皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第28話

 (オルガ視点)

 

 私達を分け隔て無く『キャメロット』に所属させてくれた上に、数々の仕事を斡旋してくれたり、故郷のシレノス星系にしか無かった果物を利用した濃厚ソースを製作する為に、果物を大量生産と質的な改良を率先して『キャメロット』が主導して行う事が決まったわ。

 

 『キャメロット』は、地上でも帝国や他の国々で支部が出来上がり、アフリカーナ大陸以外でもシレノス星系の避難民が配属され始めたの。

 

 そんな『キャメロット』の避難民代表の中に私の両親がなったので、私は若い女性の代表として交渉役と斡旋役を買って出て、この巨大スペースコロニーにやって来てるわ。

 

 その私との交渉相手は、帝国の経済企画庁の担当部局の職員や、崑崙皇国の財閥に於ける農業振興担当者、そして日の本諸島やアラム共和国に於ける似たような職員達。

 

 正直な処、惑星シリウスに居た頃はただの女学生で、バグスに襲撃されてからは逃げ惑う難民でしか無かったのに、此の惑星アレスに来てからはあれよあれよという間に、結構大変な立場になってしまったわ。

 

 だけど、どれもこれも私達シレノス星系の避難民に取っては、重要な将来に繋がる話しなので全力で頑張ってるの。

 

 そんな中、帝国の重鎮と言われる『賢王マリオン』様が、ご家族を伴い私達の宿泊施設に来られたの。

 

 ご家族は、『賢王マリオン』様の奥様のクレリア皇妃陛下付き『カレン女官長』と、そのお子様の姉弟の4人家族。

 

 全員が美形美女のご家族で、思わず見惚れてしまってたんだけど、来訪目的を聞いたら凄く驚いてしまったわ。

 

 此の『賢王マリオン』様と云う御方は、帝国に於ける魔法開発の分野で『賢聖モーガン』様とアラン皇帝陛下に匹敵する、惑星アレスの魔法師トップ3に君臨する御方で、あの有名な『魔法飛翔術』の産みの親と云う話しだ。

 

 そんな御方が、新たな魔法を是非試したいので、協力して貰いたいと言って来られたの。

 

 その新たな魔法とは、『新型促成栽培魔法』!

 

 従来のMM(マイクロマシーン)を促進する形の農作物促成栽培と異なり、遺伝子に余計な負荷を掛けずに魔法で農作物の最適状態を割り出し、最適解の農場状態をスペースコロニーの外周部分に有るプラントに設けると云う事らしいの。

 

 《本当にそんな風に、まるで農作物と会話する様な魔法なんて出来るのかな?》

 

 あまりにも荒唐無稽に思える話しに当惑していると、ご家族の幼い姉弟が、

 

 「出来るよ! 植物だろうが動物だろうが、感情を見るのは魔法を使わなくても読めるよ!」

 

 「エッ! もしかして私の心の声が聞こえるの?」

 

 「別に聞こえると云うより、読めるんだよ! あくまでも感覚的な話しだから説明は難しいけど、かなり正確に読めるんだ!」

 

 とこの瞳が金目銀目の美しい姉弟が、交互に答えてくれたの。

 

 もしかすると、この特異な瞳で見る事で大体の感情が読めて、その反応を魔法で把握するのかな?

 

 「やっぱり、他の人への説明はむずかしいなあ。 それじゃあ、其処に有る花瓶の花の蕾を咲かせたら判るかな?」

 

 「エッ」

 

 と思わず、意味が判らなくて聞き返したら、

 

 「「見てて!」」

 

 と姉弟が花瓶の蕾を見ながら、ゆっくりと話し掛けた。

 

 「もう少し日が差してきたら咲くつもりらしいけど、人口の日光だから周期と関係なく咲いて問題ないよ!」

 

 そんな事を花瓶に活けている植物に話し掛けて、一つだけの花の蕾がゆっくりと咲き始めた!

 

 《まさか?! この姉弟は魔力を発していなかったから、魔法を使用していないのに!》

 

 信じ難い思いで咲いた花を見つめてから、この美しい姉弟の親である『賢王マリオン』様に問い掛ける目を向けると、些か困った顔をして私に答えてくれた。

 

 「信じられないかも知れまないが、この子供たちは此れ此の通り植物の思考が読めて、それを促す事も出来るんだよ!」

 

 「それでは、此の力を『賢王マリオン』様は、成長を促進させる魔法の技術として落とし込む事に成功したのですね!」

 

 と私が反応すると、非常に満足そうに頷かれて、

 

 「いや、その素晴らしい洞察力は、非常に有り難いね。

 貴方の察した様に、私の子供たちの反応を集計して魔法に還元する事で、新型魔法として開発して見たのですが、此処からは膨大な試験を実際に試してみたいんですよ。

 それで、此れからアポロニウス皇太子殿下が大々的に進めている、農作物の大量生産を帝国でも推し進める事を聞き、是非協力をお願いしたいと思ったのです!」

 

 と『賢王マリオン』様の来訪目的を告げられたので、私はまだ若干戸惑いながらも承って、両親を含む『キャメロット』の避難民代表達に報告して置いた。

 

 後にこの新型魔法のお陰で、私達の故郷の農作物が惑星アレスに根付き、絶賛される事を私は想像もしていなかった。

 

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