皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第37話

 惑星アルカディア抵抗軍の全面協力を取り付けられて、我々は地上戦力を従来のパワードスーツ部隊だけ配置して、航宙軍の主力たる空間機動戦力を全て暗礁宙域の侵攻作戦に投じる事が出来た。

 

 「アル、どうだいバグス共の動向は?」

 

 「そうだね、360度むこう10光年先までは特別な動きは無さそうだよ! 例えワープを使用しても僕達の探知能力範囲外から来ようとするなら最短でも10日は掛かるよ。

 それまでに勝負を着けなきゃね!」

 

 「そうだな、複数のバグス軍団を相手に出来る程我が帝国航宙軍には、十分な戦力は存在しないからな、

二正面作戦以上は展開出来ないよ。

 処で肝心の暗礁宙域方向の敵であるバグスの生産拠点は、どんな動きをしているんだい?」

 

 「ディメンション・ロック(次元封鎖)で封鎖している為に、リアルタイムの情報収集は無理だけど、範囲外からの探査プローブの迂回ルートでの観測によると、殆ど動きが見られなくて、恐らくは気が付いていないんじゃないかな?」

 

 そんな会話をしてから、最後のミーティングを行うべく旗艦の『神威』に、全ての将官級の軍人及び部隊長を集めた。

 

 大会議室でのAR空間を併用した詳細なデータを見ながら行われた大会議は、かなり白熱した討論の場となった。

 

 大まかな処の作戦案には誰も異論は無いのだが、噛み合わない点がたった一点有るのだ。

 

 そもそも惑星アレスで遠征作戦を練っていた時には、想定していた暗礁宙域の規模は普通の星系規模の大きさか、大きくても2、3倍の規模だろうと踏んでいたのだが、まさか10倍以上に規模が膨れ上がっているとは想像もして居なかったのだ。

 

 此の情報はシレノス星系のデータバンクには無かったので、明らかにバグス共が意図的に暗礁宙域へ様々な星間物質を集めた結果だと判る。

 

 恐らくバグス共は、此処に『宇宙大怪獣』共を量産する為の大規模生産拠点を建造する為に、侵略して荒廃させた惑星の残骸や星屑そしてあらゆる宇宙塵を集めた上で、其れ等を建築資材としているのだ。

 

 如何に自分の『神機』である『メタトロン』の究極技である星系破壊奥義『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』でも、流石に星系の10倍規模の大きさは想定していなかった。

 

 なので、『神機』部隊全てによる暗礁宙域を囲い込んだ上で、『メタトロン』へのエネルギー供給を亜空間連結システムを通して補填し、此れまで亜空間内に溜め込んできた全ての余剰エネルギーを注ぎ込んだ。

 

 超超級に規模を拡大した星系破壊奥義『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』を叩き込む事にしたのだが、ほぼ全ての『神機』達のエネルギーを使い尽くす此の究極技は、恐らく暫くの間『神機』達を行動不能に陥らせる事になる。

 

 その際の『神機』達に対し、もし残存する『宇宙大怪獣』が居た場合の対処法で、意見が食い違っているのが現在の討論内容であった。

 

 自分達『神機』部隊と各宇宙戦闘艦の艦長及びその幕僚達は、『神機』達が行動不能に陥った場合は直ちに旗艦の『神威』に収容した後は、『竜機人(ドラゴノイド)』と『竜機神(ドラグゴッド)』を主体とする防御戦闘を行いつつ、『神機』達が復活し次第反撃戦に移る事を提唱したが、肝心の『竜機人(ドラゴノイド)』と『竜機神(ドラグゴッド)』そして『機動武人(モビルウォリアー)』に乗るパイロット達からの、反対意見が上がって来たのだ。

 

 彼等の意見の骨子はこうである。

 

 戦の基本は戦争の主導権を敵に委ねずに、常に味方が先手を取りながら敵の思考を誘導する事である。

 

 上層部の意見は此の基本を履き違えており、安全策を摂りたいが為に敵に先手を委ねる事などあり得ないと言う事である。

 

 真に最もな話しなので同意したい所だが、当然『宇宙大怪獣』を相手する事になるので、今までの帝国が戦って来た敵ではレベルが違い過ぎて、とても『神機』以外の部隊には任せる事は出来ない。

 

 其の事を、若干婉曲に説明したのだが、彼等によってアッサリと反故にされてしまった。

 

 危険だからと云って、選択肢を無くす事はあり得ないと言われてしまったのだ。

 

 なので、彼等の意見を取り入れた幾つかの作戦案を練り直し、臨機応変に対処する事が採択され、最後のミーティングが終わり、いよいよ戦いに臨む事となった。

 

 そして事前準備として、暗礁宙域からかなり離れた場所に『メタトロン』以外の『神機』達を配置する為に、『メタトロン』のシフト(位相差ジャンプ)で飛ばした。

 

 さて、『メタトロン』は背後にアルカディア星系を背負う形で、暗礁宙域の真正面で正対する陣形を取り戦う事になる。

 

 一応ディメンション・ロック(次元封鎖)を張ったままにしているので、大丈夫だとは思うがもしかすると『宇宙大怪獣』の直接攻撃を喰らうと崩壊する可能性が有る。

 

 やはり暗礁宙域の直前の位置で戦うべきだろう。

 

 予定通り、『メタトロン』共々『神威』と『竜機人(ドラゴノイド)』と『竜機神(ドラグゴッド)』そして『機動武人(モビルウォリアー)』をシフト(位相差ジャンプ)させた。

 

 まだ隠蔽状態を維持しているが、いざ攻撃をしてしまえば猛烈な反撃が来る可能性が高い。

 

 覚悟を決めて臨もう。

 

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