「どうだ、付いて来れてるか?」
「「「大丈夫です、まだまだ行軍スピードを上げて下さい!!!」」」
「良く言った! 20%上げるから付いて着て見せろ!」
「「「了解!!!」」」
と、『機動武人(モビルウォリアー)』部隊の面々はサブモニター越しに、僕の『神機メタトロン』に付いて来れてる事を証明してみせた。
《・・・中々なものだな・・・。》
第一宇宙速度は当然として、第二宇宙速度(惑星脱出速度)でも軽く『神機』に付いて来たので、第三宇宙速度(恒星系脱出速度)での行軍をしたにも関わらずアッサリと追従して来た『機動武人(モビルウォリアー)』部隊に、訓練の成果を見た。
結局『機動武人(モビルウォリアー)』の限界とされている第四宇宙速度(星域脱出速度)まで出させて、隣の星域で惑星フォーミングをしている自動惑星フォーミングコアを横目に、折り返して帰還した。
此の速度はそれだけで一つの武器であり、此の速度を乗せた超重金属を先端にしている槍を使用するのが、『宇宙大怪獣』に叩きつけるのは一つの戦術でもある。
そして此のスピードなら、バグスのBG-I型巡洋艦の巡航スピードでは全く追いつけないし、更には砲撃されたビームすら追随出来ないだろう。
拠点の巨大スペースコロニーに入港してみると、『星系保全機構 ADAM2』をシレノス星系に設置し終えてから、シレノス星系の安全が図られる様になったので、交代する形でロンとマリアが此の拠点に戻ってくれた。
此れで、他の2体で動かせない『女媧』と『伏犠』以外の、機動戦力で最高峰の『神機』6体が揃った事になる。
「ロンにマリアもご苦労様! シレノス星系までの『スターロード』の開通と『星系保全機構 ADAM2』の設置で、シレノス星系までの航路の安全が確約出来たよ!
此れで、シレノス星系の先に有る『アルカディア』星系に進出する目処が付いた。
今後は戦略に於いて、幾つかの懸念が払拭出来るから、具体的な作戦案と戦術が練れるよ!」
と僕が2人の労をねぎらいながら今後の方針を告げると、ロンが目を血走らせて僕に『機動武人(モビルウォリアー)』の情報を求めてきた。
やれやれと思いながら、説明を僕の『キャメロット』の専属技官の長である『カラシニコフ』を、ロンへの説明役として指名し、以降の事を任せるとマリアに言葉を掛けた。
「マリア、大変疲れている処申し訳無いけど、君とサクラには褒姒と組んで貰って『神機』のトリオとなって貰いたいんだよ。
当然、他の『神機』のトリオを僕とケントそしてロンで組み、フォーメーションの構築と訓練に移りたいんだ。
何故なら、僕達4人は既に経験したが実際に『宇宙大怪獣』と戦ってみて、幾つもの発見点と改善点を見い出す事が出来たんだよ。
此の経験する事で見えて来た知見と経験を、君達2人にもなるべく詳細に理解して貰った上で、是非今後の訓練で共有して貰いたいと思うんだ。
それと今日は夜に開催する歓迎会で紹介する事になる、新しい僕達の乗艦する事になる旗艦の艦長始め乗組員と仲良くなって貰いたい。
いよいよ、僕達が帝国航宙軍の先鋒として戦場の最前線を任される事になった以上、果たすべき責任は更に増して来た事になる。
お互い頑張って行こうよ!」
と僕が言うと、マリアは何だか不満そうに唇をややひん曲げて、
「了解したわアポロ! 後で2人と話してみるわ!」
と返事してくれた。
何だかその反応に訝しさを感じたが深刻に捉えないで、僕は予定通りに『メタトロン』のシフト(位相差)ジャンプで月に有る『アルテミス基地』での軍事会議の前に艦船の建造ドッグに向かった。
其処では、『カラシニコフ』の親父さんである『ドレイク』殿とその直弟子である『トカレフ』殿が、次々と量産されて行く『ギャラクシー級戦艦』・『スター級重巡洋艦』・『サテライト級駆逐艦』の新型を、満足気に見ながら寛いで居た。
僕は、驚かせ無い様にワザとらしく靴音を上げて2人に近付き、声を掛けた。
「お二人共、お久しぶりです! それにしても凄い数の宇宙戦闘艦ですね!」
「おお、此れはアポロニウス皇太子殿下! 真にお久しぶりですな!
本当に、先の遠征作戦の成功で得られた、シレノス星系の情報データバンクは素晴らしい!
あの情報データバンクのお陰で、此れほど早く本来の『人類銀河帝国』の宇宙戦闘艦を、改良して量産化出来たのですからな!」
と『ドレイク』殿は、僕の手を握りながら笑顔で感謝して来た。
そしてその横でニコニコしながら『トカレフ』殿が、僕に説明する為に手元のタップを動かし、立体スクリーンで宇宙戦闘艦の改良点を示してくれた。
「何と言っても素晴らしいのは、シレノス星系の情報データバンクには、此れまでの本来の『人類銀河帝国』が蓄積していた乗組員の経験データが、膨大な量保存されていた事ですよ!
元々『戦艦イーリス・コンラート』には、ある程度の設計データは残っていましたが、それも完全では無かったし、乗組員の経験データなんて欠片も無かった。
ですが、シレノス星系の情報データバンクには、完全な形で設計データは残ってましたし、乗組員の経験データが膨大な量保存されていた事で、完全自動制御の宇宙戦闘艦を建造出来ました!
本当に有り難い事です!」
そう言って、2人はまたも建造ドッグを眺め始めたので、僕は2人の楽しみを奪わない為に、そっと部屋を抜け出した。