そういった観点から考えれば、極端な話し貴方方が滅びずにただ行き続けるだけでも、一歩ずつ勝利に近付く事が出来ます。

 どうか、生活環境を整えて減ってしまわれた人口を、元に戻される事を我々帝国は切に願って居ります!

 そして、もし余裕が出来て来たら、是非帝国が望む、本来の『人類銀河帝国』を蘇らせる事業への参画をお願い致します。

 ご存知の通り、バグスの勢力は既に銀河系の殆どを占領していて、それに対して私達帝国は初めて他の『人類に連なる者』の仲間を救う行動を起こしたばかりの存在です。

 当然今後も、同じ『人類に連なる者』の仲間を救い出して参りますが、どう考えてもバグスに対して今は弱小な勢力でしかありません!

 どうか、我等と連帯関係を築いて協力してくれる事を願います!」

 

 と深々と頭を下げられて、やがて係官は別の仕事に従事し始めたの。

 

 周りに居た私達の両親や他の大人達も、神妙な顔をして深く考え込んでいる。

 あまりにも重い言葉だったから、簡単に答えを導けないけど、今は何より生活基盤を整えるべく、動き出さなきゃいけない事は確かなので、避難民全員は直ぐに持ってきた荷物を巨大ドームに運び入れたわ。

 

 翌日から、避難民は若年層と就労適齢期の年齢層に分けられて、前者は『学校』に後者は『職業訓練校』に通う事になったの。

 

 私達避難民は全員『ナノム』を服用しているんだけど、改めて精度と先進的なナノム・ネットワークに対応している『ナノム玉2』と呼ばれる物を提供されて、身体の体幹と能力が格段に上がったのが実感できた。

 

 そして、早速『魔法』の実践指導が学校の校庭にある練習所で行われたの。

 

 感動! 何にも無い筈の空間に私が集中して見たら、水や炎が出現したの!

 まだまだ、全然指導官の行使する魔法は実現出来なかったけど、何れは空中に浮く事も直ぐに出来る様になるらしいの。

 

 そして、今現在、故郷の惑星シレノスで行われている惑星フォーミングは、この魔法を自由自在に行使出来る様にもしてくれてるんだって。

 

 凄いわ! まるで夢の技術だしあらゆる事が此の技術で可能になるなんて!

 

 学んでいた他の学生達も興奮し始めたけど、指導官から幾つかの禁止事項とリミッターの存在を教えられたわ。

 

 先ず、基本的に公共の場での魔法行使は認められていないけど、緊急時(例えば地震や洪水等の自然災害時の場合)には人への救出活動等ならば、認められる事と病院や警察等の公務員は許可証が存在していて、公務を行う場合には臨機応変に魔法を使用出来る事。

 

 そして、其れ等とは全く異なり、帝国軍に所属すると魔法の使用制限の殆どが、戦場では解除される上に、然も一般人には公開されていない『軍団魔法』や『対強敵用攻撃魔法』を伝授されるんだって。

 

 この話しを聞いて、明らかに避難民の内で幾人かの男子生徒が、目を輝かせているのが見て取れたの。

 

 まあ、判らないでも無いわ。

 

 彼らは家族をバグスに殺されていて、自分の無力を嘆いて遣る瀬無い気持ちを燻ぶらせていた姿を、避難していた地下道で何度も私は見て来たから。

 

 昨日から割り振られた住心地良いマンションに戻って、両親に「『魔法』を使える様になったの!」と申告したら、両親も『ヒール』等の凄い魔法を覚える事が出来たらしくて、『ライト』の魔法を使って見せてくれたの。

 

 全く、救助されて以来、惑星アレスの技術には驚かされてばかりだわ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。