皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第26話

 (ロン視点)

 

 「で、『賢聖モーガン』様と『賢王マリオン』様の率いる『魔法科学技術省』の職員から、僕を含めて幾人かの有志を募りたいという訳だね?」

 

 「嗚呼、その通りだよ! まだアイデアの段階だから興味を持って、研究して貰いたいからだよ!」

 

 ふむ、つまり其れ其れの研究者が自主的にアイデアを出し合って、新たな技術を生み出すレベルの人材を募るという訳か・・・。

 

 「・・・其れで、肝心の研究内容は何だい・・・?」

 

 「一つ目は、別天体から持ち込んだ植物の、良い形での惑星アレスとの共生を図る、魔法技術の開発。

 

  二つ目は、現在我々が使用している『光学迷彩アーマー』とは真逆の発想で、隠蔽するのでは無くて敢えて目立たせる様に服装を変化させてみたり、光り輝く形で敵に対して注意を引く方法での魔法技術の開発。

 

 此等を研究して貰いたいんだよ」

 

 そんな風に説明して来たアポロに、僕は唸って見せた。

 何故そうしたかと云うと、現在『魔法科学技術省』の職員は殆ど全員といって良い程に、月のロストテクノロジーの復元作業と魔法技術の融合に掛かりっきりなので、人員の余裕は無いといって良い。

 

 その事実を説明して無理だと言うと、アポロも判っているのだろう、別の方向の提案をして来た。

 

 「・・・そうか、ならば方向性を変えて学生連中を利用しよう・・・。」

 

 と何だか、昔アポロが己の思いつきを実行しようとする際の、時折出る悪戯っ子の様な悪巧みを巡らす顔をしながら、言って来た。

 

 「つまり、どうするんだよ?」

 

 「そうだな、今回の話しはそもそもシレノス星系の若い避難民達の提案を、サクラとマリアが賛同する事で大きくなったんだよ。

 ならば、より積極的に動き初めて更に熱意が有るのは、若者たちと思えるんだ!

 そして、一見無駄の様な物に情熱を傾けて集中出来る世代同士ならば、共感を持ってブームすら作れると思うんだ。

 幸い、僕の弟とケントの弟、そしてその取り巻き達も会話に参加していて、より積極的に地上でも行動するらしいから、そのムーブメントを学生連中に盛り上げさせるのは容易いと、僕には思えるな。

 そして、其れを学校での魔法技術開発の課題として取り上げれば、中々面白い事になりそうじゃないか!」

 

 と、段々アポロは悪そうな顔をして来た。

 

 この男、日頃はまるで貴公子然としているくせに、いざ策を巡らさざるを得ない時は、かなり悪辣な事も考え付くのである。

 まあ、そんな感じで精神が図太くないと、バグスを相手に敵を策に嵌めて徹底的に翻弄する事など不可能だろう。

 

 「さて何だか妙な話しだが遠征する前に、此の一大ムーブメントを起こして置いて、遠征を終えた後で帰還してその顛末を聞ける置き土産となると云うのは、中々楽しみだな!」

 

 と非常に朗らかに言い放ち、僕の部屋兼研究室である大部屋からアポロは出て行った。

 まあ、僕や目が回るくらい忙しい『魔法科学技術省』が、此の問題に係わらずに済みそうで有り難い話しだ。

 

 僕とは関わり無く、アポロはサクラとマリアを通してシレノス星系の若い避難民達と、軍事訓練の合間に話し合い、幾つかの此のスペースコロニーでも実行出来る事業にかなり真剣に取り組んでいる様だ。

 

 何と、僕も所属する『キャメロット』が本格的に協力する事になり、かなりの人数を割いて先ずは濃厚ソースを作る為に必要な果物二つを、此の巨大スペースコロニーの農業ブロックで育成する事が決まった様だ。

 

 其の二つとは、非常に水々しい『梨』という林檎に似た果物と、惑星アレスにも良く似た物がある『巴旦杏(はたんきょう)』と云う李(すもも)の一種であるらしい。

 

 此の二つの果物を特殊な魔法育成を取り入れた育成環境で育てる事が決まり、かなりの大量生産が出来る体制が整えられたらしい。

 

 此の育成技術を魔法で開発する事に、避難民の方々が関われる事にしたら、非常に避難民達が喜んだらしく代表者の方が、帝国に感謝の礼を述べているシーンが、ニュース報道で放送されていた。

 

 全く、アポロのその行動力による影響力は、帝国どころか全世界を巻き込むレベルだから、きっともう一つのコスチューム・プレイに纏わる服装と、其処に繋がる魔法技術の開発も実現するんだろうな。

 

 本当に、凄い男だなアポロは!

 まあ、今後もアポロと云う人間は、僕を含め全ての人々の事を巻き込みつつ、世界を動かして行くんだろうな。

 

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