皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第34話

 (惑星アルカディア抵抗軍 機甲師団第一連隊部隊長レオンハルト大尉 視点)

 

 「何が起こっているんだ?」

 

 俺達の部隊は、基地の中からのモニター越しに空を見上げながら混乱の極みにいた。

 

 昨日から何だか身体の調子が、初めてバグスの襲来があった5年前以前の調子に戻った感じがして、とても気分が良くなっていて今朝の目覚めも良かった。

 

 話しは昨日までの状況からの変化に遡る。

 

 我々の隠れ家である『ジオフロント要塞』は、千メートルの厚みを持つ岩盤層の更に下部に存在し、滅多な事では発見されない隠蔽技術で隠れている。

 

 そのお陰で、未だにバグスからは気付かれて居らず、直上付近への牽制攻撃が有った際も、此方が反応しなかった所為でその後の牽制攻撃は無かった。

 

 だが、此処以外の様々な都市や基地は、バグスによる軌道上からの攻撃で破壊され尽くしてしまった。

 

 しかし、此のアルカディア星には遥か神話の時代からの超古代文明が存在し、その遺産たる惑星全土に遍く通じる地下のパイプラインが現在も壊れずに存在している。

 

 此の地下のパイプラインのお陰で、バグスの攻撃で地表の都市や基地は破壊され尽くしたが、地下都市や避難所は無事に稼働していて、アルカディアの住民も7割が生存しているのだ。

 

 なので、『人類銀河帝国』を形成していた星系国家群からの援軍がくれば、呼応して反撃に撃ってでるつもりだったのだが、5年もの長い間地下活動を強いられて、連絡手段も限られている所為かも知れないが、一切の連絡が他の星系から来ないので、段々ともしかすると『人類銀河帝国』の他の星系国家群も、援軍に来れる程余裕が無いのかも知れないと、大勢の者も悟らざるを得なくなっていた。

 

 そんな未来の展望が見出だせずに居た処、昨日突然の変化が訪れた。

 

 何時も通り鬱々とした気分で上層部に報告に向かい、月に1度くらい確認の為に情報部隊の部署に、他天体からの情報は無いか?と聞きに行ったタイミングで、いきなり5年前までは交流が頻繁に有ったシレノス星系の暗号化通信が短文で届いたのだ!

 

 一気に騒然とした情報部隊の部署は、バグスによる欺瞞通信やコンピューターの誤信中継等の確認を何十にも解析したが、どうやら問題無しと判断して、抵抗軍上層部に自分とともに報告に行き、たちまち抵抗軍上層部は大混乱に陥った。

 

 シレノス星系は隣の星系と云う事も有り、昔から様々な交流をしていて大体の駐留している帝国航宙軍の規模も判っている。

 

 とてもではないが他の星系を救援に来る余裕は無い筈だ。

 

 しかし、短文の暗号化通信には、

 

 【明日、一気に惑星アルカディアの軌道上に居座って居るバグスの艦隊を殲滅するので、一切地表に出ず一般市民と共に守備に徹して下さい!】

 

 という内容しか暗号化通信には記されていないので、そもそもシレノス星系からの援軍なのか? 人類銀河帝国の帝国航宙軍なのか? 本当に味方なのか? サッパリ判らない。

 

 そして明日の状況変化に対応する為に、幾つもの対策と一般市民への通達等をして、早目に就寝した。

 

 そうしたら、冒頭の通りとても気分が良い目覚めが出来て、早朝から軌道上のバグス艦隊と地下からでも観測出来る宇宙空間も注視していた。

 

 すると、何時も通り変わらぬ朝焼けの空だったのに、朝の8時丁度になったと同時にいきなり空に虹色の靄が掛かった様に見えた!

 

 暫くの間、綺麗に空が虹色の靄で輝いていたのだが、突然元の朝焼けの空に戻った。

 

 《何が起こったんだ?》

 

 多分、モニターを注視していた全ての人間が、当惑した思いを共有していたと思うが、次の瞬間にはそれを遥かに越える驚愕の思いを共有した。

 

 「し、信じられない! 軌道上のバグス艦隊が一隻も居ません?! 跡形も無く消え去ってしまいました!」

 

 と情報部隊の声が、モニターを通して聞こえて来た。

 

 自分が見ていても、明らかにバグス艦隊は其処にずっと存在していたし、全てのバグス艦隊がワープをする為の事前行動を取っている様にも見えなかった。

 

 つまり、バグス艦隊は明らかに外部からの強制介入を受けて、何らかの状況に陥ったのだ!

 

 そんな我々の元に、またも短文の暗号化通信が届いた様で、情報部隊が混乱し始めた。

 

 自分もその状況を横目に見ながら、状況を把握しようと動き出そうとしたら、周りに居る一人が声を上げた。

 

 「おい、見ろよ! 何かが降りて来るぞ!」

 

 その言葉に全員がモニターを再度見返すと、神々しく光り輝く存在が静静と降りてくるのが見えた。

 

 呆然と全員がその存在を振り仰いでいると、やがてその存在の後ろから巨大な宇宙船が幾つも降りて来る。

 

 こうして、我等アルカディアの民は5年間に及ぶバグスの脅威から、解放されたのであった。

 

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