皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第35話

 「皆、準備は出来たか?」

 

 「『応龍』問題無しだぜ!」

 

 「『ガルガンチュア』今の処、気付かれて無いよ!」

 

 「『九尾』余裕よ!」

 

 「『天照』大丈夫よ!」

 

 「『ブラフマー』失敗しないわ!」

 

 『神機』部隊全員の了解を得られたので、いよいよ作戦に移る。

 

 「次元封鎖(ディメンション・ロック)!」

 

 その言葉を唱えた瞬間、アルカディア星系と暗礁宙域の間にある広大な範囲に次元断層が生じ、完全に情報の伝達を断つ事に成功する。

 

 此れで次元封鎖(ディメンション・ロック)を張っている間は、バグスからの妨害行動を受ける心配は無くなったと言える。

 

 そして自分達『神機』部隊は、手筈通りに各植民惑星に分散し、其れ其れに残存している避難民やデータバンク等の今後役立つ情報媒体の回収に向かう事になる。

 

 その中でも自分は、最大目標と呼んで良いアルカディア星系の主星である惑星アルカディアの救援に向かう事にする。

 

 其の為に何時も通り、『メタトロン』の権能を使用し各『神機』を分担する惑星にシフト(位相差ジャンプ)させて、自分も惑星アルカディアの軌道上にシフト(位相差ジャンプ)した。

 

 惑星アルカディアの軌道上に展開しているバグスの50万隻の艦隊を、網羅できる位置に『メタトロン』を移動させると、改めて相棒の星猫のアルに探知魔法での情報収集を至近距離で行わせた。

 

 「うん、問題ないよアポロ! 敵バグス艦隊には生きた人間や動植物の類の生命反応は無いようだ!

 もしあったとしても恐らく残骸か肉片だろうね!」

 

 「・・・そうか、もしそうなら荼毘に付す為にも消滅させてやるべきだろうよ・・・。」

 

 そう星猫のアルに応じて、自分と共にバグスの艦隊を睥睨している『ミネルヴァ』に顔を向けて、

 

 「やるぞ、『ミネルヴァ』!  バグス共を一撃で倒してやる!

 ただ、軌道上に展開しているから、地上との間に魔力のフィールドを敷いてから攻撃する、良いな!」

 

 「了解したわアポロ~! バグスの50万隻の艦隊程度だから魔力のフィールド範囲も、惑星表面の一部で済むよ~!」

 

 そして『ミネルヴァ』の魔力で魔力のフィールドを惑星表面に敷いて、『メタトロン』の兵装の一つを選択した。

 

 その名も『反陽子砲(テバトロン・ブラスター)』!

 

 本来、反陽子は反物質であり、自然には惑星上に存在しない。 高エネルギーの宇宙線が飛び交う宇宙空間や、加速器を用いた実験施設等で生成されるが、惑星近くで使用する事は出来ない威力を持つ。

 

 『メタトロン』は72枚の羽根の内、8枚を収束させて砲の形にしてバグスの50万隻に向けて構えた。

 

 コックピット内のモニター上で、精密に攻撃範囲と余剰エネルギーを反転させて回収する魔法式を構築して、隠蔽魔法を解除した。

 

 いきなり姿を現した『メタトロン』に、バグスの艦隊はあまり迅速な反応を見せず、ややもすると自分の目にはおっとり刀で動いている様にしか見えなかった。

 

 《・・・その緊張感の無さは、命取りだったな・・・。》

 

 次の瞬間『反陽子砲(テバトロン・ブラスター)』が、音も無く火を吹く!

 

 バグスの50万隻に及ぶ艦隊は、まるでキャンバスに描かれた鉛筆書きの落書きが、消しゴムで消されていく様に、反陽子が触れて行く先から消えて行った。

 

 結局、5秒程でバグスの50万隻に及ぶ艦隊は音も無く消滅し、反陽子砲の余剰エネルギーを反転させて回収し、殆どエネルギー消費は無い形で惑星アルカディアのバグス主戦力を姿を消した。

 

 直ちに、帝国航宙軍の補給艦と輸送艦が惑星アルカディアにゆっくりと降りて行き、司令部からの本来の『人類銀河帝国』標準語による平文の呼び掛けが、アルカディアの住民達に行われた。

 

 徐々に、暗号化通信による返事が有って、遣り取りが頻繁に行われ始めて行くと共に、アルカディア側からの平文による感謝の通信が帰ってきて、地表を割る様に隠されていたジオフロントが姿を現すと、アルカディアの住民達が地表に溢れ出した。

 

 補給艦と輸送艦から、簡易型の医療用ドームが設置され始めて、救急用の運搬船がジオフロントの出入り口に向かって、入院させる必要の有る病人や老人と幼子、更には妊婦や怪我人をピストン輸送で医療用ドームに搬出して行く。

 

 自分は、其の様子を確認した上で、他の惑星や衛星の様子を確認する為に、惑星アルカディアから飛び立った。

 

 此の段階で、作戦目標の一つ、アルカディア星系のバグスからの解放が成功を納める事が出来たので有る。

 

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