皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第3話

 「起立! 礼! 着席!」

 

 暫定的に号令係にされた生徒が、しっかりと号令を掛けて、ビシッとした姿勢での朝礼を終えると、皆は着席して先生からの指示を待つ。

 

 「皆さん、おはようございます!

 其れでは昨日の約束通りに、此れから席替えのくじ引きを行います。

 皆さん、昨日渡した専用端末に表示されたボタンを押して下さい。

 そうすれば、専用のアプリで自動に席が決まりますので、速やかにその席に移動して下さい!」

 

 そして各々ボタンを押して、新しく指示された席に移動した。

 僕の席は、直前の最前列では無くて、最後列の廊下側だ。

 そう言えば、昨日背が低い事を理由に最前列を希望した女子生徒は、望み通りに最前列に移動出来た様だ。

 僕は、良かったねと思いながら彼女を後ろから眺めていると、何故か僕の方を振り返って恨めしそうに見てきた。

 

 《何でだろう?》

 

 とその視線の意味を測りかねて、疑問符を頭に浮かべながら先生の説明を受ける。

 

 「此の席替えは、学期毎に行いますので此のままの席で1学期は通します。

 皆さん、宜しいですね」

 

 と言い、先生は授業を始めた。

 授業内容は、予め睡眠学習で学習している内容に、先生の補足説明と各々の生徒の疑問に先生が答えたり、皆で意見を出し合ってクラスでの総意にして行ったりした。

 

 午前中の授業が終わると、僕としても初めての給食が昼食として行われる。

 席替えで決まった班が、一週間毎に交代で配膳係となって食事を取り分ける。

 僕も並んで配膳を受け取り、席に戻って新しく班員となった児童達と、楽しく会話しながら給食を食べる。

 みんな初めての給食、日頃食べるのに使用しない食器や牛乳パック、そして揚げパンや冷凍ミカンに珍しそうにしながら先生が食べ方を教えて貰ったり、専用端末で食べ方を調べながら食べる。

 僕は、事前に給食の内容と食べ方を学んでいたが、実際に食べるのは初めてだ。

 

 まあ、一流の食材では無いが、充分にカロリー計算された上で、児童の食育を考慮されている事は判っているので、みんな特に不満も出さずに給食を終えて片付けると、

 

 「ごちそうさまでした!」

 

 と号令に従って感謝の言葉を上げると、一斉に校庭に向かう。

 この昼休みは、僕の『学校』での毎日の楽しみの一つである。

 女官にして5年連続『世界武道大会』学年別タイトルホルダーであるエラさんが教えてくれた、小等部に於いて毎日の楽しみ『昼休み』。

 

 此れを僕は存在を知ってから楽しみにしていた。

 そして僕は、迷いなく校庭の一角に有るドッジボールコートに向かった。

 途中合流して来たケントとサクラちゃんそしてマリアちゃんを引き連れ、小等部の高学年生達に会いに行く。

 早速、ドッジボールを始めている生徒と本日は見学させて欲しいと交渉し、成功して見学する事になった。

 

 流石、高学年の小等部生徒達だ。かなりのスピードのボールが行き交い、避ける生徒達も中々の実力らしく場合によってはぶつけられても、味方の生徒が浮き上がったボールをしっかりとキャッチし、虚を衝く形で相手を攻撃したりと、結構頭脳的だ。

 

 《此れは面白そうだ!》

 

 と、エラさんが言われた通り、チームワークも必要だし立体的な動きも必要なゲーム内容に、ワクワクして来た。

 昼休みが終わりそうになり、此のコートで遊んでいた最高学年の生徒らしい生徒が、僕に話し掛けて来た。

 

 「どうだ面白そうだろう!

 明日からは、お前達新入生にも同レベル帯の相手で、遊べる様に教えてやるよ!」

 

 と言ってくれたので、

 

 「「「「先輩、お願いします!」」」」

 

 と喜んで返事した。

 そして早足で、其れ其れの教室に戻り、ホームルームが始まった。

 先ずは、クラスの役職を決めて、クラス運営を円滑に進める相談だ。

 先生が、

 

 「先ずはクラス委員長を決めて、そのクラス委員長が司会をしてホームルームを円滑に進めるの。

 特に推薦や自薦する人が有る場合は、手を上げてね。

 因みにクラス委員長含め、各委員は男女一人ずつよ!」

 

 と説明された。

 僕には、特に推薦する人やしたい委員は無いので、クラスメイト達の動向を高みの見物する事に決めた。

 しかし、高をくくっていたのは次の瞬間までだった。

 

 いきなり10人程の生徒が手を上げたので、随分やる気のある生徒が居るな。

 と感心しながら見ていると、先生に指名された生徒が何故か僕に振り返りながら、僕をクラス委員長に推薦した。

 

 《エッ》

 

 と内心怯みながらもポーカーフェイスで応じて、きっと他の人は自薦だろうと考えていると、次に先生から指名された生徒まで、僕を推薦する。

 

 《まさか?!》

 

 案の定、残りの手を上げた生徒達も全て僕をクラス委員長に推薦した。

 まだ、クラスメイトになって2日しか経って無いのに、たかが皇子の位がみんなの眼には、さぞ凄い位に見えるらしい。

 正直、皇子の位なんぞ僕にとっては本当にどうでも良くて、そんな物よりも家族や親友と仲間さえ居れば、一般人で結構だと心の底から思っているのにな。

 と自分の事ながら、達観して見ていたら何時の間にか、教室全員の視線が僕に集中している。

 仕方無い、此の状況で皆の期待を裏切れる程、常識の無い人間では無い。

 

 「判りました。皆の推薦がある様なので、僕がクラス委員長に成りましょう!

 早速ですが、女子のクラス委員長に自薦或いは他薦する人は、手を上げて下さい!」

 

 と僕は教壇に上ると、ホームルームを主導して行った。

 此の後、様々な混乱が有ったのだが、一応全部捌いて先生に下駄を預けてホームルームを終えて、帰宅の途につけた。

 幾つかの予想の一つに此の想定は有ったが、あんまり進んでは困るパターンになってしまった。

 だが、こうなってしまったからには、僕がクラスを主導して行くとするか。

 覚悟を決めよう。

 

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