皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第36話

 (惑星アルカディア抵抗軍 機甲師団第一連隊部隊長レオンハルト大尉 視点)②

 

 「其れでは、自分の部隊の要望は聞き届けられたのですね?」

 

 「其の通りだ! 今から向こうの司令部に向かうので付いて来てくれないか?」

 

 直ぐに了承して、自分は軍服の正装に着替えてから彼等の司令部に出向いた。

 

 破壊し尽くされて使い物にならなくなってしまったが、地下に存在するインフラを容易に使用出来る面を重視して、元の首都たる『アテネポリス』に彼等の移動型の巨大ドームが設置されている。

 

 其のドーム内に我々惑星アルカディア抵抗軍も迎え入れられて、我々は現在専ら惑星アルカディアの避難民を新築され始めているドーム群に配分する手伝いをしている。

 

 此の2週間でほぼ生活基盤が出来始めた住民が、楽しげに出来上がったばかりの街角を散歩したり、子供たちが公園で遊び回っている姿を見ていると、5年間の苦難に満ちた日々を思い返し涙が出る。

 

 そんな思いを抱くながら彼等、『帝国航宙軍』を名乗る人々が居られる司令部に出向いた。

 

 彼等が『帝国航宙軍』を名乗る事に特に異論は無いのだが、元々のアサポート星系第3惑星アデルのアデル政府が統括していた『航宙軍』とは、かなり兵制や組織形態が違う上に兵種も相当に違うので、正直な処かなり当初は混乱してしまったが、ナノム・ネットワークで知らされた圧倒的な武力を誇る『神機』の存在に、そうせざるを得ない事実を理解した。

 

 そのナノム・ネットワークで知らされた様々な情報は、惑星アルカディア民にとっても驚愕させる代物が多く、呆然としてしまう新事実の塊だった・・・。

 

 だが、此の『調整者』と己を称する我等にとっても本物の神々の存在は、我等にも救いの光りそのものである。

 

 彼等が惑星アレスに残してくれた『遺産』の数々は、荒廃してしまったアルカディア整形を復興させる事に非常に貢献出来るし、バグスどもを殲滅させる事に役立つだろう。

 

 待たされている間に様々に思い返していると、ナノム・ネットワークを通して入室を促されて、上官と共に会議室に入室した。

 

 「良く来られた惑星アルカディア抵抗軍の方々! 貴方方のご協力のお陰で順調に物事が進んで居ります。

 全ては、バグスの侵略に対して惑星アルカディア抵抗軍の方々が、5年の長きに渡って抵抗し続けて、無事に殆どのアルカディア人民を保護し続けたお陰です。

 本当に頭が下がります、模範としたい軍人の鏡です!」

 

 そう言って、入って早々に我々を称揚して来たのは、若造と言って良い20歳前後の男性である。

 

 だが、その見た目の若さとは裏腹に途轍も無い存在感を身に纏い、決して侮ってはならない雰囲気を醸し出している。

 

 当然周囲に居る幕僚の方々も、まるで当たり前の様に此の若者の指示を仰いでから、決定事項を其れ其れの部隊や行政官僚に伝えている。

 

 其の多忙な様子に、邪魔にならない様に用件であり自分の部隊の要望である、『帝国航宙軍』への傘下に入りたいと云う旨を快く聞き届けられた事への感謝を伝えた。

 

 「いえいえ、此方こそ感謝したいんですよ。

 此の後、我等『帝国航宙軍』は御存知の通り、アルカディア星系の近傍に有って現在バグス共の生産拠点と化している、暗礁宙域へ全力での侵攻をしなければなりませんので、惑星アルカディア始め他の植民惑星の守備に力を注げません。

 其の重要な任務を肩代わりしてくれようと言うのですから、感謝してもし足り無い思って居ります!」

 

 と先方から逆に頭を下げられてしまった。

 

 恐縮してしまい上官共々俯いてしまったが、先方から促されて目の前に有るソファーに座らせて貰い、給仕係の軍人が運んでくれた珈琲を頂いた。

 

 2週間前から感じていたのだが、此の方々が供出してくれる食糧や飲料は、とても洗練されていて5年以上前の惑星アルカディアでも一流レストランでしか食べれない食べ物や飲み物である。

 

 そんな素晴らしい香りと味の珈琲を味わいながら、今後の自分の部隊のすべき任務を尋ねた。

 

 「そうですね、取り敢えずは此の惑星アルカディアと他の植民惑星に放たれている、『マンハンター』と呼ばれるバグスの置き土産の根絶、そして其れ其れの惑星で進められているインフラ整備とドームの設置工事部隊への護衛任務に着いて頂けると幸いです。

 そして先程言いましたが、我々が暗礁宙域へ全力での侵攻を図る際のアルカディア星系の保持をお願いしたい!」

 

 その言葉を聞いて、隣の上官と確認しあい了承する旨を告げると、朗らかに笑みを浮かべて先方は喜んでくれた。

 

 その若者らしい素直な笑みに、此方も微笑んでしまいながら、今まで疑問だった問いを発してしまった。

 

 「・・・大変恐縮ですが、お尋ね致したいのです。

 貴方様は、最初にお会いした段階に『神機』のパイロットであると名乗られましたが、その後もずっと官位や身分も明かされないままで居られます・・・。

 何か特別に明かされない理由でもお有りなのでしょうか?

 実は、部下や民間人にも説明するのに、不思議がられるのですよ。

 どうか教えてくれませんでしょうか?」

 

 やや失礼かも知れないが先方に尋ねて見ると、目の前の若者はやや困った顔をされながらも意を決した様で答えてくれた。

 

 「いえ、別に明かしてはいけない訳では無いのですが、説明するのが難しい面が有り棚上げしていたのですよ。

 実は私には、軍制に於ける官位等は無く『神機』のパイロットで有る事以外は、特別な官職は『帝国航宙軍』に有りません。

 ただ、本国の惑星アレスに於いて、『皇太子』という立場ではあります・・・。」

 

 その言葉が脳に染み入るのに暫く掛かり、やがて自分と上官は思わず顔を見合わせて、聞き間違えていないか確認しあい、先程『皇太子』という言葉を紡がれた若者を凝視してしまった!

 

 その凝視を受けて、やや困った顔をされた人物こそは後の、

 

 『光輝帝(こうきてい)アポロニウス・スターヴァイン・コリント陛下』!

 

 人類銀河帝国 コリント朝に於ける2代目の皇帝陛下にして、事実上、壊滅状態にあった本来の『人類銀河帝国』の各星系を解放し始めた最初の皇帝陛下である。

 

 そして、我が人生に於いて生涯の忠誠を捧げた無二の主君である!

 

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