皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第31話

 「では、頼んだぞアポロ! 後の事は全て私が面倒を見るので、思う存分バグス共を叩きのめせ!

 困ったり不味いと思ったら、直ぐに現場から退避せよ。

 後詰めは準備しているので、十分フォロー出来るからな!」

 

 「有り難う御座います! 必ず満足出来る戦果を上げて見せますよ!」

 

 と遠征作戦前最後の父様との対面で2人だけの会談をして、右腕同士を絡めて家族を越えた運命を共にする同志としての契りをした。

 

 そう、此の遠征作戦は或る意味賭けの要素が強く、上手く行けば数百年スパンの『人類に連なる者』を救う計画を推し進める決定的な一助になり得るが、別に作戦に固執し過ぎて現在までの成果を無くしてしまうまでのリスクを背負う必要は無いのである。

 

 だが、やはりチャンスには違い無いので、未だバグスがシレノス星系が失陥された事に、大きく反応していない間に早目に事を進めたいのが、我々としての目論見だ。

 

 そんな風に思いながら、『オービタルリングⅠ』に有る『天空城(ウラヌス)』の父様用執務室から出ると、弟の『ルーファス』が廊下で待っていた。

 

 「兄上、どうかご武運を!」

 

 「嗚呼、後の事は頼んだぞ! お前も17歳になったのだから来年は成人と成るのだ。

 父様や母様達を支えてやってくれよ!」

 

 「ハイッ! 惑星アレスと此の星域にもしバグスの来襲が有れば、父様の指揮下の元で蹴散らして見せます!」

 

 「頼もしいな! その時は父様とセリーナ・シャロン母様達の指揮下で、お前の力を見せてやれ!」

 

 「判って居ります!」

 

 その兄弟での遣り取りをして、父様とした様に右腕同士を絡めて同志としての契りをした。

 

 弟の『ルーファス』も17歳になって、十分父様の片腕になれる程に成長したので、私が最前線に立ち、姉達が後詰めに立つ状態でも揺るぎ無く答えてくれる姿は、本当に頼もしい!

 

 肩を組んで廊下を進んで、クレリア母様の私室に兄弟2人で入室し、父様の時と同じく遠征作戦前最後の会談をする。

 

 「では、行って参ります母様!」

 

 「ええ、頑張ってね!」

 

 些か素っ気ない言葉を交わしたのだが、直ぐに3人で笑いだして砕けた会話になった。

 

 「まあ、アポロならば気負うことなく無理な行動はしないでしょうけど、貴方の様にその若さで泰然自若出来る人なんていないから、上に立つ者として目配りして上げてね!」

 

 「そうですね、常に部下や同僚の心理状態を慮って、無理をさせない様に心配りしますよ。

 それよりも母様、今回の目的地である『アルカディア星系』は、相当に広大で然も入植惑星も多いので、きっと珍しい動植物や環境で溢れているでしょうから、珍しいお土産を沢山持って帰って来ますよ!」

 

 「そんな事より、貴方も今年で20歳なのですから、そろそろ身を固める事を考えて欲しいわね!

 全然浮いた話しが無いのも、帝国では些か問題になって来るわよ!

 母様は、貴方の年齢で結婚したのですからね!」

 

 と、1番自分にとっては鬼門の話題を出してきた。

 

 「・・・も、申し訳有りませんが、自分には使命としてバグスを殲滅する役割があります・・・。

 と、とても男女関係の様な浮かれた交際は、自分とは全く関係無い代物で、興味が湧きません!」

 

 そう自分がクレリア母様に申告すると、呆れたようにクレリア母様とルーファスは大きく溜息をついている。

 

 その後も、お互いの無事な再会を誓い合ってから『天空城(ウラヌス)』を出て、ドッキングポートに置いて来た『メタトロン』に戻ると、コックピットで寝て待っていた星猫のアルが起き出してきて迎えてくれた。

 

 「・・・出陣の挨拶は終わったのかい、アポロ・・・。」

 

 起き抜けで欠伸しながら、星猫のアルが話し掛けて来たので、

 

 「嗚呼、一応挨拶を終えて来たけど、そもそもFLT超空間通信で途上のシレノス星系までは、何時でも会話出来る状態だから、本当の意味で最後の会話は2週間後だけどね」

 

 と答えてやると、「それもそうだね」と背伸びしながら応じてくれた。

 

 「さて、『メタトロン』! 私的な挨拶も終わったから『神威(カムイ)』にシフト(位相差ジャンプ)してくれ!」

 

 【了解】

 

 そう『メタトロン』は応じると、次の瞬間には航宙軍旗艦『神威(カムイ)』に有る、『メタトロン』の定位置にシフト(位相差ジャンプ)した。

 

 自分は、『メタトロン』のコックピットから出て、『神威(カムイ)』の第一艦橋に向かった。

 

 その自分の第一艦橋にまで進む途中で会う全ての乗組員が、その度に敬礼するので閉口してしまったが、立場が立場なだけに仕方無いと思い、鷹揚に敬礼を返して進んだ。

 

 第一艦橋に入室すると、全員が忙しそうに出港準備をしているので、此方を振り返る暇は無い様だ。

 

 ただ一人、此方を向き敬礼をして来たのは、全員を見回しながら様子を見ていた此の遠征軍の司令官にして艦長でもある『岳飛 鵬挙』上級大将である。

 

 自分も敬礼を返して、専用の席に着いて出港準備のシークエンスに入った。

 

 そう、いよいよ遠征目的である『アルカディア星系』解放作戦が始まろうとしているのだった。

 

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