皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第18話

 「其れでは、アポロニウス皇太子殿下を筆頭とした『神機』部隊は、部隊規模を大幅に増強した上に編成そのものを繰り上げて、『神機』軍団として了承されました!」

 

 そう、会議の進行役を務めていたヘルマン中将が決定事項を読み上げると、次の瞬間帝国の誇る諸将が満足そうな笑みを浮かべて、深く頷いているのが見て取れた。

 

 元々、此の流れは想定通りだが、帝国軍の重鎮全員の共同提案になるとは思わなかった。

 遠征軍主将だった『楊大眼』上級大将や、副将だった『ヴァルター』大将は率先して提案内容を支持して、共同提案にしたらしい。

 

 ともあれ、此れでかなりの裁量権を僕に予め与えられたので、臨機応変の行動をとり易くなった事になる。

 

 そして父様が、次の帝国としての大雑把な方針を示し、皆に自由な討議を促した。

 

 つまり、要点は二つ。

 

 ・これからも地道に辺境の星域をバグスの占領状態から解放して行き、何百年掛かろうと本来の『人類銀河帝国』を取り戻す従来の戦略。

 

 ・シレノス星とシリウス星に有った情報バンクから復元したデータで確認出来た、『暗礁宙域』に有る複数のバグスの生産拠点を叩く新たな戦略。

 

 此の二つの戦略を父様は大まかに説明し、よりリスクの少ない作戦案の討議を重ねる事をテーマとしたのだ。

 

 此の議題とテーマは、非常に色々な要因が考えられたので、一回の会議で結論が出る筈も無く、結局其れ其れが持ち帰り各々の幕僚やブレーンと相談する事が決められた。

 

 まあ、この流れと議題はいち早く2日前の段階で僕の仲間に知らせていたので、既に僕達の『キャメロット』と褒姒の『百八家』の間では、大まかな作戦案が練られていて、いよいよ決定を見た『神機』軍団の運用方法を考慮しつつ、現実性の高い戦術を編み出しつつ戦略に落とし込んで行く作業に移る必要が有った。

 

 僕の『神機』である『メタトロン』の究極技である星系破壊奥義『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』は、過去に於いて神々(調整者)すら使用した事が無い技らしくて、使用した場合の規模と範囲更には後の影響まで不明瞭なのだ。

 

 正直な処、使わないで済むなら永久的に使用したくは無い技だ。

 

 しかし、そもそも戦力に於いてバグスと我々では圧倒的に物量の差が存在し、『暗礁宙域』に有る複数のバグスの生産拠点が今後も其の差を拡大し続けるのならば、破壊して置かないととんでも無い物量のバグスの艦隊と『宇宙大怪獣』の脅威に、此の銀河系は晒され続ける事となるだろう。

 

 何処かのタイミングで決断しなければならないのは明白で、其れを何時の時点にすべきなのかは覚悟の問題なのだろう。

 

 そんな事を考えながら、AR通信で『メタトロン』に僕と会議に出席していた仲間を、拠点にシフト(位相差ジャンプ)させた。

 僕達の拠点である巨大スペースコロニーでは、現在、最近ロールアウトした3種類の戦闘機体の訓練が、コロニー内と宇宙空間で行われている。

 

 3種類の戦闘機体とは、ドラゴンが乗り込む形の『竜機人(ドラゴノイド)』と『竜機神(ドラグゴッド)』、そして人の乗る『機動武人(モビルウォリアー)』である。

 

 『竜機人(ドラゴノイド)』は、ドラゴン達が宇宙空間装備である『雷電』装備をした状態で、全長100メートルに及ぶ機動力と高火力武装の機体に合体した状態の事で、ドラゴンと云うより武装した人に近い形状の存在である。

 

 『竜機神(ドラグゴッド)』は、『竜機人(ドラゴノイド)』を遥かに凌ぐ全長200メートルの機動力と高火力武装の機体に、『アトラス』殿と『グローリア』殿の最強装備である『男神ライディーン』と『女神ライディーン』が合体した状態の事で、殆ど『神機』に匹敵する実力を誇る正にドラゴンの神である。

 

 『機動武人(モビルウォリアー)』とは、全長50メートルの全身を『竜機人(ドラゴノイド)』と『竜機神(ドラグゴッド)』にも使用されている、『緋緋色金(ヒヒイロカネ)』と『青生生魂(アポイタカラ)』を月に有る、神々(調整者)の遺産である鉱石の精製工場で板金化して、『ラウンズ』と『七虎将』に其れ其れに特化した機体へと建造した物で、パワードスーツや他の戦闘機体とは段違いの性能を持つ。

 

 此の戦闘機体を事実上独占する事になった『神機』軍団は、真の意味で帝国最強の軍団であり、バグス共の最強戦力である『宇宙大怪獣』に対抗出来る唯一の戦力だ。

 

 つまり、これからの遠征作戦の成否は『神機』軍団の実力に左右されるだろう。

 

 なので父様の許可を取り、僕達の巨大スペースコロニーに来月には『拳聖様』・『剣聖様』・『拳王様』・『剣王様』を全て招集して、徹底的に戦闘技術と精神の修練を鍛えて貰うつもりだ。

 

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